12.やりずれぇー!
あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。
立ち上がり、水晶玉と所へと進んでいく。
壇上に上がる時は常に笑みを絶やさず、前を向き、何があっても俯かない。
これは、母が教えてくれたことだ。
俯くことで自信がないと思われ、侮られます。そう言っていた。
幼少期から染み込んでいる言動は、私の記憶が戻った程度では揺るがないらしい。
水晶玉の横には、先程のクールビューティーさんが控えていた。何故だろうか、彼からの視線と、彼の周りの空気が冷たい気がするのは。
それに、前の子までは別の人だったのに私だとこの人なのかも疑問である。
と、ここで私は気が付きたくなかったことに気がついてしまった。
(やっべ、ここ、下にいる人たちの声がめっちゃ聞こえるわ。)
判定が終わった人たちの微かな囁き声さえもはっきりと聞こえる。
それが、何を意味しているのか。
先程の「クールビューティー」という発言が聞こえていた可能性がとても高いのだ。ついでに、王子に対する「尊い」発言も。
もしかしなくても、ひんやり視線と空気は気の所為では無さそうだ。
(やりずれぇー!)
思わずこう思ってしまったのは許してほしい。
もちろん、顔には出さないが。
そんなことはあったものの、とりあえず儀式を始めなくては、と心を落ち着かせる。
そして、私は水晶玉に手を当て、魔力を流す。
それに応えるかのように、水晶玉は光った。
光は、ネーレイスに比べれば弱い。さすがヒロイン。私は純粋にそう思う。
ちなみに、彼女が規格外なだけで、マーガレットもかなりの魔力量があることには気がついていなかったようだ。
その魔力量はまだいい。公爵令嬢なのだ。不自然でもなんでもない。問題は、その属性であった。
光の色は、金、赤、黒。それだけでも、王族と並ぶというだけでとんでもない事だ。だが、それだけではなかった。
――青。
そう、四色光ったのだった。
その場にいた人は、ざわつき始める。
先程のネーレイスの時は即座にその場を収めたクールビューティーさんも、今回は理解の範疇を超えたらしい。フリーズしていた。
両親も驚きに固まっており、誰もこの場を収められる人がいない。
私は、ただその場で困ったように笑いつつ突っ立っている事しかできなかった。
***
部屋に戻った私は、絶賛反省モードだった。
(絶対、やらかしたやつだ…。)
あの後、どうにか再起動したクールビューティーさんが私をエスコートして席に戻してくれた後、閉式の宣言をしてくれて解散となった。
予測不能な事態にフリーズしたものの、この迅速な対応。流石だと思う。
だがしかし、隣にいた私は知っている。エスコートの時に、私の歩幅に気を遣うことができない程度にはまだ動揺していたということを。
だからなんだ、という話だが。
そして、反省中の私は、何故こうなったのかと考える。
(やっぱり、そういうことだよね。)
測定前に考えついた、あの仮説は合っていた。
その人の属性が髪や瞳の色と一致すること、小説で転生したアラサーの椿は黒髪黒目だったこと、小説でマーガレットの属性に追加されたのは闇だったこと。
この二つを考えると、前世の髪や瞳の色が属性に影響し、追加されるのではないかと思ったのだ。
となると、前世黒髪青目だった私は光と火に加えて闇と水が増えたのも頷ける。のではあるが、正直に言えば目立ちたくなかった。
どちらか片方だけという可能性にかけていたのだが、そうそう上手くはいかないらしい。
前世の記憶があるなどとは言えるわけが無い。
何と言い訳しようか。そんなことを考えていると、アンナが部屋にやってきて言った。
「お嬢様、旦那様がお呼びです。」
案の定、私は父からのお呼び出しを食らった。




