【1-26】 海岸
のんびりと森の上を飛んでいたぼくは、ふと前方の異変に気が付いた。
それまでは、ひたすら森時々草原という感じだった眼下の景色に、ちょっとした変化が起きていた。遠くに、森でも草原でもなさそうな、妙に平らな場所が見える。
少し高度を上げてみると……。
日の光を反射して輝いている。あれはたぶん水面だな。かなり広そうだ。海か、それとも大きな湖か。
近づくにつれて、潮の香りが漂ってきた。海みたいだな。
穏やかにうねる海面が、日の光を受けてキラキラと眩しいくらいに輝いている。ぼくは海岸の上空を大きく二度旋回してから、ゆっくりと砂浜に着地した。
波打ち際に近づいて水を舐めてみると……。うん、間違いなく海水だ。
あー、海なんてひさしぶりだ。というか、前に海を見たときには、ぼくはまだ人間だったんだよな。
しばらくぼんやりと海を眺めているうちに、遠くにかすかに陸地が見えることに気が付いた。
島……にしては大きいな。左右ともずっと続いていて、端が見えない。
この世界の地図を見たことがないのでどうなっているのかわからないけど、島だとしたらかなり大きな島だな。あるいは向こうも大陸で、ここはふたつの大陸に挟まれた海峡なのかもしれない。
何か勝手にゲームマップの端にたどり着いたみたいな気分になってたけど、どうやらまだ続きがあるらしい。
さて、これからどうしよう?
このまままっすぐ進むなら、海を越えて向こうの陸地に渡ることになる。かなり遠そうだな。見えているんだから、飛べない距離ではないと思うけど。
でも、進む方向は何の根拠もなく勘で決めただけなので、無理にこだわほどのものでもない。ここで方向を変えて、ここからは海岸に沿って進むという選択肢ももちろんアリだ。
まあ、そんなに難しく考えるほどの事でもないか。とりあえず行ってみて、もし気に入らなかったらいつでも戻って来られるんだから。
よし、どんなところなのか、試しに見に行くだけでも行ってみよう。
しかし、向こうに渡るとなると、海の上をかなり長い距離飛ばなければならない。海上の長距離飛行なんて、初めてのことだからな。海の上では、もし何かトラブルが起きてもすぐには着地できない。少し慎重に準備しないと。
別に急ぐ理由もないしな。今夜はこの海岸でゆっくり寝て体調を整えてから、明日渡ってみることにしよう。
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目が覚めると、その日もとても良い天気だった。海岸の岩から出したトースト味の岩ミルクで朝食を済ませてから、ぼくは新天地を目指して砂浜を飛び立った。




