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20.うちの執事は優秀だから

「よかろう。だが、絶対に危ないことはするな。怪我をしたら即刻辞めさせるからな?」


 やっぱり過保護だわ! 怪我ぐらい付き物でしょ!

 でもここでそれは嫌だ、とでも言えばダメだと言われることは目に見えている。これぐらいは仕方ないか、と割り切った。


「わかりましたわ」


 そう返事をすればお父様は満足そうに頷いた。

 そして、軽く後ろを振り向く。


「セバス、手配してやってくれ」


 セバスとは、うちの執事の名前である。

 定番中の定番の名前でかなり覚えやすい。


「かしこまりました、旦那様」


 セバスはそう言って一礼する。

 うちの執事は優秀だから、かなり早く準備は整うだろうが、それでも1ヶ月程かかる可能性は否定できない。

 特に、私が着る服の準備には時間がかかってもおかしくないのだ。


 だが、私は特に服にこだわりはない。

 公爵令嬢としてどうなのか、というのは聞かない約束である。


「ねぇ、セバス。どれくらいで始められそうかしら?」


「そうですね……。お召し物のことも考えますと、約1ヶ月程かと」


 予想通りである。だが、私はできるだけ早く始めたい。


「お父様、わたくし、明日にでも服を買いに行きたいわ。できるだけ早く始めたいの!」


 目をキラキラさせ、手を前で組んでお父様を見つめる。

 これが一番効果があるというのは、これまでのお父様との交渉やら何やらで学んでいた。わたしは学ぶ女なのだ。


「うぅーむ。私としてはちゃんとしたものを用意してやりたいのだが。そんなに言うなら仕方あるまい」


 父親が愛娘からのおねだりに弱いというのは異世界でも同じらしい。


「明日、買いに行った後で仕立て屋を呼ぼう。完成次第それを着れば問題なかろう」


 そもそも問題とは何かをわかっていないのはわたしだけでしょうか。

 でもまぁ、それでお父様が納得するなら構わない。


「ありがとう、お父様」


 こうして、わたしは見事許可を勝ち取り、準備をすることになったのだった。



***



 そして翌日。

 御用達の服屋が、色とりどりの服と共に応接間へとやってきていた。


「お嬢様、どれにいたしましょう?」


 そう尋ねたのはアンナだ。

 正直に言おう。どれもほとんど同じに見える。色が違うだけじゃないのか、と言いたい。

 だが、流石にお嬢様としてそう言うのはどうかと思われるため、必殺技を使うことにした。


「そうね……。どれも素敵で迷ってしまうわ。アンナはどれがいいと思って?」


 そう。丸投げである。

 きっとアンナならわたしに一番似合う物を選んでくれるだろう。その点においては、わたしはアンナをとても信頼しているのだ。勿論、他の面でも信頼しているが。


「お嬢様には……こちらの赤とピンクの物がお似合いになるかと」


 まさかの赤とピンク。

 わたしの目の色が赤いからだと分かってはいても、前世の記憶的に高校生なわたしにはちょっときつい配色である。

 リボンがないだけマシかもしれない。


「そ、そうね。アンナがそう言うならそれにしようかしら」


 別の服の方がいいと言った所で、何がいいのかと聞かれた時に答えられないわたしには、それを受け入れるという選択肢しかなかった。


 試着をして、サイズを合わせていく。

 ここまでちゃんと合わせるなら新しいの仕立てる必要はないのではないか、と思うほどである。


 何はともあれ、服は準備できた。わたしに出来ることはもうない。他の人たちの準備やら何ならが整うまで待つだけだ。

 とはいえ、うちの執事は優秀だから、きっと明後日までには準備が整うことだろう。


(よし、これで前世の憧れにちょっと近づいたぞ!!)

不定期更新どころの騒ぎじゃない……!

これからもぼちぼち更新していければと思っておりますので気長にお付き合いくださいませ

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