H:二人の好物とタピオカ試飲と面白い感想
「雛菊ちゃんはグラタン好きなの?」
「ええ。牛乳の味とかチーズの味が好きなの」
「ならクリームシチューも好き?」
「うん。大地君は何が好きなの?」
「僕は貝類のカキとかトマトが好きだな」
「トマト?」
「うん。生のトマトも好きだけどケチャップやミートソースも好き」
「オムライスとか?」
「そうそう」
「カプレーゼも?」
「カプレーゼって何?」
「トマトの輪切りとクリームチーズの輪切りを並べて、オリーブオイルとハーブを散らしたサラダよ」
「ああ、テレビで見たことある。あれ、カプレーゼっていうんだ。確かにおいしそう」
カプレーゼは私も大好きなの。二人で好物の話していたら料理が届く。チーズのいいにおいがするシーフードグラタン。スプーンで小皿に移すとグ中身はマカロニ・ホタテ・イカ・エビ・玉ねぎ・キノコとたっぷりのクリームソースとチーズ。口に入れると魚介のうまみと濃厚なクリームの味が口中に広がっておいしい。
「おいしいでしょ?」
ふんふん
「ここのグラタン時間はかかるけど、料理人の人がクリームソースから手作りしてるから作りたてでおいしんだ」
大地君がフォークにサラダに乗っているトマトさしながら説明してくれる。それから私たちはいろいろはなしながら食事を勧める。
レストランを後にして15:00ごろまでデパートを探索する。
「雛菊ちゃん、解体文房具があるんだよね?」
「ええ。シャーペンが欲しいの」
間違って踏んじゃってシャーペン壊しちゃったのよね。予備はあるけどちょうどいい機会だから買おうと思ってたの。2階にある文房具屋でシャーペンを見てると
「僕はこれを買おうかな」
大地君は太陽の絵柄と押す部分に小さい太陽のアクセサリーが付いたシャーペンを手に取っている。
「いいデザイン」
「でしょ。一目で気にいったんだ。ほらデザインが似たので月タイプもあるんだ」
大地君が指さした場所には月の絵柄と押す部分に小さい月のアクセサリーが付いたシャーペンが置かれている。うん、これにしよう。
そして今回の目的地であるタピオカ屋に向かう。
「すみません。タピオカ下さい」
「はいよ。何味がいい?」
「大地君、どうする?」
「じゃあ、ミルクティーで」
「私はオレンジジュースで」
「了解。ちょっと待ってな」
男の店員さんが慣れた手つきで作ってくれたタピオカを渡してくれる。商品を受け取った後近くのテーブルに座り早速飲んでみる。搾りたてのオレンジジュースの中にぷにぷにとした触感のタピオカが流れ込んでくる。
「どう?大地君」
「うん。確かに触感は面白いけど無理して思うとは思わないかな。これだったら普通のジュースでいいかも」
どうやら大地君の好みじゃなかったみたい。
「やっぱり?私も実はそこまで好きじゃないのよね」
「そうなの?つき合わせちゃってごめん」
「気にしないでファミレスにも行ってみたかったし、これもいい経験でしょ?」
実は私もそこまで好きじゃないのよね、タピオカ。残すのももったいないので飲んでいると
カシャカシャ
2つ先のテーブルで女子高生のお姉さんたちが胸にタピオカを載せて携帯のカメラで写真を撮っている。
「何、あれ?」
「ああ、タピオカチャレンジね。胸にタピオカのカップを載せて写真を撮ってSNSに載せるんだって」
「ふーん。食べ物で遊んじゃダメって習わなかったのかな?」
ぶふぅ
「!、大丈夫?雛菊ちゃん?」
「ゲホゲホ、大丈夫大丈夫。そうね、小学生でも知ってるのに」
思わず笑っちゃった。クラスメイトの男子とは反応が違う。確かにそうね、食べ物は大切にしないと。今度、私も使おうかしら?
こうして初めての二人でのお出かけは終わった。
その日の夕食でその話を両親にすると
「あはははは、面白いな大地君は。そんな感想が出るなんて」
「ええ。いいご両親に育てられたのね」
二人とも笑ってくれたわ。




