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五十一.無職vsテロリスト



《ギャァァァァァァァッ!》

《ガァァァッ!》

《グルルルルッ……!》


<いけーっ!! 人々を守れぇぇっ!!>

<うぉぉぉぉっ!>


------------------------------------------

・門兵達は魔物達から住民を守っている!

------------------------------------------


【王国諜報員技術『雨風ルンルン』】

------------------------------------------

・諜報員コードネーム【雨天】による技術。風雨の如く流れるように攻撃を行う。

------------------------------------------


【ムセン・アイコム技術『サンシャイン・キュアライト』】


「傷を負った方は私の後ろへっ! 私が治しますっ!!」


------------------------------------------

・ウテンは魔物の群れに斬り込んだ! ムセンは負傷者を回復している!

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「おーおー、いい感じに滅茶苦茶になってきたなぁ。しかし勇者はまだ姿を現さねぇのか、このままじゃ街の人間どもは全滅しちまうぜ?まさか本当に逃げたってわけでもあるめぇに……前の勇者は人間どものピンチに必ず現れたっつー話だったが……もっと人間どもを皆殺しにしねーと出てこねぇってんなら……お望み通りにしてやろーかね」


「ぅええええんっ!! ママーッ……! どこぉぉっ!!?」

「「!ボウズッ! そっちに行くなっ!! 戻れぇぇっ!!」」


------------------------------------------

・街の子供が泣きながらテロリズムに近づく!

------------------------------------------


「わはは、丁度良いところにガキが歩いてきやがった。ガキを殺されそうになっても隠れてられっかぁ?」


【テロリズム資格技術『無差別且つ計画的な攻撃』】


「ままぁぁぁっ………………え……っ……?」

「「ボウズーーーーーーーーーーッ!!!!」」


 ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォンッ!


「きゃっ!! な……何ですかっ!? 何があったのですかっ!!?」

「あ……あ……爆発……したっ……子供が……」

「っ! そんなっ!?」


「……これでも出てこねぇか。魔王様から聞いた勇者の情報間違ってるんじゃねえか? まぁ……それは前の勇者の情報だったけどよぉ……勇者ってやつは人間どもを見捨てない職業じゃなかったんか? もしかしてこの国にはもういねぇのか……だとしたら無駄骨だったな……つまんねーからこいつら全員殺して帰るか………………ん?」


------------------------------------------

・子供の周囲にはカラーコンが並べられていた!子供は無事のようだ!

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【一流警備兵技術『安全領域』】


「ほら、くそガキ。泣いてないでさっさと行け、ママはあっちだ」

「う……ぅわぁぁぁぁぁんっ!!」


 ガキは泣きながらこの場を離れた。まったく面倒くさい。ガキはすぐに危険に飛び込んでいくから厄介なんだ。結界で防げる類の攻撃で良かった、じゃなかったら死んでたぞ。


「………ほう」

「ん?」


 俺とライオンじじいはお互いに視認し合い、距離を詰めた。そして、向き合う。

 でかい奴だな、4メートルくらいあるんじゃないか?


「わはは、中々面白そうなやつがいるじゃねぇか。お前は?」

「テロリストごときに名乗る必要はないだろう、ただの無職だ」


 それっきりライオンじじいは黙った。人見知りかこいつ。


【テロリズム資格技術『無差別且つ計画的な攻撃』】

【一流警備兵技術『危険予知』】


ドォンッ!!!


 黙ったと思ったらまたもや爆発を起こしやがった。辺りは爆音により騒然とする。


「またっ……爆発っ……!! イシハラさんっ!!!」

「何だ?」

「……!!……いえっ! 何でもありませんっ!」


 用がないなら呼ぶんじゃない。こっちは今理不尽に攻撃を受けてるというのに。

 こいつ爆発技を使うのか、さすがテロリスト。


「わはは、やるねぇ。事前に危険を察知して回避する術か、じゃあこれはどうだ?」

「ん?」


 いつの間にか俺の服に変な機械が取り付けられている。時間表示がされていて、数が機械音と共に減っていく。


 なるほど、時限爆弾か。


 閃光と共に、時限爆弾は大爆発を起こして破裂する。


ドォォォォォンッ!!!


「きゃあっ!!」


ガシッ!


------------------------------------------

・爆発の衝撃波により吹き飛んだムセンをウテンが受け止めた!

