表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そこ惚れニャンニャン、復讐を誓った猫  作者: 大五郎
ウェルダン王国編
8/29

07 訓練した

まったりと進みます。

 「そら、走れ!走れ!」


 ハンスの怒鳴り声に五千人の農民達が周辺の野山を掛け巡っていく。

 皆息を切らし懸命に駆けていく。


 今後の戦いで迎え撃つ分には落とし穴作戦でも暫く通用するだろうが打って出るためには直に戦える兵士がいる。

 しかし多少は考えるが基本本能のままに動く吾輩が人にものを教えられるはずもない。

 そこで正規の軍人であるハンスが吾輩の家来になったので農民達の訓練を一任したのだ。


 ハンスは最初に兵士として適性の無い者を戦闘部隊から外した。

 更に体力作りとして野山を何時間も走らせた。

 そこでも体力や運動能力が足りないと思われる者を容赦なく振り落していった。

 結局現在の残っているのは最初の半分の五千人だけである。

 脱落組みは捕虜にした王国軍兵士達を伴って働き手が減った村の支援に向かってもらった。


 王国軍兵士達は待遇に不満そうだったが武器も防具もなく付近の地理も不慣れで山野で食料を得ることも出来ない彼らは逃げ出すことも出来ずに従った。

 例え王国側に辿りつけたとしても敗戦の責任を取らされて処刑されかねなかったからだ。


 「そらそら、走れ!走れ!」


 吾輩は列の先頭を走りハンスは最後方で追走しながら追い立てている。

 普段山野を駆け巡って鍛えている吾輩にとっては造作もないことだが農作業とは違う身体の使い方をしている皆は疲労困憊している。

 ハンス自身は日頃から走り込んでいるとのことで余裕で追い立てていた。


 やがて即席の訓練場に辿りついたら今度は槍兵は槍、騎兵は乗馬と騎上槍、弓兵は弓の訓練に散っていった。


 「こらぁ!そんなこっちゃ直ぐ死ぬぞ!もっとしっかりやらんかぁ!」


 ここでもハンスの怒声が鳴り響く。

 ハンスは皆の訓練を見て回りながらドンドン駄目出しをしていく。

 そしてその後に丁寧にどこが悪いか指摘し完璧な手本を見せて次に進んでいく。

 優秀な教官だ。


 吾輩も見回り役だがどのように指示していいのかさっぱり分からないので黙って歩きながら自分がその攻撃を受けた場合どう避けるか捌くか考えていた。

 ハンスとはあれから何度か手合せをしたが吾輩の圧勝だったので教官より強い吾輩も偉そうに見て回れと指示されている。


 ハンスの剣技や槍技は大したものでこちらの動きを読んで鋭さを増してくるが吾輩もハンスの動きを読んで更に見切りを上達させていくため差が開く一方なのであった。

 ハンスが吾輩の師匠はどんな人物かと聞いてきたので亡くなった森の魔女の婆ちゃんと答えたら素晴らしい人物だったのだなと感心していた。

 その通りである。


 王国軍の動きはまだない。

 ハンスによると先の敗戦の責任の擦り付け合いで時間が掛かっているのだろうとのことである。

 こっちも訓練の時間が取れて助かる。


 かくして訓練の日々が過ぎていった。

農民軍は力を蓄えています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