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(3-22) 言葉

 ふと気がつくと、洞窟の中から、石がぶつかるような音が何度も聞こえてきます。

 中を覗いてみると、床に寝そべった聖竜王様が、しっぽで丸い小石を弾いておられました。どうやら、岩の上にいくつかの小石をならべて、それに丸い小石をぶつけておられる感じですね。

 ならべられていた小石は衝撃で弾け飛んで、そのうちのいくつかは岩から落ちます。すると聖竜王様は、落ちた小石をまた岩の上に戻し、それを何度も繰り返しておられるのです。

 あれは何でしょう? 何かの儀式のようなものでしょうか?


 しばらく見ていると……。

 何度目かになって、一度小石を弾いてぶつけたたけで、ならべられていた小石がすべて岩から落ちたのです。

 あ、聖竜王様、なんとなく満足そう……。

 これって、儀式というよりも、完全にゲームですよね。ちゃんとルールも得点もあって。

 聖竜王様が考案されたのでしょうか? それって、かなり高い知能が必要なのでは?


 いいえ、今さらですね。

 私は今までにも、聖竜王様が高い知能を持っておられる証拠を、既に何度も目撃しています。


 例えば……。先日、町から持ってきていただいた服です。あれ、整理してみると服の上下から下着までが、けっこうバランス良く含まれていたのです。

 つまり、聖竜王様は人間の服とはどういうものなのかを、完全に理解しておられることになりますよね。外からは見えないはずの下着も含めて。しかも、服は自分で作らなくても、町に行けば出来合いのものが手に入ることまで。


 たぶん、聖竜王様が、少なくとも人間と同じくらいの知能を持っておられることは間違いないと思います。

 いいえ、人間と同じくらいなんて失礼ですよね。私たちが理解できないだけで、本当は人間なんてはるかに超越しておられるのかもしれません。なにしろ、聖竜王様ですから。


 そして、もしそうだとしたら……。聖竜王様にとっては、言葉を操るくらいは簡単なことのはずですよね。もしかしたら、聖竜王様が時々出される声は、単なる鳴き声ではなく、正式な言葉と呼んでいいものだったりするのかもしれません。


 聖竜王様の言葉、私も話せるようになれば、きっと楽しいでしょうね。

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