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Soul Limit  作者: 零零
序章 動き出す運命
7/9

喧嘩

ほぼ即席ですが……

「くっそ、何なんだよ、このモヤモヤはっ!?」

 病室を後にして数十分が経った。邦橋は陽炎町の中で一番人で賑わう商店街を歩いていた。商店街には主婦などが多く出入りしているが今日は違う。陽炎町内の学校のほとんどが春休み明けの始業式だ。その為午後からは基本学校は休みで部活に入っていない主に帰宅部などは商店街やアーケード街等をぶらついたりしている。

 邦橋はほんの数時間ほど前に霊獣に襲われ始業式どころか学校にすら出ていない。だがそれが今問題じゃない。霊獣に襲われたのは予想外だったが、その後だ、と邦橋は思う。

(魂の救済に入れだと!?ふざけんなよ……)

 霊獣に襲われて、変な力に目覚めて、体を拘束されて、挙句の果てには強制入団だとふざけんな、とイラつきながら足元にあった手頃な空き缶を蹴り飛ばす。

「いってっ!」

 おぉ、と邦橋は感激した。漫画のようなシーンを再現できたことに。蹴り飛ばした空き缶が前方を歩いていた人の頭に当たったのだ。

「おい、お前か?この缶けった奴はよぉ…」

 いかにも不良という顔をした少年が邦橋に絡んでくる。

「はぁ?蹴ったんじゃねぇよ、どけたんだよ。邪魔だからな……」

「てっめぇ、、ぶつけたら謝れやぁぁ!!」

 そういった直後、血の気が多いのかすぐに殴りかかってくる。邦橋はそれを難なく避ける。

「なぁ、喧嘩がしてぇなら、影に行こうや。そこで相手してやるよ……」

 邦橋は親指を立てて路地裏を指す。邦橋は少しだけ笑っていた。


◇ ◇ ◇


(まだいたんだな、俺に喧嘩売るやつなんか……)

 邦橋は暗い路地裏を歩いていた。それも後ろには複数の男を引き連れて。スキンヘッド、長髪、坊主などいろいろな髪型の奴がいる。その中でも驚くのがリーゼントとモヒカンだ。リーゼントは昭和の不良っぽくて笑えるが、モヒカンとなると別だ。しかも顔つきが不良のようないかついものではなく別種。まるでどこかのダンサーか、ヘビメタのような感じだ。

 正直な話、笑いが出そうだった。がここで笑っては相手の怒りを買うだけだったのでどうにか喉元で抑えているが、少しでも変な行動をやってしまえば一気に出てしまうほどに詰まっていた。

「おい、まだなのか…!?」

 一人の男が目的の場所につかないことにイラつきを覚え怒鳴り散らす。邦橋はその言葉を無視しながらチラッと後ろを向き見るとその男はリーダーなのか、半袖の服から出ている両腕に龍の刺青が彫られている。髪型はスキンヘッドで筋肉質のいい体をしている。恐らくボクシングか何かのスポーツをやっていたと推測する。その他のメンバーは見かけだけの不良に見える。

「ここらへんでいいか……」

 邦橋は路地裏の広場のような場所にでて、動きを止める。そこは、広くはないが大人数が騒いでいられそうな長方形の広場だった。所々には、破けたゴミ袋から散乱したゴミがあり、周りを囲んでいる建物も黒く汚れていた。

「さぁ、かかってこいよ。ここなら俺は逃げることもできないしな。まぁお前らは逃げることができるぜ?」

 向け入れるように両手を広げる。邦橋を見ながら不良たちは周りを見渡す。不良たちにとっては周りを見てみろ、と言ってるように感じたのかもしれない。

「なめてんじゃねぇぞ、ゴラァァァァ!!」

 刺青を彫った、リーダーらしき男がイラつきの限界を感じたのか、筋肉質の腕を大きく振る。

 邦橋はその攻撃を難なく避ける。相手も喧嘩慣れしてるのか、すぐに次の攻撃を繰り出す。だがこの町全体を占めた邦橋にとってはその攻撃は遅く見えた。

 邦橋は男の拳を受け止める。それを見て、男と周りにいた男たちは驚愕する。

「悪いな、こちとらこの町じゃぁ無敗なんだよ……」

 ブゥン、と風を切る音が響かせ邦橋の右手が刺青を彫った男のミゾにはいる。

「こっ、ほぅ……!」

 男は腹を抑えながら前へと倒れる。だが意識はあった。普通の不良なら気絶してもいい威力だが、筋肉質の体に救われたのか目だけがこちらを向いていた。

「さて、リーダーさんもやられたけど、どうする…?」

 不良たちはその言葉を聞き、一歩後ずさる。当たり前の行動か、と邦橋は思う。多分そこそこ強いチームだったのだろう。リーダーも結構の強さを持っている。だがそのリーダーが簡単にあしらわれたのだ。逃げよう、と思う方が普通である。

「ふ、ふざけんじゃねぇぞ!お前みたいなやつにやられてたまるかぁぁぁ!」

 長髪の男が吠える。それに連れて周りにいた仲間も拳を構え、前へと走り出す。邦橋にとって複数の相手と喧嘩するのはなれているがそのほとんどが喧嘩慣れしていない不良もどきの奴らだ。ここまで強い奴らと戦うのは骨がおれる、と邦橋は思う。

 だが邦橋から笑みは消えることはなく、迫る拳を受け流し、あるいは受け止め、拳をミゾや顔面にくらわせる。複数いたはずの男は今や邦橋一人だった。

「結構楽しかったぜ。また強くなったらこいよ。いつでも相手してやる」

 服についた汚れをはらい、来た道を戻る。

 邦橋の姿は路地裏の闇へと消える。

 モヤモヤはまだ消えない……

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