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機械仕掛けの英雄譚  作者: 十六夜 秋斗
Prequel<B>,『セピアの過去』
344/476

344,

 2070/10/15 <log> 3/3


「はあ……はあっ、」

 ――いったい、なにが起きているっていうんだ?


『緊急避難……アーティファクトの襲撃――速やかに……』

「くっそ、電波状況が悪すぎる」

 ――ネットワークも遮断されてる……ってか、回線が切れてんのか? これじゃあ、なんもわかんないな

「アーティファクトの襲撃? 誰がそんな事するんっていうんだよ」


 《旧アスピトロ第一隊屯所・区域(エリア)Aハッチ》


「やれやれやれっ! 人間を許すなああああっ」

「追えっ!」

 ――あいつら……


「なに、やってんだよお前ら」

「人間……って、アキラ!?」

「生きてたのかよアキラ」

「そんなのどうでもいい。どういう状況なんだこれ(・・)は……人間を襲うって、どういうことなんだよ!?」

「は? 見りゃわかんだろうが、人間に復讐してんだよ」

「アキラも一緒に来てくれ、人手が足りないんだ。今日中に“首都”を壊滅させないといけない――人間も、ひとり残らず」

「なんで……なんでそんな考えに至ったんだよ。俺たちは人間を守るために造られたアーティファクトだろうが」

「「……」」

「今すぐこんな馬鹿げたことはやめろ。第一、誰の指示でやってんだよこんなこと」

「アキラは、人間が憎くないのか?」

「あ?」

「お前だって、人間に棄てられて行く先が無くなって……オレたちとおんなじじゃねーのかよ!?」

「……お前ら、ほんとにどうしちまったんだよ。なんで、こんなこと」

「みんな人間が憎くて集まっている。南方の方でも同じように決起して、一斉にあちこちの都市を襲っているって聞いている」

「……」


「――おい、お前たち! グズグズすんな、早くこっちへ」

「っ!? わかった、すぐ行く――今、味方が増えたんだ! アキラ……お前も来てくれって」

「さっきも言ったが人手が足りない。どうせ“首都”の人間はこれで滅びるんだ。今さらなにを躊躇うことがある?」

「そうそう。過去に人間は俺たちを棄てたし、生かしておいたところできっとこれからも戦争を繰り返す。俺たちの復讐心を満足させるためだけじゃない。これは未来の平和を実現するためにやむを得ないことなんだよ」

「……」

「……」

「っあー、もう! アキラ、迷うな」

「戦争が終わってから、お前はあまり他の奴らとつるむことはなかったと思うから、突然のことで驚いている気持ちはわかる。でも……とにかくついてこいって」

「……」

 ――意味がわからない

 ――俺は、人間が……憎いのか?


 《旧アスピトロ市街地・西の市場地区》


「こっちにもいたぞ!」

「一匹も逃がすなっ」

「ほら、アキラ! ぼーっとしてんじゃねえよ、早くっ」

 ――人間が……憎い?

 ――そりゃ、人間のことは、

「好きじゃない……だけどさ」


「逃げんな!」

「お前らのせいで……お前らのせいでっ!」

「オレたちのせいじゃねーんだよ。戦争を起こしたのは……人間(テメエら)なんだよっ」


 《前方生物生体反応を確認》


「いやあああっ!」

「おかあさん!」


「俺たちを棄てたのは、」

 ――ああそうだ。俺を傷つけたのも、何もかもを奪ったのも全部人間だ

「……本当に?」

 ――本当に、そう思っているのか?

「なにも……何もかも、人間が(・・・)奪ったのか?」

 ――本当に、心の底からそんなこと思っているのか?


『感情に任せて得た判断っていうのは、自分の中で一番正しい判断になるんだよ』


「感情……」

 ――何もかも奪われた? ちげーよな


『感情は役に立つものでした。これだけは……あんたが教えてくれたことです』


「俺は……あの人にもらったんだよ」

 ――全部……感情も仲間も親友も“妹”も……“家族”だって、みんな制作者(あの人)がくれたんだ

「あの人は……なんて言っていた?」

 ――俺は? アーティファクトは?


『今日から君は、』


「くたばれっ! 人間めえええええっ!」

「おかあさん!!」



『この《アスピトロ公国》を守る騎士だ』



 《固定モーションA》

 《起動中》


「――させるかっ」

「っ!?」


 《前方敵影(・・)を補足》


「――っあ、エミリっ! 大丈夫?」

「おかあさん! おかあ……さ……っ」

「……おい、なにしてんだよアキラ!」


「俺はアーティファクトだ。俺は……人を守るための機械だ!」


「はあ!? ふざけんなアキラ! お前……仲間とやり合おうっていうのかよっ」

「アキラ、考え直せお前は、」


「うるせえ、全部俺の判断だ」

 ――俺の感情に基づく、俺だけの考え……

「俺は、たとえお前らを殺すことになったって、」

 ――譲らない。絶対に譲らない。マスターが……人間がくれた大事なものだ


「独りになろうがなんだろうが」

 ――戦ってやるよ、人間のために



<備考>

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