プロローグ
どうも作者です。
もう一つの小説が色々と行き詰っていますので、こんな話を書いてしまいました。
申し訳ない。
この小説は、ご都合主義が満載です。しかも更新も不定期。
連載はしますので、気長にお待ちください。
マルド王国の王国領の外れ、広大な山脈と巨大な河川、深く広き森に囲まれた田舎も田舎、
そこに、『リル』の村はある。
村人も百人いるかいないかという、自然だけが取り柄と言えるほどの長閑な村である。
日の出と共に村人たちが起き出し、漁師は漁に、猟師は狩りに、農夫は畑にと、各自の仕事をこなすために動き始める。 女たちは、料理に洗濯、集まっておしゃべりと、忙しく一日を過ごしていく。
村にある宿屋兼食堂兼酒場には、ほとんど泊まりの客はおらず、適当に朝食、昼食を取りに来る村人の相手をするだけのものである。 夜になれば、男どもが酒場に集まり、飲めや歌えのどんちゃん騒ぎが毎夜行われる。
そんなそこいらの村とまったく変わりのないリルの村であるが、村の中心から少し外れたところに長閑な村ではあまり見慣れないひとつの商店、
―ご要望の一振り作ります―
―バルディア工房―
剣とハンマーをクロスさせた看板を軒先に吊り下げ、店の前には大々的に謳い文句を掲げた鍛冶屋がそこにはあった。
◇◆◇◆◇
窓から差し込む光で目が覚める。
光を遮るカーテンのおかげか、それほど眩しくはない淡い光で目が覚めるのは純粋に気分がいいものである。
そう考え、ベッドから今しがた起きた人物、『アイラ・バルディア』は立ち上がった。
「さて、今日も一日頑張りますか!
……っと、その前に着替え着替えっと」
寝間着替わりの裾の長いYシャツのような出で立ちのまま、パンッと両手で軽く頬を叩き、気合を入れるアイラ。 それからそそくさと着替えを始める。 これが彼女の起きがけの行動である。 昔からなんどやっても直らないひとつの癖であった。
寝巻きから少しごわついたシャツと動きやすさを重視した八分丈のパンツに着替えたアイラ。 着替えが終われば次は朝食である。 自炊派の彼女は、村唯一の食堂『大衆』では朝食を取らない。 必ず、自宅のキッチンで料理を行って食べるのである。
今朝は、昨日、近所のおばちゃんからもらったバートの卵を使った料理を作るようだ。
「~♪~~~♪」
軽く鼻歌を歌いながら料理を進めていく。
「ほい、アイラさん特製、バートの卵とほうれん草を使ったオムレツだ!!」
誰もいない食卓に、「どうだ!」とばかりにドヤ顔で作ったオムレツを突き出すアイラ。 これも彼女の昔から直らない癖の一つである。 誰もいなかったのを思いだし、少し頬を赤く染め、もそもそと食事を始めるアイラ。 この時のアイラの可愛らしさは抜群だと近所のおばちゃん連中から評判である。
◇◆◇◆◇
この世界には、【前世返り】と呼ばれる者たちがいる。
【前世返り】とは、前世の記憶や能力などを持って生まれてくる子供たちのことである。 現在の国王、『ラインバッハ・シメル・マルド』も【前世返り】の一人であり、およそ500年前に魔王『ガルス』を打ち破り、王国を建国した英雄の記憶を引き継いでいるらしい。
【前世返り】には特殊な技能が付くことが多く、無名の人物の【前世返り】ですら、魔力が人より多かったり、身体能力が優れていたりする。 国王などの英雄の記憶を引き継ぐものに関しては言わずもがなで、膨大な魔力や、圧倒的なカリスマを有していたりするのである。 つまり、【前世返り】が一人いるだけでも、国力に影響を与えるのだ。
国は協力して、この【前世返り】を集めている。 見つけるのは難しいように思えるかもしれないが、【前世返り】のものには、必ず体のどこかに『二対の翼』を模した痣ができる。 【前世返り】を集めるのは、痣を持つ者を集めればいいだけなので簡単ではある。
【前世返り】の与える影響は、凄まじい。 たった数百年前の歴史から太古の失伝してしまった歴史を知る者、昔に滅んだ文明の英知を持って生まれてくる者、未知の技術を持つものもいる。
つまり、【前世返り】とは、とても貴重な"国の宝"なのである。
◇◆◇◆◇
さて、肝心のアイラはと言うと、朝食も食べ終わり、いつものように仕事着に着替えていた。
彼女の仕事は鍛冶屋である。
バルディア工房という鍛冶屋を始めたのが五年前、アイラが16歳の時である。 16歳で仕事を始めるのは早いような気もするが、当時、村の鍛冶屋であった『ゴズ』じいさんが亡くなったのをきっかけに、村での金物の修復が困難になった。 鍋や包丁等はなんだかんだで毎日使うものなので、皆困っていたのである。
鍛冶に興味が有り、ゴズじいさんとよくおしゃべりに興じていたアイラが、村人が止める中始めたのがバルディア工房で、あれよあれよと言う間に、村になくてはならない鍛冶屋兼金物屋になったのである。
当時から今まで変わらぬ店の前の一言看板は、村の名物でもあった。
着替え終わった(と言っても普段着の上に厚手のエプロンをまとっただけだが……)アイラは、いつものように店のカウンターに向かう。 仕事を行う際、邪魔にならないように長い黒髪を後頭部のあたりでまとめて縛り上げる、所謂ポニーテールを作りながら。
縛られたテールが彼女の動きに合わせて左右に揺れ、その存在を主張していた。 それに負けじと今は服に隠れているが、彼女の首筋の『二対の翼』の痣もひっそりと、しかし確実に己を主張していた。
どうも、作者です。
まえがきに続きあとがきでも謝罪を。
作者の行き詰まっている方の作品に待っていますと励ましのコメントをいただいておりますのに、そっちを更新せず、新しい小説を始めてしまい、誠に申し訳ございません。
あっちもこっちもちゃんとしたものを書いていくつもりですので、よろしくお願いいたします。
まえがき、あとがきは基本この回のみとさせていただきます。