第二章 1-2
「別に怒ってねぇよ。それに上級生たちはみんな知ってることだ」
俺が魔族者だと思っていることを踏まえてな。
そういうと彼女は顔をあげると潤んでいた瞳が何故か輝いていた。
「じゃあ、その新田先輩はあの“ミノワール”の片割れということですよね!」
『ミノワール』
俺と楓がまだ相棒だった頃につけられた異名。
互いの思考を読みあい。同じ動きで相手を翻弄する『鏡』
一年前の大会で決勝まで怒涛の勢いで勝ち進んでおり、その様子は全国ネットを通して中継されていた。
「そ、そうだが」
彼女の変わりように少したじろぐが彼女がそれを気にした様子はない。
それどころか食い入るようにこちらを見ている。
「私、先輩たちの試合を何度も見ました。繊細なマナ制御と息ぴったりな戦い。これこそが相棒の戦いだと思います」
大人しい子だと思ったが、そうでも内容だ。
濁りのない純粋な目が眩しい。
「それも昔の話だ。それと雑談してるからさっきから先生が睨んでるぞ」
「わ、わぁ」
教団に立つ教師の視線に気づいた汐莉は急いで教科書で顔を隠す。
見ていて面白いが教師の機嫌を損ねては後々面倒なので授業に集中する。
授業が進み後五分というところで汐莉がノートを寄せてくる。
特に気にしなかったが何度もノートを動かしアピールするので仕方なく見る。
「…」
そこに書かれていた文章に目を疑った。
汐莉がノートの端っこに書いていたのはこうだ。
『放課後特別棟屋上で待っています』
告白の呼び出しともとれるその文章。
テンションが上がってテンパって書いた感がヒシヒシと伝わってくる。
バックレてもよかったが彼女が聖十字団であることを考えて、あの件が関わっているに違いないと確信した。…のだが
「お願いです。私の師匠になってください」
待つこと数分。現れた汐莉はいきなり頭を下げる。




