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18.この笑顔を見るためなら

「いやぁ、まさかあれを全部踊りきるとはね」


 今は、ダンスを終えて休憩がてらお兄様とお茶会をしているところである。


「お兄様のリードがお上手なだけですわ」


 事実だ。リードが下手な人と踊っても、そこまで上手くは踊れない…はずである。まだ下手な人と踊ったことはないが。


「まさか。それだけではあんなに踊れるはずがない。それが本当だとしたら私と踊ったご令嬢に足を踏まれる事もないだろう?」


 苦笑している兄を見るに、足を踏まれたことがあるのだろうな、と察し、苦笑いを返しておく。お兄様の足を踏んだのはどこの誰よ!?と思ったのは内緒だ。

 そしてしばらく他愛のない話をした。とはいえ私から話せることは屋敷のことぐらいなんだけど。庭の花が綺麗に咲いてるとか、実はあの侍女には彼氏さんがいたらしいとか。

 お兄様は王城で何をしてるのかとかを教えてくれた。王子たちの話も。顔がいいだけじゃなくて頭も運動神経もいいらしい。この国の王家のスペックどうなってんの。


 そんなこんなで色々話しているうちに時間はあっという間に過ぎていく。そろそろお開きか、という頃合いにギルバートがおもむろに立ち上がった。


「これを、君に。いつも私のことを思い出してほしい…なんて言うのは我儘だろうが、君に似合うと思ったんだ」


 そう言って差し出したのは綺麗な赤のストーンがついたネックレスだ。


「これは…。もしかして、わたくしの瞳の色、ですか?」


 もしかして、とは言ったけど、絶対そうだと思う。いつも鏡で見ている色と一緒だ。


「ああ、そうだよ。人目見た時にメグの色だ、と思ってね。思わず買ってしまった。気に入ってくれたか?」


「もちろんですわ、お兄様!わたくし、とても嬉しゅうございます!早速つけてみてもよろしいかしら?」


 そう尋ねれば、お兄様は満面の笑みで是非つけて見せてくれ、と言う。そこで、私はアンナにつけてもらった。


「どう?似合っている?」


「とてもよく似合っているよ。私の目に狂いはなかったみたいだ」


(お兄様がすごい嬉しそうな顔してる…!!この笑顔を見るためならなんでも出来るよ!!ネックレス一つ付けるだけでいいなら何時でもつけますよ!!)


 ついでに、なぜアンナがいつものネックレスを付けるのを辞めさせたのかも理解した。


(やっぱ知ってたんじゃん!!プレゼントのことも知ってるんだったら教えてくれれば良かったじゃん!!!サプライズも嬉しいけどさ!!!!)


 驚きの方が上回ってしまったため、先に教えといてもらえればもっと色々コメントできたはずなのに、と思ったのだった。

 ネックレスを付けるのを辞めさせた段階で察するという高等技術は残念ながら持ち合わせていなかった。


「もうこんな時間か。名残惜しいが、そろそろ解散にしようか。今日はとても楽しかったよ」


「できるならまだ一緒にいたいのですけれど。お兄様は明日もお仕事なのでしょう?仕方ない、わよね」


 そんなことを言いつつ、二人とも立ち上がる。


「また今度、二人でお茶をしよう。その時に話すことも考えておくよ」


「ええ。待っていますね!」


 こうして兄妹のお茶会は幕を閉じたのだった。

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