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モユルハナ  作者: 四季 ヒビキ
〜美術部仮入部〜
13/15

味噌汁は熱いので気をつけよう

ようやっと親子の会話が終わります。 長かった(気のせい)


コミュ障三人組はどんな放課後を過ごしたのか・・・・・・?

そのまた続き

 

 

 

 「花薫くん、私は普段PTAからいただいた部活の活動費なんかは、あんまり使っていないのよ。 まあ、昔イーゼルを壊したから使ったけど」

 

 「私の知り合いに、手芸が好きな子がいてね。 その子のモットーは「マヨネーズさえあればゴミでも食べられる」と「絵にしろ手芸にしろ、道具は己の身一つでなんとかなる」なのね」

 

 

 「・・・・・・彫刻は流石に彫刻刀がないと」

 

 

 「その子、自分のかぎ針失くした時にね、耳かきでレース編み完成させたことがあるから、私も見習わなきゃなって」

 

 

 それは別に見習わなくてもいいのでは・・・・・・? ツッコミたいが、不整脈による動悸と、ホームセンターの「ラルゴ」に負けない冷房管理により、俺はまた光合成が必要になってきた。

 

 

 この寒さは、おそらく店員さんのためなのだろうが、じゃあその制服半袖を導入しろよと言いたい。 なんでこんな蒸れる時期に長袖なんだ・・・・・・。

 

 

 「でもね、それは経験と努力あってこそでね、ペンと箸しか持ってなさそうな花薫くんには―――――――」


 

 俺は、そこまでしか聞いていなかった。 分かったのは、先輩が美術に関しての情熱がとてつもなくあるというのと、俺は温度管理を徹底しないと正常に動作しないということだ・・・・・・。

 

 長い。 先輩の話しなっがい。 ありがたいお話なんだろうけど、長い。 久しく会っていない親戚の話し相手になるくらいだるい。  

 

 なんだろう、美術部の入部希望者がいない理由の一つに数えられるんじゃないか? 先輩がここまで熱意を持って制作しているはずなのに、美術部が弱小なのは先輩がコミュ障・・・・・・。

 

 

 「か、花薫くん? 生きてる?」

 

 

 「え、聞いてますよ」

 

 

 「ほんとに?」

 

 

 ああ、俺の苦手なものが増えそうだ。 勉強とキャベツと暑苦しい先輩と、暑さと寒さ。 そして、いちいち突っ込まなければいけない状況。

 

 俺があの日感じた、人形のような美しさ。 ガラス玉が嵌っているような、無機質な視線。 その視線の先も無機物を見据えていて、生を得てして生が感じられない。 それが、一気に人間臭くなる。 悪い方に。

 

 いいことなんだろう。 人間、悪しき面があってこそヒトなんだろう。 しかも、俺が勝手に描いた先入観で、先輩と俺を縛り付けただけであって。

 

 でも、先輩にはあのまま、ヒトらしくない美しさを纏ったままでいて欲しかった。

 

 いや、ヒトらしくないから、あんな感じなのか? 無表情で、時々困った顔になると、なんだかそれすらもパターン化しているモノに見えたが、あれは人間性の現れだったのか?

 

 わからない・・・・・・が、コミュ障の俺は先輩との距離感がわからなくなった。 親しく接していいものなのか、もう少し距離をとるべきなのか・・・・・・。

 

 

 

 

 「・・・・・おい、花薫。 買い物は終わったか・・・・・・? 」

 

 

 「あ、迅」

 

 

 「人の体は不便やなぁ、心臓発作起こしたみたいに暴れんねん」

 

 

 「お前発作起こしたことないだろ」

 

 

 あとお前人の体以外経験したことあるのかよ。 何者なんだよ。

 

 

 「あ、ちょうどよかった。 生徒会長、荷物持ちお願いできるかしら?」

 

 

 「エ、ええ・・・・・・構いませんよ」

 

 

 隠せ。 せめて隠せ。 死んだ目のおかげでさらに嫌がってるのバレるぞ・・・・・・。 圧がすごいぞ。

 

 

 「良かった・・・・・・。 もう二袋くらい買うものがあるから困ってたのよ」

 

 

 "もう"二袋・・・・・・?

 

 

 「ものすごい量ですね。 あとどれくらいかかるんでしょう」

 

 

 「んー、少なく見積もって二、三袋かな」

 

 

 あれ、増えてる、増えてるって。 やめてくれ、俺は女子より貧弱なやつなんだ。 通学カバンもまともに持てないから、置き勉しているのに?!

