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【1-24】 食物

 ふう、美味しかった。

 なんとなくそんな気分だったので、今日の夕食は味噌ラーメンにした。ついでに食べてみた唐揚げもジューシーでなかなか美味。

 あ。もちろん、どちらも本物ではないよ。ちょうどお腹がすいてきた時にたまたま目に入った岩から出した、それに近い味の岩ミルク(命名:ぼく)を食べただけ。


 最近は慣れてきたからか、岩を見ただけで、その岩から出てくる岩ミルクの味をだいたい想像できるようになってしまった。

 塩ラーメンに醤油ラーメンに味噌ラーメンに……。もちろんラーメン以外にも、たいていの料理に近い味の岩は、探せば見つかるだろう。甘いのも和菓子系から洋菓子系まで各種。岩の数だけ、無限と言っていいくらいの味のバリエーションがあるらしい。

 周囲の岩を眺めながら今日はどの味にしようか考えていると、レストランでメニューを見ながら何を食べるか考えてるみたいで、ちょっと楽しい。

 さらに、濃い目の味を食べた後でデザートにあっさりした味を少し食べてみるとか、ふたつの岩から出した違う味を交互に食べてみるとか、いろいろ工夫して遊べるので飽きない。


 で、飽きないのをいいことに、あれ以来、川で水を飲む以外はこの岩ミルクしか食べていない。

 それでも、今のところ体には何も異常はない。いや、異常がないどころか、木の実を食べていたころよりも調子が良いような気さえする。


 やっぱりこれ、本当に食べ物で正解だったみたいだな。しかも、たぶん他のものは何も食べなくても大丈夫な感じの。この液体の中に、ドラコンが生きていくのに必要な栄養がすべて入っているのだろうか。

 もしかしたら、本物の料理と同じように、味によって含まれてる栄養が違うという可能性も考えられるけど。でも、なんとなく食べてみての勘だけど、違う味がついているだけで中身はみんな同じもののような気がする。どれも味以外は、見た目も食感もまったく同じだし。

 もしそうだとしたら、この岩ミルクは本当に、ドラゴンにとって完全栄養食ということになる。そんなものが、岩を舐めるだけで、いつでもどこでも簡単に手に入るのか。

 ドラゴンというのは、本来は狩りどころか、木の実を探して歩き回る必要すらない生き物だったんだな。


 それって絶対に、動物の定義に挑戦してるような存在だよな。周囲のものから自力で食べ物を作り出してしまうなんて、動物より植物に近いような……。


 まあ、便利なんでいいけど。

 ドラコンにできることなら、遠慮なくやることに決めたんだからな。

 現実にぼくに備わっている能力だ。この世界の中でどういう位置付けなのかなんて知らないけど、そんなこと気にせずに、これからも遠慮なく使わせてもらうことにしよう。

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