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2.私の名前は

「お嬢様、お嬢様。朝ですよ。起きてくださいませ」


「ん〜、もうちょっと……」


 まだ眠い。わたしは朝に弱いのである。


(それに、こんなに優しい起こし方をされたら起きられる訳が……)


「お嬢様、早くお起きにならないと間に合いませんよ」


(何に間に合わないんだろ? 今日は早起きしないといけない理由なんてないはずなのに)


「マーガレットお嬢様! 起きてください! いつもはもっと早くお起きになるでしょう!?」


「ひゃい!!」


 突然の大声にわたしは飛び起きた。


(さっきまであんなに優しく起こしてくれたのに!? あまりにも違いすぎない!? 思わず変な声が出たわ。にしても、ここどこよ?)


 夜も同じことを考えた。見知らぬ場所にいるという状況で意識が覚醒し、夜のことを思い出す。


(そうだ、わたし、階段から落ちて、そして……。ん? 階段?)


 夜は思い出せなかった「夢」の事まで鮮明に思い出せる。


(わたし、急いでて階段から落ちて、そして……。どうなった? それに、なんで急いでたんだっけ?


ううん、違う。これは夢で、階段から落ちた所で目が覚めて。今が、現実? でも、さっき誰かがわたしのことを「マーガレット」って呼んだよね。マーガレットって、誰? わたしのことなの? それとも、別の人?


しかも、いつもって? わたしはいっつも寝坊してて、怒られてた。でも、誰に怒られてたんだった?)


 夢か、現実か。マーガレットとは誰なのか。わたしは誰なのか。ここはどこなのか。大混乱である。


(何か、重要なことを忘れてる気がする。でも、それが何かわからない……)


 何を忘れているのかと必死で記憶を探る。だが、夢の内容と現実の内容がごちゃまぜになっている頭の中では、簡単には見つけられない。

 となれば、今わかっていることをまとめるしかなかった。


(何がわかる? わたしの名前は? 少なくとも、わたしは、マーガレットじゃない)


 手始めに、名前を思い出そうとする。


(わたしの名前は……。そう、〇〇だもん。)


 ──霞桜はな。

 その名前を思い出した瞬間、視界が傾き。体が倒れる感覚と、誰かの悲鳴が聞こえたのを最後に、わたしは意識を失った。

お読みいただきありがとうございます!

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