第一章 2-8
それまでに必要なものを書き出しておかないと時間がいくらあっても足りない。
そんなとき着信履歴に気づく。
番号に見覚えが無いが、かけ直すべき悩んでいると再度かかってきた。
「もしもし?」
『あんたねぇ。私の忠告忘れた?それとも鳥頭?』
電話相手は千東だった。たぶん昼間の件についてだろうが面倒なんでとりあえず惚けておこう。
「おいおいいきなりだな千東。てか、俺の番号よくわかったな」
『あんた。携帯変えても番号まで変えてないじゃん』
「あー。そういえばそうだな」
話題を変えようとしたが失敗した。
そういえば、携帯を買い変えたとき時間がかかるとか言われて、データ移送をするのを忘れてたな。
『で、質問の答えは?』
珍しく千東が怒っている。こりゃ、話を逸らすのは無理そうだな。
「昼間の件なら俺が絡んでるが、校則守って能力は使ってねえし、第一正当防衛だぜ?」
『影流しまで使って何言ってんだか。それに私に弁解されても困るんだけど…明日事情聴くから朝六時に演習場まで来てくれる?』
「わかった。要件がそれだけな切るぞ」
『あ、ちょっ!』
島内で起きた問題は聖十字団が片付けるって聞いてたから仕方ない。
明日六時に演習場から面倒くさいな…ん、演習場?
翌日午前六時。
疑問を残したまま本校舎と特別棟の間にある演習場で待つこと数分。
千東が息を切らしながら走ってきた。
「ごめん…お待たせ」
「待ったから遅くなった分手短に済ませろよ」
「…普通。こういうとき言う言葉ってモノがあるでしょ」
仕方ないここはお約束に乗ってやろう。
「見回りご苦労!」
「そっちじゃないよ!」
どうやらお約束破りじゃなかったらしい。
とりあえず、時間も無いことなので中に入ることにした。