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機械仕掛けの英雄譚  作者: 十六夜 秋斗
Prequel<B>,『セピアの過去』
327/476

327,

 2011/5/23 <log>  2/2


 ――おい、冗談だろ?


「……“妹”? 俺の?」

 ――コレ(・・)をプレゼントだっつったか? あの人は

制作者(マスター)は、また俺の“複製(クローン)”を造ったのか」

 ――年々、頭も倫理観もぶっ壊れてくな、マジで……あーもう

「まあ、いいや……お前、名前は?」


 ――なんだ、この弱っちそうなアーティファクト。本体は……ああ機械長弓(コンパウンドボウ)か。黒鉄製とか、マスターも珍しいことするな


「し……シオンという。あなたが、あたしの“オニイサン”だとマスターから聞いた」

「別に、兄じゃない」

「ふえ!? そ、そうなの? いやでもマスターはそう、言ってて……」

「っ……」

 ――なんだこいつ、リアクションがオーバーすぎるだろ。やりづれえ……

「マスターが、お前のことを俺の――プレゼント(・・・・・)だーとかなんとか言ってたけど、どういう意味だ」

「?」

「知らねーの?」

「えっと……あの、マスターがあなたについていけって」

「は?」

「あえ……あの、軍本部に一緒に連れて行ってもらえって。だから、一緒に行く」

「……」

「……?」

「ちょっ、ちょっと待ってろ」


「あの――マスター!」

「ん? どうしたんだい、アキラ」

「どうしたもこうしたも無いです。なんですかあいつ」

「?」

「シオンとかいうアーティファクトっすよ! 流石に手違いですよねあんなの。あんたどんなプログラミングしたんですか? あいつに」

「ああ、会ったのかいあの子に。どう? 可愛い子だろう」

「いや知らねーし。つか、今すぐあいつどうにかしてください。俺についてくるとか言ってるんですけど」

「え? うん。そうだけど」

「――はあ?」

「だって君、どれだけ連れていきなさいって言っても“兄弟”たちを自分そばに置こうとしないでしょ? 私がなんのために君の“兄弟”を造り始めたのか、忘れてしまったの?」

「いや……そういうことじゃ、」

「あの子はね、黒鉄製装備の試験品として造った子なんだ。君と同じモデルを使ったんだけど、想像以上に出来が良くてね。このまま軍部に送り込んでも遜色なく使える。だから、君が連れていきなさい」

「……ふざけないでください」

「ふざけていないよ?」

「おかしいって言ってますよね!? なんで俺が、自分のクローンを連れ回さなきゃいけないんですか?」

「ねえアキラ……」

「なんで、あんたはいつもそうなんですか? 機械っつっても、俺たちアーティファクトには意思があるんですよ。それを量産して中途半端に慈しんで……機械だからなにしてもいいとでも思っているんですか?」

「っ!? 違う、そんなことは」

「いいえ、そうなんですよ。あんたはそういう人間です」

「……」

「あんたの家族ごっこに……ままごと遊びに付き合うのは、もううんざりです」

「……アキラ、」

「あのアーティファクトはここに置いていくんで。あれも他の奴らと同じだ」

「……」


「軍本部に戻ります。メンテナンスも、あっちでやってもらうんで――もう、呼び戻すのはやめてください」


<><><>


「ま、待って!」

「……」

「ねえ、あたしを連れて行ってよ」

「……お前はマスターのとこにいろ」

「え? だってマスターは、」

「お前は俺には必要ないって言ってんだよ。ついてくんな」

「……」

「……」

「いい加減にしろ、ついてくるなって言ったのが聞こえなかったのか?」

「――あたしは」

「あ? ぼそぼそ喋るんじゃねーよ、聞こえない」


「あたしは……あなたのために造られたアーティファクトなのに……」


「は?」

 ――それ、どういう


「シオン、兄さん! やっと見つけた……」

「――んだよもう。兄さんて呼ぶなってあれほど」


「マスターが……マスターが、倒れた」


「「!?」」

「ちょっと待て、どういう意味だよそれ」

「――マスター、ずっと体調が悪くて。兄さんには言わないでって、言われてたんだけど……でも無理だよ」

「……」

「兄さんっ」

「……あーもう、なんで」

 ――あの人はいつもこうなんだ


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