自宅から異世界転移
常に清潔で性格もそこそこ良い19才男性の俺は、今日も自宅でラノベを読み漁っていた
「うわ、城の中が謎の液体だらけになって全員アレされてるぞ、こんな面白い設定良く思いつくよな」
ピカーン
「うわーっ目が見えねえーっ」
視界が真っ白になる
光からくる強烈なプレッシャーに心臓がちぎれそうだ
全身が一気に消し飛ばされるような浮遊感が・・
そして・・・
サークル状に俺の部屋に展開した魔方陣が出現した瞬間、凄まじく嫌な予感が俺の全身を駆け巡った
壮麗な魔方陣が青白く強く強烈に光だし中から何かやって来る
ズガガガガガガガ
振動で家が倒壊しそうだ、本棚が、ラノベ棚が、ゲーム棚が、フィギュア棚が、おやつ棚が一斉に倒れ出す
「ぎゃーっ怖い!怖い!なんじゃこりゃー!ヤベー!ヤベー!魔王召喚しちまったか!家でラノベ読んでいて無意識に魔王を召喚しちまったのか!」
ズオォォーン
「ハイ、私は神様です、貴方を召喚したい人に祈られたので、貴方を異世界に転移召喚させるために来ました」
部屋の中に、ピンク色の髪をしたショートヘアーの女神様が居た、甘いような優しいようなとても良い匂いがする
魔王じゃ無かったのか・・・殺られるかと思ったぜ
凄くカワイイよ女神
年齢は18才ぐらいに見える
「異世界に行きたいですかー」
「異世界に行きたいですー」
女神様の元気につられ、ラノベを読んでいるようなノリで答えてしまった
「いっせかいへーっぎゅーん」
ピカピカピカリーン
ギュィィーイン
新たに魔方陣が出現し、俺の身体が強制的に魔方陣の中へに引きずり込まれていく
「ぎゃーからだがー、早い、早い、判断が早いです女神様ー!少し間を置いてー!考えさせてー!」
ギュィィーイン、ズガガガガガガン、ガボン、パッ
気が付くと豪華な絨毯が敷かれた天井の高い建物の中に転移させられていた
「あー、来ちまったよ異世界、記憶ハッキリしてるし、元の身体のままか・・・着てる服変わってるけど怪我もねーな。ここは・・・王宮か・・・豪華な内装の城だな」
魔方陣に吸い込まれる時に抵抗して床に頭を打ちまくったので少し頭が痛い
「せっかちな女神様だった、掃除機に吸われた気分だったぜ」
俺の服装は冒険者の初期装備
鉄の剣と冒険者のような深緑色をした布製の服に変えられていた
「ミリタリー的な目立たない深緑色の服だな、森林地帯ではモンスターに発見されづらいだろう、ダンジョンでもこのぐらいの暗い色合いが無難だろうな、ていうかモンスターとかが存在する方の異世界なのかな・・・鉄の剣持ってるし」
革製のちょっと高級感のあるようなアンティークっぽいブーツのような靴も履いている
「高そうな皮のブーツだな10万円はしそうだ」
背中には頑丈な布製の深緑色のリュックサックを背負っていた中には何か入ってそうな重さだ
リュックサックを一旦床に下ろし、
所持品を調べていると
王冠を被った男が近づいてくる
髪と目は濃い目の茶色
身長は2メートル近い長身で腰には長剣を差している
「こんにちは異世界から魔方陣を通って今転移して来ました、異世界人です」
俺はとりあえず挨拶をして状況を説明した
「・・・」
王冠被っているから王様なのかな、固い表情をしているな、何で1人でいるんだろう、護衛とか、大臣とか、宮廷魔導士とかは側にいないんだろうか・・・何か不自然だぞ
「女神を介し転移召喚に応じし者よ、私はこの地を治める国王オメガ・ゼインだ、我が王宮へようこそ・・・地に額を擦り付け平伏し礼儀を示せ、不服ならばこの場で切り捨ててくれよう」
王様は落ち着いた口調で淡々と王様っぽいことを言ってきた
初対面でいきなり土下座しろと
中世的な世界観か?文化の違いなのかな、俺が平民の冒険者みたいな服装しているからか?
