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モユルハナ  作者: 四季 ヒビキ
〜美術部仮入部〜
11/15

光合成

すっっっっっっっっかり遅くなりました。 疾走シヨウトシテ失踪してましたねHAHAHA(・∀・)



パパさんへ今日の事後報告をするようです。 そして花薫くんらの新たな1面が見られるかも?


 

 

 

 迅たちと別れ、名残惜しく思いつつも帰路につく。 俺は少し別れるのが嫌で、途中で何度も振り返り、迅たちを探してしまった・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 「ただいま」

 

 

 

 時刻は二十時半。 父には二十二時までに帰れと言われたが、それより早く帰った。

 

 理由として、ひとつは年上と言えど、女性を夜遅くまで街を歩かせるのは危険だから。 もう一つは、迅の門限が八時だったから。

 

 なんでも、あいつは家事を半分以上こなす様で、弟が腹を空かせているだろうから、という事だった。 それを知った俺は、引き止めるに引き止められなかった。

 

 ・・・・・・寂しい、ということなのだろうか。 もう少し話してから帰りたい、いや、まだ帰りたくないと思うのは。

 


 

 「お、早かったな。 おかえり」

 

 

 「うん、友達の門限が七時半だった」

 

 

 「・・・・・・そのぐらいが普通なんだろうか・・・・・・うーん」

 

 

 

 しまった、こんな事言ったら俺の門限が早まってしまう。 そんな俺の子供のような一面が顔を出した。 その俺が引っ込むと、少し惨めな気持ちにさらされた。

 

 

 「いや、お前の場合はなあ・・・・・・こう、発作とかの方が心配だからよ」

 

 

 「うん」

 

 

 「花薫、絶対そのこと危惧してないだろ」

 

 

 「・・・・・・正直、どうにかなると思ってる」

 

 

 「ぶっ倒れたら、友達とかにも迷惑かかるんだぞ。 仕方が無いといえばそうだけど」

 

 

 「うん、無理はしない」

 

 

 「ほんとに?」

 

 

 「うん、無理してない」

 

 

 無理して授業を起きて過ごさないし、無理になる前に保健室でぬくぬ・・・・・・休んでいるし。 第一、俺は真面目な性格じゃない。

 

 

 「・・・・・・ま、調子は自分で管理しろよ。 」

 

 

 「うん」

 

 

 「・・・・・・返事は、いいんだがな。 まあいい、今日の話でも聞かせてくれよ」

 

 

 「今日の話?」

 

 

 「話って言ったら、今日の友達との外出だよ。 楽しかったとか、道に迷ったとかあるだろ」

 

 

 「ああ・・・・・・わかった、話す」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「今日は夜更かしだな」

 

 

 「俺も久々の休みだしな」

 

 

 「じゃあ、ひとつひとつ丁寧に話すよ」

 

 

 「オーケー、やっちゃって」

 

 

 

 「初めて行く場所ばかりだったからさ、待ち合わせ時間に早く着くように行ったんだけど―――――――」

 

 

 



 

 街ゆく人々の足取りは、どこもゆったりとしていて、俺の歩く速さでも充分ついていけるものだった。

 

 目眩がするほどヒトで埋め尽くされているわけでもなく、生きているものが自分だけであるという錯覚を覚えるほど寂しい訳では無い。 程々にいて、人を探すには困らない混雑具合だ。

 

 時刻は十八時。 迅たちを待つため、待ち合わせの喫茶店に入ったはいいが、ここは冷房が強くて風邪をひきそうだ。 あらかじめ持ってきた地味な上着で寒さを凌ぐ。

 

 音楽はスローテンポなものばかりで、聞いていて眠くなるような選曲だ。 音楽の世界の言葉で言うなら、ラルゴというものだろう。

 

 この店の名前が「ラルゴ」なだけあって、駅前通りの騒がしさとは反対の、ここだけ別次元かと思えるほどにゆったりしている。 冷房以外は。

 

 店主がよほど暑がりなのだろう。 骨と皮しかない俺は防寒具が必要な域に達しているが、暑い人からすれば快適な空間なのだろう。 嗚呼寒い。

 

 

 

 

 カランカラン、と控えめなドアのベルが来客を知らせる。 一番奥の席に座るよう指示されていたので、こちらに来るならば迅か先輩かもしれない。

 

 

 「おはようございます、榊先輩」

 

 「おはよう、染谷くん。 早かったのね」

 

 「はは、花薫がもうついているらしいので、少し焦りましたよ」

 

 「そういえば、花薫くんは気づいていないみたいね」

 

 

 気づく? 何を気づけを言うんだ? 俺はこの寒さに対抗すべく、全身に力を入れて体温をあげる策を講じている最中だから、そんなに周りは見てないぞ?

