■番外編.イシハラ勧誘会~【王都騎士達】
〈ウルベリオン城.医務室〉
「…………………………ここは……吾が輩は……一体……」
「気がつきやがった? ですわ。あれだけの重傷で……流石序列二位ですわね。ここは城の医務室ですわ」
「……ツリー殿……貴女こそよくぞご無事で……ボルト殿は?」
「あのガキもシャドウも生きてますわよ、まだ意識はないけど……快復に向かっているそうですわ」
「それは何より………して、テロリズム率いる軍勢は……」
「………幹部は死亡、魔物達は撤退したそうですわよ。……こちら側には奇跡的に死亡者は出なかった、らしいですわ」
「……そうですか………いやはや、流石勇者殿といったところですかな」
「……………勇者様じゃねぇ、ですわ」
「………何ですと?」
「幹部を倒したのは勇者様じゃねぇ、と、言ったんですわ。詳細はワタクシ達にすら伏せられているけど……ある一人の男が幹部を倒し、魔物達を退けた、らしいですわ」
「………何と……それほどの実力者がこの街に……」
「名前は【イシハラナツイ】……けどワタクシは信じねぇですわ。警備兵ごときが街を救ったなど……たとえ王の言うことでも真っ当に受け止められるわけねぇですわ」
「……警備兵……イシハラナツイ殿……ですか……」
「しかも聞いた話では……現騎士団長と軍師の一人マリオンは解任。何でも民を危険にさらしたのが解任理由だとか……信じられねぇ事ばかりですわ」
ガチャ
「信じられない事は多々あるでしょう。しかし、それが改革というものです。陛下はそうご判断なされました、ならばこれから国はそう進むべきなのでしょう。……マグマ様、ご無事で何よりです」
「大神官殿……っ!!」
「大神官様……ですわ。確か……例の警備兵の就職儀に行ったんじゃなかったの……ですわ」
「はい、先ほど無事に終えたところです。……あなた方には更に信じられない事になりますが……陛下から新たな御布令、そして……ご用命です」
「御布令……? して、ご用命とは?」
「十二人騎士団の序列制度撤廃……そして、件の【イシハラナツイ】様を新たな騎士として勧誘せよ、との事です」




