第1話・出逢い-Encounter-
p.m.3:02
車は、森林の中を、縫うようにして走っていた。
「もうすぐ着くよ」と運転手が言った。
その声は、二列目に座っていた少女を起こすのには十分で、恵美は寝ぼけた目をこすった。
午後3時。町を出てから二時間が経過していた。
ときおり、がたんっという、タイヤの乗り上げる音がする。
「長年運転手をやってるとね。ここの生徒をたくさん乗せるんだ」
運転手は器用にハンドルを操りながら、恵美の方を向いた。
「星の宮学園」と恵美は言う。
運転手もそう繰り返す。
すると今度は恵美が口を開いた。
「星の宮学園…には、私みたいに…途中入学の子はいるのですか?」と聞く。
「そりゃたくさんいるさ。なにしろ特別な学校だからね。…なぁに、心配しなくていいんだ。丁度新学期の季節じゃないか。」
すぐ馴染めるよ、と運転手は笑った。
恵美も、つられて微笑んだ。
窓からの西日が、少女のセミロングの髪を照らしている。
眩しい、と恵美は目を細めた。
「ところで…お嬢さん。私は、毎回君みたいな子供たちに、つい聞いてしまうことがあるんだよ。それを、聞いてもいいかい?」
「いいですよ」
「星の宮学園は普通の学校じゃない、特別な子供たちが集められた学校だと聞いている」
君は、と運転手は続けた。
「君はどんな[能力]を持って、ここにきたのかな?」