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第一章 2-14
「少なくとも学園長が許可を出しているってことは心配ないってことだ。っと、そろそろ行かねえと遅刻するぞ」
「あ、ホントだ。じゃあね先生」
千東が去った後、矢崎は吸いかけのタバコを灰皿に押し付け火を消す。
手に握られたカルテにもう一度目を通す。
「魔族者…か」
何か思いつめた表情になったが、それは一瞬のこと。
すぐさま、新しいタバコに火を点け煙を吐いた。
退室した後。
疑問点が浮かんでくる。
確かにあのシナリオは千東が書いたものではなく、あいつが書いたものだと思っていたがそれにしては詰めが甘すぎる。
ワザという可能性もあるが、おそらく0に近いだろう。
となると矢崎…いやあの面倒くさがりのおっさんのことだ。
学園長や偉いさんに頼まれてもやることは考えられない。
ますます謎だ。
今、考えてもわからないため、そろそろ現実に向き合おう。
「俺、どこの教室だ…」
編入という形で復学することは決まったが、その詳細を聞いていないことを今さら身を以て知るとは思わなかった。
普段適当にしているのが仇となっているな。
とりあえず職員室に行こう。