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【2-06】 動物たち

 草原で寝そべっていたぼくは、草を踏むかすかな音に気付いて、顔を上げた。

 あ、鹿か。

 少し先の森の入り口で、鹿がこちらを見ている。横には、少し小さい鹿がもう1頭。親子なのかな?

 2頭は数秒間ぼくと目を合わせた後、くるりと向きを変え、森の奥へと消えて行った。

 ふと感じた気配に視線を上げると、木の枝の上のリスと目が合う。一瞬目が合った後、リスは上の枝へ飛び移り、葉の間へと消えて行った。

 と思うと、すぐ入れ替わりに小鳥の群れがやって来て、枝の上にならんでぼくを見下ろす。


 最近、森の中で寛いでいると、いろいろな動物をよく見る。大きいのは鹿や猪から小さいのはリスやネズミ、各種の鳥からトカゲや蛇まで。

 ふと見たら目の前を大きな蛇が這っていたりすると、最初の頃はちょっとびっくりしたけど、もうだいぶ慣れた。

 ほくなら、たぶん危険はないと思う。どんな毒蛇の毒牙だって、ぼくの鱗を貫くのは無理だろう。


 最初のころは、単に動物がたくさんいる豊かな森なんだなと思っていた。

 でも最近、どうもそれだけが理由ではないのではないかと思い始めた。

 先日ふと気がついたんだけど。それらの動物たちは、ぼくの前まで来て一度立ち止まった後、また来た方向に引き返していくことが多いのだ。これは、偶然ぼくの前を通りかかっただけにしては、何となく不自然な動きのような気がする。

 と言って、ぼくを見つけて慌てて逃げ出したという雰囲気でもないんだよな。


 まあ、考え過ぎかもしれいけど。

 動物は人間と違って、常にはっきりした目的地があって、そこに最短距離で向かっているわけではないかもしれないからな。

 通ろうとした道をぼくがふさいでいたら、引き返して迂回したり目的地を別の方向に変更したりしても、動物としては何も問題はないのかもしれない。


 いや、それとも、もしかして単にぼくを見に来ただけなのでは?

 この世界でも、ドラゴンがかなり珍しい存在なのは間違いなさそうだし。だったら、人間だけではなく動物たちにとっても、見かけたら少し近づいて見物していくくらいの価値はあるのかもしれない。

 それならそれで、多少見世物になるくらいは別にかまわないけど。

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