------------------------------------------


「さっきより大きな爆発……いー君は?」

「ウテンさん……ありがとうございます……わかりませんが……だ……大丈夫です……きっと……イシハラさんなら…」

「…………………………いー君……」

「何だ?」

「本当に大丈夫だった。…………何でもない」


 しつこいぞ。付き合いたてのカップルじゃあるまいし意味もなく名前を呼ぶんじゃない。

 それにしても凄い爆発だった、まさかの時限爆弾を一瞬で取り付ける技術とはなんて危険極まりないやつだ。ほんの少し熱かったじゃないか。


「わははは! すげぇな! あれだけの爆発を直に食らってその程度の火傷で済ますのかよ! ダメージの減少技術……いや、ちげぇな。精神力によるダメージの遅延技術か!? 見た事ねーぜ!? そんな技術! 楽しくなりそうだっ! いくぜっ!!」


【一流警備兵技術『危険予知』】


 ライオンじじいは鋭利な爪を使い、滅茶苦茶に攻撃してくる。さっきの肉まん騎士よりも一段と速い。避けれるけど。

 しかし、何はりきってんだこのクソライオン。こっちはお前のせいで試験が面倒になったり散々なんだ。さっさと消えてもらおう。


「お……おい、さっきの警備兵が……魔物の大将と戦ってるぞっ……」

「あの警備兵……本当に騎士様より強いの……? 偶然じゃなかったの?」

「偶然であんなに攻撃がかわせるかよ……もしかしたら俺達……助かるかも……」


【一流警備兵技術『強制交通誘導』】


「あっち行け」


 俺はクソライオンに向けて杖を降った。


「おっ?……吹き飛ばしかっ!? オラッ!!」


ググググッ……バシィィィィィィィィィィィィィンッ!!


 クソライオンは何か踏ん張って気合いで誘導を弾いたっぽい。ふむ、さすが魔王ナントカのナントカカントカ幹部というだけはある。


「攻撃はそれだけかっ!? もっときてみろよ!!」


 暑苦しい奴だな、言われなくても。


【一流警備兵技術『対敵無力化』】


「えい」


ポコッ


 俺はクソライオンを杖で殴った。


「……何だぁ? てめーの武器はそれかぁ? わはは、主に剣を使うんじゃなかったのか?」

「失くした」


 体格のいいクソライオンに杖の攻撃は効いていない。確かこの技術、行動を無力化するのに最適な効果を出すらしいがそれすらも効いていないようだ。

 しかしこのクソライオン何で俺が剣を持ってた事を知ってるんだ?ストーカーか? まぁどうでもいい。


 さすがボスキャラだ。杖での攻撃はあまり意味が無さそうだな、さて、どうするか。


「イシハラさんっ!!! これをっ!!」

「ん」


パシッ


 デカ蜘蛛の時のように、ムセンから銃が渡された。ふむ、これならいけるか?


 俺は銃にエネルギーを溜める。

 デカ蜘蛛の時と同じように、銃の先端に光が収束し始める。


「何だ!? 凄い光がっ……!?」

「あの警備兵の持ってるものから……何だあれ!? 武器なのか!?」

「わははは! 見た事もねぇ武器だ! 面白ぇ!! 何をする気わからねぇが……来やがれ!!!」


 クソライオンは逃げるつもりも避けるつもりもなさそうに両手を広げ、構えた。好都合だな、避けられて街を破壊でもしたら面倒だ。


 俺は躊躇(ちゅうちょ)なく引き金を弾いた


ビーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 デカ蜘蛛の時と同じように、波動砲のような大きさのような光線が一直線にクソライオンに向かう。


「おおっ!!」


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


 レーザービームがもろにクソライオンに当たった。さすがにクソライオンもこれにはびっくりしたようだ。


「っっっっ!! ぐおおおおおおおおおおお!!」


 しかし、レーザービームはクソライオンのところで止まっている。

周囲に放電するようなスパーク音が鳴り響く。


「くっ……!!………うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」


 こいつ、レーザービーム受け止めてるのか。凄いな、デカ蜘蛛は跡形もなく消滅したっていうのに。


「ぐぐぐぐぐっ………!! おらぁぁぁぁぁっ!!!」


 地面は揺れ、ひび割れを起こしながら地鳴りを響かせる。街のあちこちに亀裂が入った。


「らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」



 クソライオンは思い切り咆哮し、両腕で握り潰すようにレーザービームを見事に爆散させた。

 すごいなこいつ、まさに脳筋キャラ。


「そ………そんな…………あれを弾くなんて……あれが……魔王軍幹部……」

「だから言った、ムセン・アイコム。本来なら誰も手出しできないほど危険な存在。いー君ならもしかしたらと思ったけど……私も目論見が甘かった」


 ふむ、どうしたものか。攻撃手段がもうないぞ、これはかつてない面倒くささだ。


「わははは! どーした!? 終わりか!? 俺様はまだまだいくぜぇ!?」







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