それはないない王様よ
だって初対面でしょう、俺はこの世界から見れば別の文化で生活していた異世界人だし、自分で召喚しておいて簡単に切り捨てちゃ駄目です。
王様は一人で周囲には誰もいない、とても不用心だ、今なら暗殺も可能だろうか
逆に考えてみよう、逆にか
逆に俺が王様切り捨てたらどういう展開になるんだこれ
よーし試してみよう国盗り異世界最短記録を狙うぜ
「たあ」
ギィィン
首筋に向かって全力で放たれた俺の剣激は見えない力で弾かれてしまった
「いきなり私の首を獲りにきたか異世界からの召喚者よ、だが緩いな」
その口調は支配的で信じ固い程冷淡だ
国王オメガ・ゼインの身体に白いオーラが現れ俺を殺害する為の力が満ちていくのがハッキリと分かる
この王、何かのスキル使って身体を強化してやがる、やり手だな
王の白いオーラ、ヤバい感じがするな、まさか即死攻撃スキルじゃないだろうな・・・
俺は自分の額から嫌な汗が出てくるのを感じたが、やってしまったものは仕方ないと気持ちを切り替え、王の怒気にあてられないように気を張る
シュン
王が俺の首もとに放った必殺の一撃を俺は体を捩ってかわし、踏み込みと同時に距離を一気に詰めて体当たりをした
ドフッ・・グシャ
血を吐きながら王が盛大にぶっ飛んで壁に激突する、内臓を損傷したようだ、幾つかの骨を再起不能に砕いてやった手応えもある、両腕両足も破壊に成功したし、
王が装備していたロンクソードも俺が纏っていた透明な闘気に当たった瞬間に粉々に砕けた
壁に激突したダメージも相当だろう
「チャーンス!!」
「何がチャンスですかっーつ」
バシン
「ぐへ」
そこには鬼の形相をした女神が立ちはだかっていた
「異世界召喚直後に王の首を獲りに行くとかイカレてるんですかっ!そしてあの透明な闘気は何ですかっ、あんなスキル与えてませんよ!」
「ああ、あれ、何かやろうと思ったら出来た、多分透明化した魔力を圧縮して闘気に混ぜて纏わせただけのものだだからスキルじゃないと思う」
「な・・・」
「それとあの王様どうせ女神様が作り出した偽物の王なんでしょ、あの広い空間に俺と王しか居ないのは不自然極まりないもの、戦わせて戦闘能力を計測するためなんでしょ」
「・・・そうですけど、あれはあなたの人格が平和的かどうかを測るテストでもあった分けで、
隠れて見ている王室の方々や本物の王様はドン引きしてるでしょうね」
「えっ」
「魔法解除、偽装解除、エクストラヒール」
女神はエクストラヒールを王に偽装させていた兵士に掛けた、兵士は即座に全快したが、怯えきっている
「そこの壁、実は魔法で壁があるように見せてるだけなんですよ、
それに偽の王様は一般兵士に強化とか偽装とか色んな魔法を掛けて代役をお願いしただけなのに!」
壁が消えると王室の偉い方々や王様本人がドン引きして立っていた
「あっホントだ・・・」
「異世界の者よ見事な看破だったと言いたい所だが女神の作り出した偽の壁までは見抜けなかったようだな、偽物を倒したことを無礼だとは言わない、お前は其処までは見破っていたのだからな、だがやり過ぎた」
「やり過ぎです」
「人間の兵士に魔法掛けてたの?」
俺の全身から血の気が引いていく・・・
女神様が悪ふざけで魔法の力で作った王様の幻影をけしかけて来たのだろうという感覚で戦っていたら相手が人間だった、
これは油断した、最悪だ、転移してハイテンションになってたら、城で働いていただけの兵士に大怪我をさせてしまった、
暴漢に襲われるドッキリを仕掛けられて、その暴漢に扮した役者を思いっきり殴って再起不能にしてしまったようなものだ
被害者は女神様のエクストラヒールで全快したから良かったものの・・・
過剰防衛で殺人未遂確定か・・・
最悪死罪だろうか、魔法で兵士が偽装した王様に土下座しろと挑発させたのは女神様だけど先に手を出したのは不味かったな
