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Soul Limit  作者: 零零
序章 動き出す運命
6/9

誘い

 晴れた空、青い雲、眩しい太陽。冬の寒さを完全になくし、夏の始まりを告げるような暑さを浴びながら今日東陽学院は始業式だ。通常なら午前中に終わり午後からは遊びに行ったりデートに行ったりとプランが各生徒にはある。

 だがとある少年は朝遅れての登校中、この世界を脅かしていると言っていい‘霊獣‘に襲われた。だが少年はとあるきっかけで‘力‘に目覚め見事撃退したのだった。。その少年は今日本いや世界を守っているといっていい機関‘魂の救済‘メンバー御用達の行き付けの病院に半ば無理やり連行されていた。


「なぁ、なんで俺ってここにいるんだ…?」

 ボロボロになった衣服を脱がされ白の患者服を着ることになった邦橋は今怪しげな機械の置かれた病室にいた。詳しく言うとその場にあるベッドに寝かせられている。体には深い外傷はないが体中に電極がつけられていて手足は鉄製の、よくアニメや漫画で出てくるような拘束具が付けられている。

「いま、あなたの体に異常はないかチェックしてるの……」

 と口にするのは東陽学院生徒会長であり、魂の救済の国軍レベルのメンバーである篠宮詩音だ。彼女も同じく、霊獣の討伐に向かったが見事に返り討ちにされ怪我を負ったため、邦橋と同じ患者服を着ている。だが彼女の方は平然とパイプ椅子でくつろぎ片手には本が握られていた。恐らく力が暴走しないか見張りをしているため暇つぶし用で持ち込んだのだろう、と推測する。

 ウィーン、と自動ドアが開く音が聞こえてくる。

「まったく、仲のいい幼馴染だね。その関係が羨ましく思えるよ……」

 声の感じから同い年くらいだろうか。拘束されている邦橋は医者?の声とハイヒールのような靴で地面を歩いたようなカツカツという音しか聞こえない。

「仲のいいなんて、そんな。ところで慎吾の診断結果は…?」

 篠宮は呆れたようにため息をつく。仲のいいと呼ばれたのが気に食わなかったのだろうか。

 ……まぁしょうがないだろう。俺のような不良と仲のいいと呼ばれるのだから……

「あぁ、体には特に目立ったのもはない。体調も良好だ」

 だが、と後付けのように口にする。

「お前の体の真ん中あたりだろうか」と、胸あたりをトントンと叩く。「そのあたりに、何か光のようなものがあるんだ……」

 自分の体にそんなものがあること自体が驚きだった。生まれてから約17年だろうか。特に大きな病気を持った覚えもないしさっきみたいな霊獣に襲われた記憶はない。

「その光ってもしかして……」

 今まで黙って説明を受けていた篠宮が口を開く。何か思い当たる点があるのだろうか、と自分の体なのにわかっていない邦橋は疑問に思う。

「その、私を助けてくれたとき使っていた剣があるんです。その剣は音宮の体から湧き出るように出ていた光が形になったんです。それで倒したあと剣が光に戻って体に入っていったんです。もしかしたら……」

 自分の体のことを言われているのに、おぉと感心する。そこまで現場を見ていたとは流石国軍レベルのメンバーだ、と改めて感心する。

「おい、一ついいか……?」

 黙っていた邦橋が口を開く。

「俺の体で何が起きているかは気になっているけど、まずお前は誰だ?篠宮は昔からの付き合いでわかりきっているがお前誰だ。拘束されている身で抵抗はできないがそれだけ教えろ……!お前が信用できるかできないかをな……」

 威圧するような目つきで見えていない医者?を睨む。それに応え医者?は邦橋の見えるあたりまで移動する。

「私の名前は光椰静流(みつやしみつる)だ。お前たちよりはひとつ上の先輩に値する。口には気をつけろよ2年生……」

 拘束されているからだろうか、光椰と名乗った少女からは妙な威圧感を感じる。

 さて、と光椰は咳払いして言葉を続ける。

「率直に言うが今お前の体で何が起きているかわからない。武器を具現化する能力は見たこともなければ聞いたこともない…」

 要するに手詰まりってことらしい。

「ねぇ、慎吾、あなたもう一度あの剣だせる?」

「いや、わかんねぇけど、出せると思う…」

 なんの根拠があるかわからないが本能的にそう思えた。あるいは自分の体だからだろうか。それか昔使ったことがあるのか。我ながら馬鹿なことを考えているなと思い考えるのをやめる。考えるのに夢中になっていたのかいつの間にか自分の体を拘束していた鉄製の拘束具が外されていた。

