■九十話番外編.友達のために ※ムセン視点
私はイシハラさんの部屋に残されて……ただ、呆然とする他ありませんでした。
(何故ですか……? イシハラさん……)
シューズさんとどんなお話をされたのか……まったくわかりませんけど……そんな簡単に終わるようなお話だったのですか?
最近のシューズさんの様子から鑑みるに、絶対にそんな気がしません。あれだけ、自由でマイペースなシューズさんがあれほど思い悩んでいたんですよ?
それに……あれだけイシハラさんと結婚したいと仰っていたシューズさんがそんな簡単にイシハラさんの元を離れるなんてどうしても思えません。
きっと、シューズさん自身が並々ならぬ決断をした末の結果だと思うんです。
(……でもイシハラさんはあっさりとしていますし……)
イシハラさんは淡白で現実主義者なお人ですけど、それでも仲間が思い悩んでいたら見捨てるような人ではありません。
今までだって……口では何だかんだ言いながら皆を助けてくれました。
そうです、エミリさんの時だってエメラルドさんの時だって……私にだって、助けを求める人にはいつだって助けてくれていました。
だとするならば、シューズさんは本当にただ思い立ったように里帰りをしただけなのでしょうか?
それならば確かに私達はお邪魔になるだけでしょうけど……。
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「むしろこの国の方が変なくらいだよー? よその国は偉い人は大体あーゆー人が多いもん。だからあたしはこの国が好きなんだけどねー」
「……そういえばシューズさんも……出自は貴族なんですよね?」
「そうだよー、うちも職業を振りかざす人ばっかでさー。それが原因で飛び出したんだー」
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いえ、そんな風には思えません。
シューズさんは自国とご実家をあまり良く思っていない印象を受けました。
では、何故……あれほど思い悩んで突然帰郷する決断をしたのでしょうか……?
「もうっ! 頭の中がごちゃごちゃしますっ! イシハラさんもシューズさんも何も話してくれないからわかりませんよっ!」
一人、部屋の中で私は叫びます。
(私は一体どうしたらいいのでしょう……こんな時、何が最善なのでしょうか……?)
友達として、私が今するべき事は何なのでしょうか。
私が悩んでいると、突然目の前の机になにかが落ちてきました。
「痛っ! 迂闊! ムセン・アイコム。話がある」
「きゃあああっ!!? ウテンさんっ!! 突然上から落ちてくるの止めてくださいって言ったでしょうっ!? そして段々落下の痛みに慣れてませんかっ!?」
私は尻餅をついて上から落ちてきたウテンさんに突っ込みます。けど、ウテンさんが私に話って珍しいですね……何でしょうか?
「セーフ・T・シューズの事について。実は私、二人のお風呂をの、のぞっ、のぞいていた」
「またお風呂のぞいたんですか!?…………それより何故そんな赤くなっているのですか?」
「な、何が? 別に変なものはみ、見てない……あんな光景……」
「何ですか!? とても気になるのですが! いえ、それよりもシューズさんのお話って何ですか!?」
「私も話を聞いていた、私はセーフ・T・シューズに話を秘密にしてほしいとは言われてない。だから話せる」
「それは……そうでしょう……ウテンさんがのぞいているなんてシューズさんは思いもよらなかったでしょうし……」
「本来なら私もこんなお節介はしない、けど、少し気がかりな点がある。いー君はどう思ってるか知らないけど、ムセン・アイコムには話した方がいいと判断した。貴女も話を聞いて判断すべき。貴女が聞きたいなら話す」
「………勿論です。話さないでほしいと言っていたシューズさんには申し訳ないですが……私は友達が悩んでいたら話を聞いて協力したいです! 聞かせてください! ウテンさん!」
「……わかった」
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