本物のオメガゼイン王が来た
俺に偽物をけしかけた手前強く怒れないみたいだけど、顔がひきつっている、怒ってるなこりゃ
「勇者になるべく資質を持って召喚された異世界の強者よ、我らにステータスを開示するが良い」
王様は思った程気にしていないらしく、兵士の件で責任追求や懲罰を求めずに話を先に進めてきた
「あっはいステータスオープン・・・」
兵士の件をお互い様ってことでこのまま追求せずにうやむやにしてくれると有り難いが・・・
名前
鈴木・バーミンガム・クラスター
レベル 1
HP 10
筋力 6
攻撃力 12
魔力 8
外見3000万
レアスキル
疎遠 名前を認識し3秒以上視認して登録した嫌いな奴を遠ざける
良縁 名前を認識し3秒以上視認して登録した好きな奴を近づける
異世界召喚特典スキル
習得経験値2倍
アイテムドロップ率2
スキル習得率2倍
万能無限時間停止アイテムボックス
鑑定
隠蔽
初級魔法セット
ウォーター ファイアー カッター
洗浄
「このたわけがっ!!戦闘に全く役に立たない外見に3000万も極振りしやがって、ハーレム狙いの異世界人かッ!」
王がキレまくった
「それやったの俺じゃないっす、ステータス今初めて見たんで、多分女神様がやったんじゃないですかね」
「ついやっちゃいました・・・別にいいじゃないですか他の能力だけで充分にチートプレイ出来ますし」
「女神様がやったのなら何か深いお考えがあってのことだろう外見極振りの件は不問にする」
オメガ・ゼイン国王は自分より地位が高いものには寛容なようだ
「レベル1にしては中々のものだな、特に成長補正が異様に高いな、レアスキルは疎遠に良縁か、我が国の神殿に祭られている神の御利益に良く有りそうなものだがスキルとしてハッキリ提示されているのは初めて見たぞ」
その後も細々とした説明を受けた
ステータスは意外に低かったと感じたが
一般兵士と同等以上のステータスだと言われたのでこれで高い方なのだろう
まだ王宮にいる騎士には全然勝てないらしい
一般的な村人のステータスはオール1
程あれば強い方だという
オール小数点以下の村人が結構いるらしい
「我が国の兵士のステータスはこの世界の兵士の平均値より高い、お前はそれより上なのだから訓練は必要無い、
直ぐに最前線に出て魔王討伐にいくが良い」
やはりいたのね魔王
戦争とか、めっちゃキツそうだから
バックレようかな・・・
その後
異世界召喚担当大臣という役職名を名乗る魔法使いのようなローブを着た人物や様々な担当者から5時間ぐらいぶっ通しで一通り説明を受けると俺は休息待機という名目で部屋に軟禁された
夜になると兵士が飯を運んで来た
形の潰れたパン1つと一見すると生ゴミみたいな切れっぱしのような肉が沈んでいるスープだけだった
腹が減っていれば何でもそこそこは美味く感じるものだが無造作に盛り付けられた見た目の不味さが精神的に堪えた
もちろん味も最低だ
あまり上等な飯じゃないな冷遇されているらしい、
あああれか女神が偽装した兵士を倒した件で好感度下がったのかな
どちらにせよこの待遇はいただけない
俺はその夜隙をみて城から逃走することにした
ドアが閉まっているので視認できないが俺が軟禁されている部屋の前には見張りの兵士が二名立っている
鑑定
名前ヨーク
レベル6
クラス王宮兵士
クラス補正HP増加2ポイント
HP5
魔力1
筋力2
速度3
攻撃力 3
外見3
名前グラジオラス
レベル8
クラス王宮兵士
クラス補正HP増加2ポイント
HP8
魔力3
筋力4
速度3
攻撃力 4
外見5
スキル
斬撃強化レベル1
鑑定で兵士の名前は分かったし連れてこられた時に三秒以上視認しているから登録して疎遠スキルを使おう
カチッ
疎遠スキルがアクティブになりました !
