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H:図書館の気になる男の子

「すまんな、雛菊」

「仕事じゃしょうがないよ」


今日はお父様・お母様と一緒にショッピングをして夕食を食べるつもりだったんだけど、急遽仕事で対応しなければならないことができてショッピングが無くなっちゃった。父様と母様が仕事の対応している間待っているだけだと暇にだから執事の長門さんに頼んで近くの図書館に送ってもらった。


 図書館なら人目もあるし、本を読んでれば時間は過ぎるしね。


「あれ?」


 気になる子を見つけた。土曜日の昼頃図書館を利用している人は少なく、おじいちゃんやおばあちゃん・大学生・主婦などが静かに本を読んでいる中に同じくらいの年の男の子が本を読んでいる。読んでいるのは200ページの本格的な小説。手元の表紙からあれは異世界系などのタイトルが多いラノベだね。机の上にはほかに漢字辞典や国語辞典・英話辞典なども置かれていて時々ラノベの合間にページを開いている。いったい何をしてるんだろう?


 何をしてるのか気になって、読書の邪魔にならないように背後に回ってみると


か、かわいい


ちらっと見えた挿絵の猫の絵に魅入っちゃう。もこもこした毛並みに小さな羽で宙を浮いてるの。尻尾の先のはワンポイントでリボンもまかれていて、よりキュート。毛並みの色は白かな?薄い青とか?モノクロの表紙でわからないや。


「ねえ、その猫の名前は何て言うの?」


勢いあまって聞いちゃった。男の子は最初驚いていたけど説明してくれた。


「この子の名前はフェルトっていうんだ。フェルトは精霊の子供で主人公のリーフと一緒に世界で封印されている7人の大妖精の封印を解いてるんだ」

「フェルトちゃんっていうんだ。どんな毛並みしてるんだろう?」

「ちょっと待ってて」


男の子は本を私に渡すとどこかに行ってしまう。挿絵を見て待ってると男の子は数冊の本を持ってくる。


「このシリーズは7巻出ててね。今読んでいる最新刊以外はフェルトが表紙に載ってるんだ」


 男の子が持ってきてくれた本の表紙には白銀色の毛並みをフェルトちゃんが載っていた。カラーになるとさらにきれい。


「ねえ、ここで読んでいい?」

「いいよ」


私も内容が気になったからこの『セブンスフェアリークエスト』を読むことに。冒頭の2ページほど読んでいると彼がさっきと同じように『セブンスフェアリークエスト』を開きながら別の辞書を開き始めた。


「ねえ、何してるの?」

「んー・・読めない漢字が出たから読み方と意味を探してるんだ」


なるほどそのための辞書か。確かに漢字のほかにたまに英語のカタカナ読みも出てくるもんね。そのために英和・和英辞典もあるんだ。


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