初陣
幽州の刺史(長官)劉焉は、劉備達の挙兵を受け、同姓ということもあってひどく喜んだ。
「貴殿らが義軍として集まったことは、まことに素晴らしい。歓迎しよう」
彼らはこうして、将軍鄒靖――義勇兵を募る事を提案した男である――率いる幽州軍に従うこととなった。
幽州軍は、黄巾軍の陣近くに迫っていた。
ここを統べる武将は程遠志である。
劉備達は、このような事を話していた。
「義兄上、我らの初陣です。ここは我らが先手となりたく思います」
「黄巾賊共をブッ潰してやろうぜ」
「私もそう思っていたところ。将軍に掛け合ってみよう」
先手は、軍の先頭に立って一番に敵と当たるために、互いに損害が大きくなる。
鄒靖は、一も二もなく賛成した。
「貴殿らが先手となってくれれば、心強い」
一方の黄巾側では、完全に敵を侮っていた。
「ついに幽州軍のお出ましか」
「待て、様子が変だ。兵士の鎧が幽州軍のものじゃない。あれは恐らく、州が募った義軍だろう」
「義軍?とうとう自前の兵も用意できず、義軍に頼るようになったのか。あんな烏合の衆、蹴散らしてやるわ」
こうして、劉備らの初陣が幕を開けた。
互いに鬨の声を上げて接近する。
「張翼徳ここにあり!!」
まず動いたのは張飛、副将の鄧茂に、ものを言わせる間もなく、蛇矛の一撃で突き殺した。
「よくも鄧茂をやりやがったな!!」
程遠志が向かうが、
「ここが貴様の死に場所だ!!」
と、青龍偃月刀が唸りを上げる。
程遠志は、ただの一合と打ち合うこともなく、関羽に真っ二つに斬り捨てられた。
あっという間に二将を討ち取られ、黄巾軍は総崩れとなった。