目の前に青色の文字が表示されたこれで良いらしい
部屋の前
2の兵士が落ち着きなく体を揺らしている
「何だか急に気分が悪くなってきた、この場所にいたくない」
「ヨークお前もか、昨日ワインを飲みすぎたのが今になって効いてきたのかもな、だが我々は持ち場を離れる分けにはいかない」
兵士の疲れきった声が聞こえる
よっしゃ効いてきたぜ
でも中々頑張ってるなもう少し様子を伺おう
3分後
「この体調の悪さは異常だと思わないか?そういえば中にいる異世界人が疎遠というスキルを持っていたな、俺達は今そいつに攻撃を受けてるんじゃないのか?」
「ああ、だが今から歩いて増援を呼びにいく気力も無い、喉が重たい、力が入らない、大きな声も出せないようだ、これは何かのスキル効果だ、俺達をこの場から立ち去らせようという異世界人の力に長時間抵抗したために体力と精神を削られたようだ」
「離れたい、移動したいのに大きな声すら出せない、体力はどんどん減っていく・・中にいる異世界人を痛めつけてスキルの使用を止めさせるしか無い、というか動かなければ確実に死ぬ」
「そうだな俺もこの不快感は限界だドアを開けたら一斉に制圧するぞ・・・」
ガチャリ
ボカボカッ
「ぐっ」
「痛いっ」
レベルが上がりました
レベルが上がりました
レベルが上がりました
レベルが上がりました
レベルが上がりました
レベルが上がりました
兵士を倒した経験値が入り
レベルが一気に6上がった
名前
鈴木・バーミンガム・クラスター
レベル 7
HP 21
筋力 25
攻撃力 24
魔力 31
外見3000万
レアスキル
疎遠レベル2 名前を認識し3秒以上視認して登録した嫌いな奴を遠ざける
良縁 名前を認識し3秒以上視認して登録した好きな奴を近づける
異世界召喚特典スキル
習得経験値2倍
アイテムドロップ率2倍
スキル習得率2倍
万能無限時間停止アイテムボックス
鑑定
隠蔽
初級魔法セット
ウォーター ファイアー カッター
洗浄
ステータスが大幅に上昇した、全体的に元の2倍ぐらいになった
レアスキルの疎遠がレベル2になった
俺は椅子で殴り倒した兵士をシーツを割いて作った紐で拘束した
「命はとらない、大人しく休んでいろ、俺の方が離れていけばお前らの体調は良くなるだろう」
俺は兵士から全ての武器防具と金を奪い取った
兵士の剣を手に入れた
兵士の剣を手に入れた
兵士の鎧を手に入れた
兵士の鎧を手に入れた
金貨5枚
銀貨8枚
銅貨6枚
を手に入れた
金貨に鑑定スキルを使用すると
王国純正金貨
この世界の標準通貨、国を跨いでも使用できる、金の含有率自体は低い
金貨一枚=1万円
銀貨一枚=1千円
銅貨一枚=100円
という説明文が表示された
深夜であるせいか人の気配はしない
俺はアイテムボックスに荷物をしまい兵士の鎧と剣を装備して見回りの兵士を警戒しながら部屋を出た
部屋の外は等間隔に蝋燭の灯りがあるだけで周囲は真っ暗だかなり視界が悪い
鉄製の鎧から音が出ないように注意しながらそのまま中央広間まで一気に走り抜ける
・・・と広間の先の通路から鎧を来た兵士が歩いてくるような音が微かに聞こえてきた
正体不明の敵に遭遇したことで途端に緊張が走った
この音は俺が今着ている王宮兵士の鎧の音とは違うな、もっとガシャンガシャンしているような・・・人数は二名・・落ち着いた足の運びをしているな・・
こちらの姿はまだ見つかっていないようだ鑑定の射程には入っていない
鑑定スキルを鑑定してみた
鑑定レベル1
3メートル以内の指定した対象のステータスを表示する
対象の魔力が高い場合レジストされる場合がある
広間は真っ暗で蝋燭の灯りがほとんど届いていないが流石に3メートル以内に近づく勇気は無い、さっきはスキル効果が充分に効くまで3分掛かったからな
俺は暗闇に潜み身を隠した
潜伏スキルを習得しました
潜伏
発見されずらくなる
鎧の足音が迫ってくる
息がつまる
呼吸を浅く深くして気配を最小限に・・
ガチャン、ガチャン、ガチャン、ガチャンガチャン
