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【2-02】 内陸へ

 のんびりと翼を動かしていると、眼下を緑の森がゆっくりと流れていく。なだらかにうねる大地がどこまでも続く、ゆったりとした穏やかな景色。

 豊かな森に覆われているということは、たぶん雨がかなり降る土地なんだろうな。実はさっきも、雲が出てきたなと思ったらパラパラと降ってきた。気にせずに飛んでたら、すぐに止んだけど。


 海岸を飛び立って3日目。まだ、反対側の海岸に着く様子はない。

 時間の割に、実際の移動距離はそれほど伸びてないかもしれないけどね。

 もともと急ぐ旅ではないから、体が安定する最低限の速度でのんびり飛んでるし。地上におもしろそうなものを見つけたら、寄り道して見物に行くことも多いし。昨日なんか、昼食後にちょっと昼寝でもしようと目を閉じたら、次に目を覚ましたら夕焼け空だったけど、そのまま夕食を食べてまた寝てしまったし。

 それでも、かなり大きな陸地なのは間違いないと思う。大きな島なのか、それとも大陸規模なのか。


 ぼんやり考え事をしながら飛んでいるうちに、気がつくと眼下の景色に少し変化が。

 森が途切れている。木がまばらにしか生えていない山や、木がなく全体が草に覆われているだけの山も。こんな時はたいてい、人間の住んでいる場所が近くにあるはず。

 少し進むと、山の斜面や谷間に、畑が広がり始めた。何が植えてあるのかはわからないけど。やっぱり、村が近いな。

 高度を上げてみると、小さな山の向こうに家がたくさんならんでいるのが目に入った。お、なかなか大きいな。この規模なら、もう村ではなく町と呼んでいいかもしれない。


 海のこっち側にも、人間はたくさん住んでいるらしい。飛んでいると、山の谷間に小さな村が点在しているのを見かける。ちょっと開けた平地なら、こんなふうに大きめの町があることもある。

 家は石造りのヨーロッパ風なんだけど、海の向こうで見た家とは、少し様式が変わった気もする。専門家ではないから、あまり詳しくは語れないけど。


 さて、そんな町を目の前にしてぼくは……、町とは反対の方向へと旋回した。

 ぼくが町や村に下手に近付くと、また大騒ぎになるかもしれないからな。平和な町や村を、意味もなく大混乱に陥れるのは申し訳ないし。だから、人間がたくさんいる場所は、なるべく避けて迂回することにしてる。

 だから、残念ながら、人々の生活をあまり詳しく観察したことはない。興味はあるんだけど。


 町から離れようと谷に沿って飛んでいるうちに、ふと下を見ると森の中に一本の線があることに気がついた。あ、街道だ。

 町や村がたくさんあるということは、それらを結んで伸びる街道も多い。時々、馬車が土煙を上げて走っているのを見る。よく見ると、歩いている人がいることもある。

 それにしてもこの道、馬車の数が多いな。かなり重要な幹線道路なのか?

 ここは、ちょっとまずいかもしれないないな。この谷は避けたほうがいいかも。

 ぼくは、高度を上げた。山を越えて、となりの谷に移ることにしよう。

 まあ、ドラゴンが人間にそこまで気を遣う必要はないのかもしれないけど、トラブルの種は少ない方がいいだろうし。

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