 

 

 「そうみたいですね、花薫はそんなに余裕がなさそうです」

 

 「・・・・・・冷房、上げておくように言っておいたんだけどね。 父がやっぱり耐えられないって」

 

 

 ・・・・・・父?

 

 

 「・・・・・・よっ、花薫。 想像はしてたが、やっぱり寒かったみたいだな」

 

 

 「寒いも何も・・・・・・。 こんな最高気温35℃なのに、室内は10℃を指す空間で寒暖差を感じないわけないだろう」

 

 

 「そうじゃな、北海道みたいじゃな」

 

 

 「・・・・・・迅は寒くないのかよ」

 

 

 「野宿経験はあるからの、へのへのかっぱじゃい」

 

 

 「はあ・・・・・・」

 

 

 迅は半袖のシャツでここにいる。 あいつも対して俺と変わらない体格なのに、平気らしい。 代わってくれ。

 

 

 「ごめんなさいね、花薫くん。 私の家で待ち合わせしたのは、ちょっと訳があって」

 

 

 「てか、ここ先輩の家なんですね・・・・・・。 あああ」

 

 

 寒くてつい声が出る。 失礼だとはわかっている。 でも、ほんとに死にそう。 誰か温めてくれ。 そう切に願う程だ。

 

 

 「まず、入部届けに間違いがあって・・・・・・。 出席番号、ちゃんと把握してないのね。 判子を押す前でよかったわ」

 

 

 「おいより出席番号早いのに、なして四十五番なんて書いたんね? 」

 

 

 「え、これ出席番号じゃないのか」

 

 

 「・・・・・・多分、ロッカー番号じゃなかが?」

 

 

 「ああ、すいません・・・・・・」

 

 

 「そ、それはいいのだけれど・・・・・・。 テスト前までには覚えておかないと、テスト零点にされるわよ」

 

 

 「気をつけます・・・・・・」

 

 

 「そ、そんな落ち込まなくても・・・・・・」

 

 

 

 先輩、俺はとある法則を見つけました。 死ぬほどどうでもいいでしょうけど。 なんと俺、寒いといつも以上にネガティヴになるようです。 うわっ死にてぇ!! 超死にたい!! ほんと死ねばいいな俺!!

 

 

 「花薫、お前予想以上に女々しいやっちゃな」

 

 

 社会のゴミを家畜を見る目で接してくる生徒会長。 俺、ここの高校に在籍できないかも。

 

 

 

 「宍戸先生に確認してこっちで直しておいても良かったんだけど、一応、覚えてないなんて事態がないようにと思って・・・・・・」

 

 

 

 俺その、先輩が最も可能性が低くて、あるはずないと踏み切っていたその可能性を広げちゃったんだなー。 うわっ俺クズ!! どこがどうクズかわかんないけどクズ!!

 

 

 「あああの・・・・・・岸沼くん?」

 

 

 ああ、先輩が距離を置いて苗字呼びになった。 幽霊部員とも認知されない俺の高校生活の幕開けかもしれない。

 

 

 「うわ、俺クズっすね。 死にたい」

 

 

 「え、えっ、あ、あの・・・・・・」

 

 

 「花薫・・・・・・いっぺん表で光合成してこい。 頭冷やしすぎて逆におかしなっとる」

 

 

 「・・・・・・俺、人間以下かぁ。 うわ死にたい」

 

 

 

 俺は迅に手を引かれ、はんば強制的に日光に当てられた。 目がくらむほどの日差しが、俺の体温と気持ちをあげてくれているが、迅の冷たい視線だけはいつまでも冷たかった。・・・・・・ああ、今の時間帯で暑いのは湿気のせいであって、太陽のせいじゃ無いんだなあ・・・・・・。 冷たいな・・・・・・迅の視線・・・・・・。

 

 

 

 

 

 ・・・・・・続く。

花薫くんは人なので光合成できませんし、日向に出たら出たで死んじゃいそうです。 花薫くんの生死やいかに?! (雑な次回予告) 今回の話の活動報告は割愛します。

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