 

 

 「・・・・・・花薫、できる限り努力はするが、きたいしないでくれ」

 

 

 「そ、そんな・・・・・・」

 

 

 「すまないな 俺では保証 出来かねる」

 

 

 「川柳詠まないでいいから荷物持ってくれよお・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一時間後・・・・・・。

 

 

 

 

 

 「・・・・・・」

 

 

 

 「・・・・・・」

 

 

 

 「・・・・・・あの、大丈夫?」

 

 

 

 誰もが、口を噤む。 全神経を腕と足と腰に集中させる。 あれ、一番軽い荷物なのに、どうして汗と震えが止まらないんだろう。

 

 

 

 「先輩、後で領収書・・・・・・」

 

 

 「わかったわ。 でも、今年の予算余ってるかしら」

 

 

 「・・・・・・その時は自腹で」

 

 

 「冗談よ、ちゃんと計算してる」

 

 

 お願いしますそこの御二方、早く移動して・・・・・・。

 腕が千切れる。 あと血管も千切れる・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜

 

 

 

 

 

 

 「つ、疲れた・・・・・・」

 

 

 「お疲れ様。 この荷物は、私が明日学校に運ぶわ」

 

 

 「お、おねがいしまあうぁ・・・・・・」

 

 

 「し、死ぬな迅ー!! 」 

 

 

 「あうあー、うへー((^p^))

 

 

 「生徒会長さん、弟くん来てるよ」

 

 

 「なんやて榊」

 

 

 「あれ・・・・・・見違える様にイケメンに・・・・・・?! 」

 

 

 「せやかて染谷、ね」

 

 

 「ん・・・・・・涼がいない? あれ、今何時? おい?何してた?」

 

 

 「落ち着け、今は六時半・・・・・・」

 

 

 「え、ロクジハン?」

 

 

 「そう、六時半」

 

 

 「あ、あああああああ?! 門限過ぎとるううううう?!」


 

 「ええええええ・・・・・・」

 

 

 「あばばばば・・・・・・どないしよ、どどどどなあななああ」

 

 

 「ちょ、また暴走するなポンコツ!! おまわりさん!! おまわりさんこのポンコツです!!」

 

 

 「・・・・・・いいんじゃない、時々は破っても」

 

 

 「え、お不良?」

 

 

 「そ、たまにはね。 ・・・・・・それに、このまま帰るのも名残惜しいし」

 

 

 「迅の家、門限早いんだな。 ご苦労なこった」

 

 

  「ねえ、私のおごりでファーストフードいかない? 私が無理やり誘ったんだから、生徒会長の責任じゃないしね」

 

 

 「・・・・・・」

 

 

 「迅、今日そんなに関係ないのに、付き合ってくれてありがとな」

 

 

 「・・・・・・ジャ、ジャアシカタガナイヨネー」

 

 

 「うん、仕方がない」

 

 

 

 「・・・・・・行きましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラルゴのすぐ側、某ファースト店にて、俺らは食事した。 それは父には伝えなかった。 なんだか、迅を引き止めたのが少し申し訳なかったからだ。

 

 濃い放課後だった。 おかげで筋肉痛に見舞われ、全身が痛い。 しかし、これも生きている証として、記憶に刻み込まれるのであった・・・・・・。

 

 

 

 

 「ふうん、先輩は熱心なんだな」

 

 

 「そうみたいだ」

 

 

 「動きがぎこちない理由はわかった。 けどな」

 

 

 「けど?」

 

 

 「先輩方に粗相してないか?」

 

 

 

 俺は、味噌汁を一気飲みした。 何故だろう。 飲まなきゃいけない気がした。 これがたがを外すという事なのだろう。

 

 

 「噎せるし火傷するぞー」

 

 

 苦笑いを浮かべながら、味噌汁をすする父に、こんな息子ですまなかったと遺言を書きたくなった。

 

 

 ・・・・・・今度、図書室でぬくぬくする時はマナーの本でも漁ろう。

味噌汁はおじやにするタイプです。 次話では新キャラクター参上の予感・・・・・・? (この話に名前だけ出ています)



あと、門限は守りましょう。 中の人は遅れる早引けする迷って帰れないというクソです。 よいこも悪い子も時間は守ろうね!! じゃないと花薫くんになっちゃうぞ!! (作者のIQの低さがわかる一文)

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