ガチャリ
ガチャン、ガチャン、ガチャン、ガチャンガチャン、ガチャン、ガチャン
「それにしてもあの異世界人の男凄く綺麗な顔をしていたな」
「異世界人は小綺麗な奴が多い、最初は女の冒険者かと思った、あいつの外見的な美しさは異常だと思う、魅了や洗脳のスキルは無かったという話だが外見のステータスが3000万もあったらしい」
「魔族以上の化け物だな、普通そんなステータスはありえないんだよ、この国の奇跡の至宝と名高い姫様ですら外見ステータスは奇跡の37だ、それでも見ただけで失神した奴もいたからな」
「姫様は例外だよ外見ステータスは普通10を越えることは絶対に無いからな、外見敵に圧倒的に優れていると言われている私達女騎士ですら最高が8だ」
「王宮にいる者は男女問わず皆外見ステータスが圧倒的に高い筈なのに、今回はプライドを打ち砕かれたよ」
ガチャン、ガチャン、ガチャン、ガチャンガチャン、ガチャン
ガチャリ
ガチャン、ガチャン、ガチャン、ガチャンガチャン
・・・
・・
気配が消えた ステータス不明の二人の女騎士を潜伏スキルでやり過ごすことに成功した
気配探知を習得しました
重要スキルゲット!気配探知は欲しかったスキルだこれで遠距離から気配を探知して逃げられる
その後
気配探知を利用して気配のしない安全な通路を選択し門の近くまで一気に走った
脚力強化を習得しました
脚力強化
足が早くなる
戦闘速度と攻撃力も常時上昇
基準値をクリアしたステータスと脚力強化の影響で高速突きレベル1を獲得しました
高速突き
強化された強靭な脚力で踏み込み高速の突きを繰り出す その威力は革製の鎧を貫通する
気配探知によると門の外には門番が二名いる 門を開けたりしなければこちらの姿が認識されることも無い
門番の意識は常に門の外側の世界に向いており城の内側は警備の対象になっていないようだ
俺は壁越しに気配探知で門番の正確な位置を計りながら3メートル以内に接近して2分掛けて疎遠スキルレベル2で弱体化させた
疎遠スキルがレベル2になったことで弱体化の効果が上昇したらしく、二人の門番は弱々しくうめき声を上げることしか出来ない
このスキルは場所に執着心を持ってそこからの移動に強い抵抗がある奴に良く効くみたいだ、門番なんて場所に対する執着心の塊みたいなものだから効果は絶大だ
「さて、ファイアの魔法で一気に門を焼いてみるか、一度レベルアップしてこの国の兵士の平均値の二倍以上に上昇した魔力なら可能な筈だ」
「ファイア」
ボン
魔法が発動し小さな音がした
門が跡形も無く消し飛んだ 魔法着弾地点から半径5メートルの物体が全て消滅している
魔力精度上昇を獲得しました
魔力精度上昇
最小限の力で魔法を正確に発動させる、魔法威力も上がる、MP消費が減少される
魔法命中率も上がる
綺麗な球体が空間を削りとったみたいな魔法の痕跡で 魔法威力が目標地点にのみ完璧に作用したことを証明していた
勿論門番は攻撃対象に指定していない
既に戦闘不能で傷つける意味が無いからだ
それに死体が燃えたら金を回収するのが面倒になる
門番が所持していた換金出来そうな装備、アイテムは全て回収しアイテムボックスに入れた
金貨2枚
銀貨7枚
と2名分の門番装備一式を手に入れた
そして戦闘不能な門番を叩き気絶させた
殺さなくてもレベルがあがるんだよな多分
レベルが上がりました
レベルが上がりました
レベルが上がりました
やはりそうだった、疎遠スキルがバットステータスを与えたという扱いになっていて
そこから叩くと倒したという判定になる仕様なのだろう仕組みは分からないけど因果関係は理解した
一気にレベルが3上がった
この国内では既に高レベルなので経験値二倍のスキルが発動していてもレベル上昇はこんなものだ
「何発か打って門を燃やす気でいたのに、一撃で片付いた、魔法って意外に精度が高く発動するものだな、門を破壊する威力なら人には使わない方が良いだろう」
城の外に出た
脱出成功!!
