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5.ただの物語ならいいけど

 先程聞いた話と照らし合わせて考えると、今は魔力属性判定式の一週間前辺りではないかと思われる。

 この国では、8歳になった(なる)貴族の子どもが、自分の生まれ季節の2度目の光の日に王城へ集まり、魔力の属性を判定するのだ。

 ちなみに、この国の季節は春夏秋冬。一年十二ヶ月で、1ヶ月二十八日、つまり四週間だ。四月から春となり、季節は三ヶ月ごとに変わる。曜日は、日本でいう月曜日から順に、火の日、土の日、水の日、木の日、風の日、光の日、闇の日、だ。時間や十進法なのは日本と同じである。


(ま、日本の小説だし。そんなもんだよね。)


 そして、肝心の属性は、火、土、水、木、風、光、闇。そう、曜日と同じだ。とても覚えやすい。この属性も、身分によってある程度判定される数の傾向がある。

 男爵家から侯爵家まで、ごくごく普通の貴族は、ほとんどの場合が一つである。公爵家は二つのことが多いが、一つでもちょっと珍しい程度で、何らおかしいことはない。逆に、侯爵家が二つになるのは稀である。そして、王族は三つだ。それ以上でも、それ以下でもない。もし王族で二つのことがあれば、その人は王族としての血を引いていないと見なされる。ただ、不思議なことに、母親や父親が王族だったとしても、婿や嫁に出ていて王族から抜けている場合は二つ以下になる。

 また、判定される属性数は今までで三つが最高である。


(で、マーガレットは三つ判定されるんだよね。)


 とはいっても、乙女ゲームでは判定された属性は光と火の二つだった。だが、椿が入ってきたことにより、闇が追加されたのである。勿論、その時は騒ぎになっていた。両親の不貞等も噂されたが、幸いにも(?)マーガレットの両親はおしどり夫婦として有名だったため、極々稀なケースとして処理されたのだ。


(っていう、ストーリーね。なんで三つになったかについては言及されてなかったけど。)


 おそらく、私も三つ判定されるのであろう。だが、元の小説でもどうにかなっているのだから私が心配する必要は無いはずだ。


(問題は、ここでヒロインが霞んじゃうことなんだよね。)


 そう、乙女ゲームのヒロイン、ネーレイスも同い年で生まれ季節も同じなため、参加する魔力属性判定式も必然的に同じになるのだ。

 ネーレイスは、元々平民である。だが、大切な人がいじめられ、傷付けられたときに怒りを爆発させ、魔力を放出させてしまった。平民でも、稀に魔力を持って生まれてくる者はいる。ただ、ネーレイスは魔力が膨大な量であった。そのため、貴族に目をつけられ、養女として男爵家の一員となったのだ。今はネーレイス・オランジュとして育てられ、生活しているはずである。


 で、問題はそのヒロインの判定属性数だ。そう、平民出身にも関わらず、属性数が二つなのだ。それだけではない。ネーレイスは、魔力量がアホみたいに多い。どれぐらい多いのか。王族と同等レベルである。

 乙女ゲームの中では、この属性判定式で二つ判定されたのはマーガレットとネーレイスだけだった。そして、マーガレットは公爵令嬢だったため注目されることはなかったし、ネーレイスの桁違いな魔力量もあり、ネーレイスがその場の関心を全てかっさらっていったのだ。その後に判定する人が可哀想になるぐらいに。しかも、自分よりも目立ったヒロインに悪い意味でマーガレットは目をつけてしまう。これが、彼女が悪役令嬢となるきっかけなのだ。

 だが、マーガレットの属性数が三つとなると、その場の注目はマーガレットとネーレイスに分かれてしまう。いくらネーレイスの魔力量が多いといっても、身分が上のものであれば、ないこともない。それに対し、属性数が二つと三つでは大きな壁がある。しかも、マーガレットの方が身分が高い分、注目度が高くなってもおかしくない。


(ただの物語ならいいけど、自分が実際にそれをやらかすとなるとちょっとなぁー。それに、ネーレイスちゃんには目立ってもらいたいし。)


 私には、是非ともヒロインちゃんに目立ってもらい、やってほしいことがあるのである。


 と、そこへ。


「・・・様、・・・嬢様、お嬢様」


(誰かの、声がする?てことは、そろそろ起きれそう、なのかな?)


 そして私は目を開けたのだった。

お読みいただきありがとうございます。

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