黄巾立つ、対する朝廷は
張角三兄弟が太平道を興してからのこと。
十数年のうちに、農民から果ては国の高官までもが加わり、信者は数十万にまで膨れ上がっていた。
張角達は、腐った漢朝を倒し、善政を敷いて民を救う事を決意した。
――そうして訪れる一八四年……
蒼天已死 漢朝の天運はもう尽きた
黄天當立 今こそ太平道が立ち上がる時だ
歳在甲子 干支の最初であるこの年なので
天下大吉 きっと天下は幸福になってゆく……
張角三兄弟はこれをスローガンに信者を率いて反乱を起こした。
目印として頭に黄色の布を付けた為、黄巾の乱と呼ばれた。
これをみて、困窮した者達は争うように乱に加わり、その勢力は膨れ上がっていった。
黄巾の乱は、漢全体に広がるものとなった。
その頃の朝廷では、十常侍と呼ばれる十の中常侍たちがのさばっていた。
彼ら――当時は人間ではないとされていたが――は、自ら宦官となって天子に仕え、身辺の世話をしたため天子に気に入られ、いつしか政治にも口を出すようになった。
この十常侍たちは、自分たちに都合の悪い者達を次々に朝廷から排除していった。
二度に渡って行われた党錮の禁である。
さて、張角達の黄巾の乱を受け、ついに排除された豪族達が再び招聘され、各地で黄巾と対峙することになるのである。