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(6-03) お世話係

 少し散らかり始めた洞窟内の片付けをしていたら、外から聖竜王様の羽音が。

 また、お客さまのようですね。先日、ルーザンの聖竜王様が訪ねて来られて以来、それまで誰も来なかったのが嘘のように次々と聖竜王様が訪ねて来られるようになりました。

 しかも、そのうちの半分くらいはお世話係を乗せて来られます。そのお相手は私の仕事なので、私も大忙しです。


 さて今日はどちらの聖竜王様が……と外に出てみると……。あ、今日は新しい聖竜王様のようですね。

「こんにちはー」

「ああ、こんにちは」

 今回も、お世話係を乗せて来られるタイプの聖竜王様だったようです。今回は私と同世代の人みたいなので、まだ気軽にできそうです。

 高齢の聖竜王様だと、連れて来られるお世話係もそれだけ年上の人なのが普通です。聖竜王様によっては、私の母親どころか祖母でも不思議はないくらいの年齢の人が来ることだってあります。そんな人たちの接待となると、さすがに気を遣います。みなさん親切で、気を遣わなくていいと言ってくれるのですが、そういう訳にもいきませんよね。今の私くらいの歳で洞窟に入って以来、何十年も聖竜王様に仕えてきた人たちですから、聞かせてもらえる話はとてもおもしろくて勉強になるので、楽しみでもあるのですけど。


「えっと、ここはエルンの修道院……でいいんですよね?」

「あ、はい、そうです」

「私たちは、ヴィルから来ました」

 ああ、ヴィルの。では、あちらはヴィルの聖竜王様ですか。

 ……えっと、ヴィルってどこでした? まあ、いいです。私が知らなくても、別に問題はないはずです。

 二人は、ヴィルの修道院の院長セラさんと副院長のララさんだそうです。後で、忘れないようにメモしておかないと。


 しばらく三人で話していたら、また聖竜王様の羽音が聞こえてきました。見上げると……。あ、今度は私も既に知っている聖竜王様です。

「あ、ルーザンの聖竜王様だ!」

 ララさんが立ち上がり、嬉しそうに手を振ります。ルーザンの聖竜王様のお背中から、ネルさんとフィマさんが手を振り返しているのが見えます。

「あの二人とは、仲良いんですか?」

 セラさんが頷きます。

「私たちの聖竜王様とルーザンの聖竜王様は仲が良くて、いつも互いの洞窟を訪問し合っておられるので。私たちも、何度も顔を合わせているうちに自然と仲良くなりました」

 なるほど。聖竜王様同士の交遊関係というのは、私たちにとっても大きな影響がある話なのですね。

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