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6.そんなに…!?

「あぁ、お嬢様!お目覚めになられたのですね!本当に、良かった…。今、奥様を呼んでまいりますね。」


 付きっきりで看病してくれていたらしい侍女が言う。確か、名はアンナといったか。マーガレットとしての記憶があるため、先程までは違和感しか無かったここも随分と慣れた場所のように思える。


(にしても、どれぐらい寝ていたのかとか何もわからないうちに行っちゃったな。)


 倒れた時までの記憶はあるが、そこからは寝ていたのだ。どれぐらい寝ていたのかなど知るはずもない。太陽の位置からして昼頃だとは思われるのだが。

 そんなことを考えているうちに、アンナと一緒に誰かが部屋へ入ってきた。


「メグ!良かった、目覚めたのね!…もう、目覚めないのかと思って心配したのよ?」


「お母様…。」


 するりと口からこぼれる。そう、部屋に入ってきたのは、マーガレットの母親だった。ちなみに、メグとは私の愛称だ。

 記憶が入ってきた時に、マーガレットとしての人格も一体化したと感じたのは気のせいではなかったらしい。お母様、という言葉が何よりの証拠だ。

 母、アイリス・カーマインは、私よりも若干色の濃い深紅の瞳に、明るい茶髪の美女だった。身内からしてみても、とても綺麗だと思う。だが、今はその瞳が僅かではあるものの不安定に揺れていた。


(めちゃくちゃ心配させたっぽいな。)


「お母様、わたくしはもう大丈夫です。たくさん心配させてしまって、ごめんなさい。」


(口調は何も考えなくても所謂お嬢様言葉になるの、すごいな。)


 目覚めたことで、先程よりもかなり一体化しているようだ。そのうち、はなやマーガレットといった分類も無くなり、完全に一体化してマーガレットになるような気がした。


(まぁ、その方がいいよね。だって、これからはずっとマーガレットとして生きていくんだし。)


 そんなことを考えている私がボーッとしているように見えたのだろうか、母はこう言った。


「貴女が謝る必要はないわ。母親ですもの、倒れた時は心配させてちょうだい。それに、自分では大丈夫言っていても、まだ本調子ではないように見えるわね。しばらくしたら様子を見にまたくるわ。それまで、休んでいて。

アンナ、もしマーガレットが大丈夫そうであれば、これまでのことを話してあげて。」


 そして、母は部屋を去っていった。


 アンナはというと、母の言葉に頷いて、彼女を見送った後に私の様子を見ていた。そこで、私はアンナに今の状況を尋ねることにしたのだった。


「アンナ、聞きたいことがあるのだけれど。」


「何でございましょう?」


 アンナは今はまだ大丈夫そうだと判断したようだ。


「今日は、魔力属性判定式の何日前なのかしら?それに、わたくしはどれぐらい眠っていたの?」


 これを知らないことには何もできないのだ。逆に、これさえ分かれば他はどうでも良かった。


「魔力属性判定式は、明後日でございます。お嬢様は約三日間ほどお眠りになられておりました。」


「そんなに…!?」


 思わず心の声が漏れてしまった。そこまで寝ていたとは思いもしなかった。長くても一日半程だと思っていた。予想の倍である。

 だが、過ぎてしまったものはどうしようもないので、魔力属性判定式より前に目覚められて良かったと思うしかない。


「本当に、みんなに心配をかけてしまったのね。」


 そう言う私にアンナは、


「お嬢様が元気な姿を見せれば皆様安心なさると思いますよ。そのためにも、もう少しおやすみくださいませ。」


 と言い、私はもう少し横になって今後について考えることにしたのだった。

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