「町の場所が分からないから門番を起こして聞こう、殺さなくて良かった」
「起きて下さい」
「ぎゃー」
俺が門番の体を揺すると 門番が目を覚ました、門番は自分を無力化した不審者が目の前に居たために殺害されると感じて恐怖で絶叫した
これは失策だったな今の叫び声で確実に気付かれただろう
「落ち着いて下さい私はあなたを殺害しません、町までの道を教えてくれたら直ぐに立ち去ります、町まではどういけば良いですか?」
「殺害しないんだな、本当だな」
「ええ、後1分程で追ってが来るので早くお願いします」
「まず道沿いに真っ直ぐ歩け、分かれ道に標識があるから町の名前が書いてある方向へ進め、分かれ道は4回ある、距離は徒歩で半日程度町の名前はクローバータウンだ」
「有り難うごさいます、貴方は嘘を言いませんでしたね、俺も約束通り立ち去ります」
門番の眼球運動や身体的な反応に不振な点が無かったので俺は嘘を付いていないと判定した、レベルアップで全体的に脳の機能や感覚も増強されているらしく俺は洞察力が高くなりコールドリーディングが出来るようになっていた
コールドリーディングを習得しました
コールドリーディング
見た目の反応から人の心を洞察するスキル、嘘ぐらいは見抜けるようになる、外側に出力された情報を見て分析しているだけなので心を読むことは出来ない
故意に嘘を誤魔化そうとする相手ほど容易に見抜ける
「こんなに綺麗に城門を破壊する高位の魔法使い相手に嘘なんかつくかよ、何されるか分かったもんじゃねー」
俺は門番に魔法使いだと認識されているようだ、異世界人が召喚されたという情報は伝わってないのかもな
気配探知で見ると追ってが直ぐそこまで近づいて着ている、話過ぎたようだ
「いたぞー異世界人だー!」
「気を付けろ!門番が倒されて門も魔法で破壊されているぞー!」
俺は脚力強化で一気に道を駆けていく
馬を使ってもこの早さに追い付ける分けがないだろう、最大で時速70キロは出せる車並みの脚力だ、そして全く息切れせず汗もたいしてかかない、快適で爽快なスピード感
道を10キロ程進んだ 相手が馬で追跡していても暫くは追い付かれない距離まで引き離せただろう、歩きながら美しい自然が作り出した風景でも楽しもう
「洗浄魔法」
ピカピカピカリン
「体全体だけじゃなく靴やリュックサックや服までも綺麗になったな、これは良い魔法だ」
清潔になり心に余裕が出来た俺はのんびりと道を歩いて進んだ
見たこともない樹木や草花は俺にとって物珍しい刺激的なものだった
腹が減ってきたのでリュックサックを弄りながら歩く
「携帯食糧5個も入ってるじゃん、食べよ食べよ」
見た目は良くある長方形のクッキーみたいに見えるな、甘いのかな、砂糖は希少だから甘さ控えタイプなんだろうな
かじってみた
「まっず・・・超不味い・・食欲減退するわ・・・トラウマものの不味さだな、パサパサで苦い、ダイレクトに苦いビタミン系の味がする、灰汁抜きする前のゴーヤみたいな味だ」
しかし残さず食べるぜ
我慢すれば慣れる
苦味体制を獲得しました
