06 勝負した
なかなか筆が進みません。
「ミュウ殿!尋常に勝負してくだされ」
「断るニャ」
捕虜にした王国第三軍の副長のハンスというおっさんが勝負を挑んでくるがあっさり断る。
「勝負は吾輩達の勝ちでもうついたニャ」
「しかし穴に落とされて負けたなど納得出来ないのだ」
「関係ないニャ。お前の自己満足に付き合う義理はないニャ」
「それでは王国騎士としての誇りが・・・」
ガツン!!
「アグッ!」
吾輩は拳をハンスの頭に落とす。
「何をする!」
「何をするじゃないニャ。皆はこのままじゃ餓死するしかないから決起したニャ。そんな皆をお前達は親兄弟含めて皆殺しに来たニャ。そんなことをするのがお前の言う王国騎士の誇りなのかニャ。そんなものドブにでも捨てるがいいニャ」
吾輩の激昂にハンスは答えられない。
「いいニャ、勝負してやるニャ、お前が勝てばお前は解放してやるニャ。しかし負ければ王国騎士の誇りとやらを捨てて吾輩の家来になるニャ」
「・・・分かった」
ハンスの縄を解き剣を返す。
吾輩は愛用の鉄の鉤爪を両手に着け対峙する。
皆は心配そうに見ているが口は出さない。
「それでは始めるニャ。覚悟はいいかニャ」
「いつでも構わん。来い!」
ハンスの声に吾輩は体を沈めて走った。
ハンスは吾輩の速さに一瞬驚いた顔をしたが冷静に動きを追い続けた。
得物が短い吾輩が懐に入ってくるとみてその瞬間を捉えるつもりなのだろう。
吾輩はハンスの剣の間合いギリギリで左横に飛ぶ。
ハンスは右足を一歩引いて横薙ぎしようとするが既に吾輩はそこにいない。
吾輩は溜めもなく元の位置に飛んで戻っていた。
そのまま体が流れたハンスに突っ込む。
しかしハンスはもの凄い速さで斬り返してくる。
吾輩は左の鉤爪でそれを受け右の鉤爪を振り下ろす。
ハンスは辛うじて後退り躱し剣を一旦引いて突きを放った。
吾輩は左に体を躱す。
ハンスはやや無理な姿勢で再度横薙ぎした。
吾輩は上半身を引いて躱しそのままバク転しハンスの顎に蹴りを放った。
ハンスは意表を突かれもろに喰らった。
ドウッと仰向けに倒れ伏した。
KOである。
吾輩の勝ちだ。
「参った。約束通り王国騎士の誇りは捨て以後ミュウ殿に仕えよう」
ハンスは頭を振りながら直ぐ立ち上がってきた。
タフなヤツである。
しかし負けて悔しいというよりサッパリしたという顔だ。
「ウミュ、しっかり働くのニャ」
こうして吾輩は家来を得たのであった。
最後の決め技はサマーソルトキックです。