番外編.王都戦争⑥『王都警備兵達と職業適性検査官』
〈ウルベリオン王都郊外『地下大聖堂』第一区〉
「おい! 街はどうなったんだ!? 警備兵!!」
「いつまでここに閉じ込もっていればいいの!?」
「状況はどうなってるんだ!? ちゃんと知らせろ警備兵!!」
「えぇい!! やかましいっ!! 確認中だ!! 貴様らは黙って大人しくしていればいいんだ!!」
「何だ警備兵のくせにその態度は!!」
「そうよ! わたくしは貴族なのよ!?」
「有事の際に身分なぞ関係あるかっ!! ゴミ共が!! 何だ貴様らはっ!」
「マ、マルボウさん落ち着いてくださいっ!」
「あらあらぁ、混乱でパニックが起きてるわねぇ……だめよぉ。警備兵さん、力に力で返しちゃあ。狭い場所では余計にみんなイラだつものなんだからねぇ……それを落ち着かせるのが警備さんのお仕事でしょおう?」
「………」
「グランマさんっ……そうなんですけどっ………こんな事態は初めてでっ……」
「あなたは?」
「はっ! 前期警備兵試験に合格した【ハクテ】でありますっ! 職業案内所で以前グランマさんにはお世話になりましたっ!」
「そう……ハクテちゃん、警備さんはどんな事態でも冷静に対処しなきゃあいけない……ただ生命の安全を守るだけが警備さんじゃないのよぉ。状況を素早く整理して、簡潔に、それでもわかりやすく伝え安心させてあげる……人々の『心』の安全も守ってあげなくちゃいけない……『心』の拠り所になるのも警備さんなのよぉ」
「……心の……」
「……とはいえ、この状況は新米さんには難しいかもしれないわねぇ……少し力を貸してあげるわぁ」
【職業適性検査官技術『念写千里眼』】
「っ!? グランマの持つ水晶に街の様子が写し出されてるっ!?」
「これが今の街の状況ねぇ……北門の魔物達は……騎士さん達が守護してくれてるみたいよぉ……住民達は……今のところ無事みたいねぇ、他の区画に順調に誘導されてるみたいよぉ」
「街は……家は無事なのか……」
「良かった……商品は無事か……」
「さすが騎士様だ……避難しなくても大丈夫そうじゃないか……」
「……何とか落ちついてくれました~……ありがとうであります! グランマさん。この分なら住民の避難は何とか間に合いそうでありますね」
「……そう楽観はできないわよぉ……今はまだ、ねぇ……」
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