苦味に慣れて充分な栄養分が脳にまわっていくと思考が正常になっていく
この携帯食糧、栄養価が高いのかな・・ああ、成る程な・・・此が干し肉みたいに美味い食べ物だったら一気に全部食べてしまい喉もカラカラになっていただろうな
不味いなりに理由があるものだ 貴重な食糧を吐き出さずに良かった
俺はリュックサックから竹のような植物で作られた水筒を取りだして二口分だけ水分を補給した
「そういえば俺はウォーター使えるんだった、上手く水量調整して水筒に入らないかな」
レモンを手に掴み絞るイメージ
「ウォーター」
水筒の小さな飲み口にも無理なく水が入れれるな、口元で使えば水筒無くても普通に水補給出来るじゃん
「ウォーター」
うげっ、ゲホ、ゲホ
「やっぱり飲みづらいから水筒持っておこう」
歩く
歩く
歩く
道すがら鑑定で食べられる植物を探すと天ぷらとお吸い物の材料ばかり見つかりだす
後はアイスクリームの上に乗せるハーブみたいな植物しかなかった
油も無いし、味噌やだし汁も無いし、アイスクリームも無かったので特に食べようとは感じ無かった
ハーブや山菜をダイレクトに食べたら苦いだろうし、山菜は大抵長時間の灰汁抜きが必要な種類だった
「ウサギでもいないかな」
ガサガサ
キングゴキブリンが現れた
「ぎゃー!ファイアボール!ファイアボール!ファイアボール!ファイアボール!ファイアボール!ファイアボール!」
連射式無詠唱自動追尾型爆散ファイアボールを習得しました以下ファイアボールと表記します
ファイアボール
ファイアを圧縮し威力を高め、ボール状にして高速で打ち出す
アレンジ次第では高等技術を要する上級者向けの魔法になる
辺りは火の海になった
とても暑い
空き缶サイズの昆虫型モンスター
キングゴキブリンは経験値がそれ程高く無かった、キングはキングサイズという意味で多分弱いのだろう
見た瞬間パニックを起こして瞬殺したので強さは良く分からない
それ以前にモンスターだったかどうかも分からない、普通のでかい虫だったのかもな
山火事になったから火でも消すか
広範囲に霧雨を降らすイメージ
「ウォーター」
スキル広範囲消火を獲得しました
スキル雨乞いを獲得しました
また歩きだした
歩く
歩く
歩く
ピコーン
緊急連絡です
国王が貴方を犯罪者に指定しました
罪状
殺人未遂3件
後に金品を窃盗 器物損壊罪
国家反逆罪
刑罰
死刑4回
身に覚えは有るけど・・・ 死刑4回って・・・ 厳しい・・・
国王オメガ・ゼインの視点
「国王様!軟禁中の異世界人が逃亡しました」
「見張りはどうした、王宮兵士の中でも手練れの者達を配置していた筈だ」
「卑劣なチートスキルで騙し打ちされたそうです、拘束された兵士の所持品や武器防具も根こそぎ盗難被害に遭っています」
「小賢しい異世界人め、死罪にしてくれよう、早馬を出して各都市に指名手配の通達をせよ、騎士団を召集し直ぐに討伐隊の編成を、上級魔法捜査管を派遣し被害現場の調査を開始せよ」
「ハッ直ちに」
まさか逃げ出すとはな、深夜にも兵士を巡回させて警備も厳重にしておいたのに、そもそも何で逃げたのだろうか?