 邦橋は体を起こし、手を前に出す。アニメや漫画でよくあるシーンを再現しているように思えた。すると、光が邦橋の体から溢れ出し覆い包む。ここまでの結果は良好だ。そして右手へと光は集中していき、形を作る。一瞬邦橋の右手からまばゆい光が放たれ、握られていたのは霊獣を葬り、篠宮を守った剣だった。

「本当に、篠宮の言ったとおりだったな……」

 冗談半分で篠宮の情報を聞いていたのか、呆気を取られたようにぽかーんと少しだけ口を開けている。その言葉に反応して篠宮が可愛らしく頬を膨らませる。

「あぁ、先輩信じてなかったんですか!?」

 もう、とそっぽを向くように顔をそらせる。横顔から分かるほど頬が膨れていた。

「それで、これをどうやってだした…?」

「どうやってって、、体の中にある光に命令したんだよ……」

「命令?」

 二人して頭に?マークを浮かべる。確かにこれだけでは説明にならない。

「だから、、あぁもう!実際に言葉で表すよ……!」

 ヤケクソ気味に邦橋は頭をぐしゃぐしゃにかき回す。

「光よ戻れ……」

 そう言い放つと剣が光へと戻る。

「あるべき場所へと帰還しろ……」

 光が邦橋の体に吸い込まれていく。

 ふぅ、と息をつき二人の顔を見る。予想通り驚いた顔だ。思わず笑いそうになったが喉元で抑える。

「す、、、、ごい……」

「やはりこんな能力、見たことがない……!!」

 一人は素直に感心してるが、もう片方は近寄りがたい空気を出している。 直感的に感じた。

 ……光椰とは関わってはいけない……!

「じゃぁ、俺は帰るぜ。こんなところで暇を潰すほど馬鹿じゃねぇし暇じゃねぇんだ…」

 素っ気ない態度でベッドから立ち上がる邦橋。見ると下には東陽学院の制服を着ており、患者服はただ羽織っているようなものだった。邦橋は白いかごに入っていた無地のオレンジ色のTシャツをきてその上にボロボロになり土や血がついて汚れたYシャツを羽織る。

「ちょっと、待って」

 出口前に立つ邦橋を引き止める篠宮。まだ何かあるのか、とめんどくさそうな顔で後ろを振り向く。さっきとは違い真面目な顔つきに篠宮はなっていた。

「あなたには、魂の救済に入ってもらうわ。正直関係のない人、素人には関わらせたくないことだけど……」

 少し落ち込み気味に言ったセリフはおそらく本意だろう。声や立ち振る舞いに異常はないが、幼馴染だからわかるような気がした。

「あなたは、力に目覚めた。それなら話は別だわ。その力が悪用されないように、ってのもあるけど第一にあなたの力は強大すぎる。S級の霊獣を一発の斬撃で仕留めたその力、世界を救うために使って欲しい……」

 魂の救済に入れ。つまりあの化物と戦えということだ。一撃で体を吹き飛ばし、死ぬほどの痛みを味あわされたあの霊獣と。

「ちょ、待ってくれ。俺をもう一度あんな化物と戦えとっ!?」

 冗談じゃない、心底そう思えた。

「結論から言うと、そうよ……」

 篠宮の目はまっすぐ邦橋を見ていた。揺るぎない瞳。邦橋は一歩後ずさり、

「少しだけ、考えさせてくれないか……」

 大変複雑な心情だ。誰かを守りたいという気持ちが答えてできたのがこの力だ。だが自分のような不良が守る?馬鹿馬鹿しい。だけど守ると言ってしまった。いろいろな考えが頭に浮かんでは消えていきぐちゃぐちゃに混ざり合う。

「答えは明日の、朝にだす……」

 邦橋は複雑な表情を浮かべ静かに病室を去った。

「色々、複雑な2年生だな……」

「はい……」

「昔は、あんなんじゃなかったのにな……」

 


まだできたばかりで修復するところなどあるかもしれません。少しずつ改良していきます!

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