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機械仕掛けの英雄譚  作者: 十六夜 秋斗
Prequel<B>,『セピアの過去』
343/476

343,

 2070/10/15 <log>  1/3


「……はあ」

 ――見つかんねーな


『《ノイズ》』

『――“首都”公営放送ラジオが七時をお知らせします』

『《音楽》』

『おはようございます。ニュースモーニングのお時間です。まず最初はこちらのニュースからお届けします』

『戦争終結から五十年という節目の年を迎え、政府は公的に使用する戦争の名称を『第二次機械戦争』とすることを発表しました。また、その前に起きた戦争を『第一次機械戦争』することとし、今後は大学園(アカデミー)で使われる教科書でなどでこのように記載されることになります』

『政府としては『第一次』『第二次』とすることによって、それぞれの戦争の差別化を図りたい。という思惑があるようですね――』


「え? 終戦(あれ)から五十年も経ってるって、マジかよ」

 ――どおりでこの周辺もアーティファクトが減っているんだな。

「っていうか、最近は本当に誰もいなくなったな……汚染区域の環境だと、流石のアーティファクトでも経年劣化で壊れるもんなのか?」


 《“首都”公立ネットワークに接続》


「アーティファクトを追い出したのに、アーティファクトが“首都”内部のネットワークを閲覧できるって――セキュリティーがガバガバすぎるな」


 《ネットワークホーム»トップニュース一覧》

【<特集> “首都”初の女性大元帥 ユークレクス氏に特別インタビュー】

大学園(アカデミー)入学者が爆発的に増加 その背景とは】

【終戦から五十年 機械工業の今】

【“首都”外部よりお越しの皆様へ 〜放棄されたアーティファクトに関する注意情報〜】


「これといって役に立ちそうな情報もないな」

『――続いてのニュースです』

 ――五十年も“首都”の外をほっつき歩いてきたわけだが


「いい加減、諦めたほうがいいのかもしれないな」


 《ネットワークホーム»検索»アーティファクト 寿命》

【アーティファクトに寿命の概念はあるのか? ――ブログ 機械のQ&A

 アーティファクトに寿命はありませんが、それはきちんとしたケアをしている場合で……】

【アーティファクトの環境的耐性に関する論文 ――大学園電子書庫公式

 約二十万冊の蔵書をオンラインでご利用いただけます。アーティファクトに関するデ……】


「そうだよなぁ。直す環境が無いんじゃ、機械は壊れたらそれっきりだ」

 ――今は、アーティファクトを直せるような人間はいるのかな? だって、もう公国――じゃなかった、“首都”にはアーティファクトはいないし……

『――大元帥、並びに元老院(セナトス)は今後の廃棄したアーティファクトの扱いに関して次のように述べて……』

「もう……みんな壊れちゃったんだろうな、きっと」

 ――じゃあこうやって、独り言をブツブツ呟きながらこれから生きていくのか?


「みんないなくなっちゃったなら、もういっそ……」

 ――壊れてしまったほうがいいかもしれない



<log>  2/3


 《汚染区域(エリア)A-739・“首都”外縁地域》


「これ以上街のほうには近づけないな。今日はこの辺を探すか」

 ――まだ撤去されてないアスピトロ時代の建物の残骸とかも残っているし、他のアーティファクトが潜伏しているかも


『時刻は八時二十分となりました。今日の天気予報です』

『マザーの予報によると、今日から明日にかけて“首都”近郊の天気は快晴です。洗濯をするにはちょうどよいお日柄になりそうです』

「平和だなぁ」

 ――少なくとも人間は、だけど


『続いて、主要都市の天気を――え?』

『――なに……どういう……』

 ――?

「なにかあったのか?」


『……緊急速報です! “首都”西側の地域で突如、何者かによる襲撃が起こっています……!』

『該当区域にお住まいの皆様、直ちに安全な場所に避難してください』

『――東側でも同じようなことが……』

『直ちに安全な場所への避難を……っ』


「……なにが、起きているんだ?」

 ――“首都”になにか(・・・)が……攻め入っている……?


『繰り返しお伝えします! 直ちに……』



『速報です! ――アーティファクトです! アーティファクトが“首都”に侵入し、人を襲っています!』

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