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11.まさにヒロイン

 壇上へと上がったクールビューティー(仮)は本を持っていた。

 本といっても、日本にあるような極々普通のものではなく、豪華な装飾が施されているものだ。

 正直、今の私に持てるかどうか怪しいところである。


 その本を壇上にある台に置き、あるページを開くとその部分を朗読し始めた。

 ただ、形として本は開いているが、全く下を見ていないため本当に朗読か否かは定かではないのだが。


「長く厳しい旅を続けてきた私たちは、最後にこの土地へと辿り着いた。この土地は、多くの清流に恵まれている。その清流全ての行き着く先は大きな滝だった。そして、ある特定の日、太陽の光がその滝に降り注ぐと滝は光り輝いた。私たちは、ここを『光と水の王国』という意味を持つ『アクアルクス王国』と名付け、首長であるイーサンを王とし、国を創った。」


 私の記憶が正しければ、これは建国伝の一節のはずだ。

 話はまだ続いていた。


「この、滝が光り輝く日が各季節の二回目の光の日だ。其方らはこの日に魔力属性判定式を行う。幸いにも、今日は晴れている。さぞ綺麗に見えるだろう。これが終われば、見に行ってみるといい。」


(と、言うことは今日は春の二回目の光の日。つまり四月十三日ってことか。ま、何日って表現はないみたいだけど。)


 小説では、ここまでの詳細設定は語られなかった。

 この国についてなどを知ると、本当にこの世界に住んでいる、という感じが増す気がした。


 そして、ようやく判定が始まった。予測通り、後ろから順に判定していくらしい。


 壇上には水晶玉が置いてあり、そこに手を置いて魔力を流すと判定される、というのは事前に母から聞いていた。

 判定されたものの判断は簡単だ。魔力を流した時に水晶玉が光る。その色と光の強さで判断できるのだ。

 光の色がその人の属性で、光が強ければ強いほど魔力量が多い。一応、水晶玉には数値化されたものが表示されるらしいが、それは本人と横に控えている記録係しかその場では確認しない。


 火は赤、土は茶、水は青、木は緑、風は白、光は金、闇は黒。

 イメージとそれほどかけ離れている訳でもないためわかりやすい。


 そして、三番目の子の番になった。


(あ、知ってる子だ。)


 そう、三番目の子はヒロインのネーレイスだった。男爵家養子のため、妥当な順番だと言える。


 澄んだ清流のような水色の瞳に、若草色の内巻きミディアムボブ。そのふんわりとした雰囲気はまさにヒロイン、と言ったところだ。


 彼女が平民上がりだというのは、この場の誰もが知っていた。

 先程までとは異なり、嘲るような雰囲気が所々から感じられる。

 だが、当の本人はそんなことは全く気にしていないかのような態度で壇上へと上がっていく。純粋に気がついていない可能性もありえるのだが。


 そして、水晶玉の前に立つと、手を当てて魔力を流した。


 すると、会場全体が眩い緑と青の光に包まれる。

 できることなら手で目を覆ってしまいたい程だ。さすがにアウトのため、できないのが辛いところである。


 しばらくすると、眩しい光は消えた。

 その代わり、会場がにわかにざわつき始める。先程までの静寂が嘘のようだ。


 だがそれも、クールビューティーさんの「静粛に」という一言で収まる。

 さすが貴族なだけある。もしかしたら、一言で黙らせられるほどクールビューティーさんの身分が高いのかもしれない。


 その後は、何事もなかったかのように特にトラブルもなく順調に進んだ。

 改めてだが、周りの人を見て思う。


(さすが異世界。地球じゃ染めたりでもしない限りありえない色が大半だ…。)


 幸いにも、母がフィンランド人ということもあり青い目や金髪には慣れている。だが、緑や赤となると話は違った。

 ちなみに、前世の私は黒髪碧眼である。そこそこ可愛いと言われていた。お世辞かどうかは分からないが。


 そこで、私はあることに気がついた。

 属性の色が、その人の髪や瞳の色と同じなのだ。

 二属性ならその両方、一属性ならどちらか。必ず一致していた。


 となると、マーガレットの属性が光と火だったのにも頷ける。

 そこまで考えて、私はある可能性に辿り着いた。


(この仮説が正しければ、とんでもないことになる。)

 

 そんな緊張感とともに、ついに私の番となった。

仮説とは何なのでしょう?

予想しながら次話もお楽しみください!

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