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サモン・マシーナリー  作者: ネオ・グリーンライフ
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3. 執事

「おい。セバスティアンはおるか。セバスティアン。これへ参れ!!」


俺は広間に出て、大声でセバスティアンを呼んだ。

するとセバスティアンたちがぞろぞろとやって来る。


「お呼びでしょうか。ユキノさま」

「お呼びでしょうか。おぼっちゃま」

「お呼びでしょうか。ユキノさま」

「お待たせいたしました。ユキノさま」

「お待たせいたしました。ユキノおぼっちゃま」

「お待たせいたしました」

「お待たせいたしました」

「お待た……」


う。

まるでゾンビゲームのようだ。

執事服をきたおっさんにじじいどもが俺の周りに寄って来る。

っていうか、これ全部セバスティアンて、相変わらずこの家はイかれてやがるぜ。


「おい、お前。お前の名前はなんという? フルネームで言ってみろ」


俺はその中から一人を指差して、聞いてみた。


「はい。ユキノさま。私の名前はセバスティアン・ポンペイウス=ガイウス・シャトラーセン・ジュニアでございます」


こいつは違うな。

ジュニアじゃなかった。

結構大きな数字が最後についてたはずだ。


「そうか、呼び立てて済まなかったな。お前はもう下がっていいぞ」

「は」


そう言ってやると、セバスティアンはするすると音もなく去って行った。

さて。


「次、お前だ。名前はなんという?」

「私の名前はセバスティアン・トルシエ・ザッケローニ・アギーレでございます。おぼっちゃま」


どこの日本代表監督だよ!?

なんで俺の頭の中に入り込んできた地球の知識とやたら一致する奇跡的な名前してるんだよ!!


「お前も違うな。下がって良い。次、おまえ」


ビッと音がなるようにかっこよく指をさす。

こういうのって雰囲気が大事だよな。


「は。私の名前はセバスティアン・セバスティアン・セバスティアン・セバスティアンX6です。ユキノさま」


ええ!?

なにその名前!!?

庄司昭二しょうじしょうじさんとか、玉置環たまきたまきさんとか、そっち系!?

かわいそうだよ。

もうちょっといい名前つけてあげようよお父さんお母さん!!?

こんな名前じゃ学校でいじめられちゃうよ!?

しかも、かける6だよ!?

6倍されちまってるってどういうことだよおお!!


は!?

取り乱してしまった、イカンイカン。


「お前でもないな。下がっていいぞ。次」

「はい。おぼっちゃま。私、何を隠そう由緒ただしきドコニーア・ルカーシラン家の末裔にして正当なる継承者セバスティアン・権三郎でございます!!」


意味分かんないの来たーー!!

なんだよドコニーア・ルカーシラン家って!?

聞いたことねえよ。

本当にどこにあんだよ。

しかも権三郎っておい!? 始まって間もないのに世界観が崩壊しちまうだろうが!! やめてくれ。


「次!!」

「は。わたくはセバスティアン・ネロ・アウグストゥス・オクタウィアヌス17世でございます」


随分と偉そうな名前だな。

それになんかニアミスだ。

こんな感じな名前だった気がするけどちょっと違う。

もっとオリエンタルな感じの名前だったはずだ。


「お前は惜しいな。だが残念ながら外れだ。下がって良い」

「は、はあ?」


セバスティアンはトボトボと歩いて行った。

なんか悪いことをしたな。


まあいいか。

相手は執事。俺は御曹司だ。


「次。お前」

「はい、ユキノさま。私、二十歳の頃からこの宮殿で執事をしておりましてなぁ。もうかれこれ40年になります。いやはや。早いものですなぁ」


ちっ。ボケてやがるだと!?

なぜこんなやつさっさとクビにしない!!?


「お前、名前はなんだ!?」

「お名前、そうそう。ユキノさまのお名前をおつけなさる時にお館様は随分悩まれましてな? 今は亡きユキノ様のおじいさまとおばあさまにもあれこれと相談なされて、そのあとも色々ありましたなぁ」

「俺の名前はいい。お前の名前を教えろ」


喧嘩売ってんのか、コイツ!!

ボケるのも大概にしやがれ。


「……はあ。されど私は執事。名乗るほどのものではございません」


んだとゴルァあ!! 俺をおちょくってんのか!! しばくぞコラ!!


「ではお前はもう下がって良い。次……」

「いいのですかな?」

「良いと言っている。もうお前に用はない下がれ」

「では失礼いたします」


ちくしょう。

なんなんだコイツ?

まあいいや、気を取り直して。


「次、お前、ワッツユアネーーーーイムゥウ!!?」

「え? あ、はい。そうです、私セバスティアン・ワッチョア・ネエーイムでございます。おぼっちゃま、よくご存知で」


知らねえよおお!!?

なんだよワッチョア・ネーイムって!?

全然知らない。

うん。

本当に知らない!!

でもちょっと恥ずかしくなって来たから、ありがたく使わせてもらおう。


「あーコホン。ああ、そうそう。わっちょあねーいむ? お前を探していたんだ。お前、外の貴族子女の趣味趣向に詳しいという執事を知っているか? そいつに会いたいのだが」

「それはセバスティアン・マケドニアス・アレクサンドロス・シーザー17世のことですか?」

「おお、それだそれ。で、どうだ。そいつはどこにいる?」


やっと話が進んだぞ。

よかったよかった。

そうか、最初からこうやって聞いておけばよかったのか。

やれやれだ。


「はい、先ほど。出て行きました」

「は?」

「ですから、私の前におぼっちゃまがお話しされていた者がセバスティアン・マケドニアス・アレクサンドロス・シーザー17世でございます」


あんのクッソじじいい!!!

さてはわかっててからかってやがったな!?

見てろよぉ。


「では、ここにいる者で手分けして探してそのセバスティアンをこれへ連れて参れ。生け捕りにするのだ!!」

「は!!」


ふん。どこに行ったか知らんが逃げても無駄だぜ?

ここの執事はみんな優秀なのだ。


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