六十二.イシハラ勧誘会
<ウルベリオン城.『職巫の間』>
「よくぞ集まってくれた、国の英雄……『警備兵』達よ」
俺とムセン、シューズは城に呼ばれ何か仰々しい間に通された。至るところに銅像やら輝く宝玉やらが並んでいる。
魔法陣みたいなのの中央付近にはキングオブキング、美人神官、宝ジャンヌ。そして警備協会の試験官のハゲとアマクダリがいる。
「いえ、このような場を設けて頂き至極光栄の極みです、陛下」
俺は丁寧に挨拶をした。
「あ、あれ? 今度はちゃんとした丁寧語なんですか? イシハラさん」
「当たり前だ、神聖な場だぞ。常識だろバカかお前」
「……もうイシハラさんの常識がわかりません……」
「ははは、本当に面白い男だ。礼節を弁えつつ時に破天荒で常識破り。ここは『職巫の間』だ。ここで御主達は正式に『警備兵』として認可され、ステータスにも反映される。つまり御主達は立派な職業の一員となる、畏まらずともこの場は無礼講で良い。王も警備兵も職務の1つ……対等だ。しかし、普段は礼を弁えてもらうぞ? ワシ歳上だし……国を舵取るにはまだ威厳尊厳というものが必要なのだよ……」
ふむ、確かにいくら職業平等を推し進めているとはいえいきなり下っ端兵士と王様が対等に話しはじめたら威厳もなにもあったもんじゃないな。
「あんたも苦労してるんだな」
俺は王を労う。
「貴様! 陛下に向かって何だその口のききかたはっ!!」
「マルボウ、良いと言っておる」
「ぐっ……!」
「それで? 具体的にはこの職巫の間とやらで何をするんだ?」
「僭越ながら……それは私から説明させて頂きます」
美人神官が前に出てきた。
「お三方はここで【職業神】様に祈りを捧げるのです。そうすることで職業神様の加護を受け、晴れて『警備兵』として認可されるのです」
何だ、それだけか。地球とは違って正式な書類やら何やら書かなくて済むのは面倒じゃなくていいことだ。就職するとあり得ないくらいの契約書類を書かなければいけないからな。
「えっと……それだけで良いのですか? 神官様」
「はい、ムセン様。就職や転職される方はこちらで祈りを捧げるのが通例となっています」
「そしたらあたし達はもう警備兵になるの?」
「はい、シューズ様。そうする事により警備兵の技術や資格がステータスに刻まれ、その概要や習得法がいつでも確認できるようになります」
つまりあれだ、ジョブに就くとそのジョブ独特の技術が使えるようになるという事だな。面倒だし脳を使いたくないからそういう事にしとこう。
「では、お三方は魔法陣中央にて祈りを捧げてください」
俺達は促されるまま、魔法陣中央にいく。
「ふふ、ちなみにジョブは同時に一人二つまで就く事ができるのよ。メインとサブ……通称『掛け持ち』って言われてるけど……この話は後でするわね」
急に宝ジャンヌが何故か俺を見ながらそう言った。掛け持ちなんか誰がするか、俺はそこまでして稼ぎたくない。
「では、就職の儀を始めます」
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