「異世界人が逃げ出す前の様子を知っている大臣を呼べ」
呼び出した大臣から事情聞くと、軟禁した異世界人に粗末な飯を与え冷遇していたことが分かった。
軟禁が一時的な措置であることを説明していなかったので、待遇に絶望した異世界人が逃亡したと予測される
大臣に話を聞けば最初に粗末な飯という鞭を与え、立場を分からせてから待遇改善というアメを与える、有りがちな洗脳方法だった
そもそも冷遇をしたとしてもこちらの世界に生活基盤の無い異世界人は、衣食住を押さえている王宮側に対して心理的に抵抗出来ず従っていくものだと思っていたそうだ
その結果が今だ、逃げたところで指名手配だ、異世界人とは余程知恵が浅い者なのか?或いは余程待遇に不満が有ったのだろうか。
そういえばあの異世界人の記憶するのが面倒くさいような長い名前にはミドルネームまであったな、服装は冒険者にしか見えなかったが元の世界でそこそこの地位にいた奴なのだろうか・・・
ビー
「うわっなんだ、何の音だっ」
緊急連絡です国王オメガ・ゼインには神に対する反逆容疑が掛かっています、速やかに神殿に出頭してください
「今のは何だ・・・目の前に文字が浮かんで、むっまさか、神に願い召喚した異世界人を死罪に認定したから神の不興をかってしまったのか」
青ざめた顔をしたオメガ・ゼイン国王は単騎で身体強化魔法を掛けた馬に乗り神殿に猛ダッシュした
「ヤバい、ヤバい、ヤバいヤバい、ヤバい、ヤバいヤバい、ヤバい、ヤバい、いっそげー馬ーっ」
馬にまで話かけている
ゼイン王国内神殿エリア
異世界召喚の女神イサリアの神殿
神殿の入り口には既に500人程の高位の神官と最高位の神官長が直立不動で待機していた
神事の際にしか姿をみせない宗教的な最高権力者の神官長が話掛けてきた
「王様お待ちしておりましたぞ、神より御神託がありました」
「何と申しておられた」
「自分で召喚した異世界人に愛想をつかされて逃亡されたぐらいで逆上して死刑4回とか子供みたいなことはするな反省しろと」
「・・・」
その後
神官長から御神託で贖罪内容を指示されたオメガ・ゼインは2時間正座させられ反省文を50枚書かせられると解放された、皮肉にも帰り際に飴玉を数個渡された
神の不興をかうことを恐れたオメガ・ゼイン国王によって異世界人は強制的に無罪放免になった
オメガ・ゼイン国王の誤算は自分より地位の高い神という存在の立場を失念していたことだった
鈴木・バーミンガム・クラスターの視点
「はーっ、死刑4回かー・・・マジで凹むわ、気にしても仕方ない、ここ一本道だし王国の追ってを待ち伏せして倒しまくってレベリングしたら、王国に乗り込んで手当たり次第に皆殺しにして王国潰すしかないかー、どうせ指名手配されているだろうしこのままじゃ町にも行けないからな」
それ自体は多分出来るだろうがそういうプレイスタイルの知識が無いからやりたくはなかったのに・・・
ピカーン
光った、光の中から何かが来る
「何言ってたるんですかーっ!」
盛大にセリフを咬みながら女神様が現れた
「可愛い」
「・・・」
「ちょっ、女神様、黙り込まないでくださいよ」
俺は自分の外見ステータスが3000万であることを忘れていて、軽口を叩いたつもりが変な空気にしてしまった
「ハッ、外見耐性フルバーストオオオーーンンン!!!」
そんなスキルがあるのか・・・
女神は正気に戻った
ピコピコーン
緊急連絡です
オメガ・ゼイン王があなたに対する全ての罪状を強制的に破棄しました、貴方は無罪放免です
「!?・・・いきなり無罪放免?何か有ったな」
「異世界の文明とあなたが元居た世界の文明との間にギャップがあって、不幸な行き違いがあったみたいなので女神の権力で豪腕を振るい解決してあげました」
「あっどうも」
「もう町にも行けますから大人しく冒険者ギルドにでも行って普通に冒険を楽しんでください」
「あっはい、そうします、じゃ」
「くぅーッ、素っ気ないですねー」
ピコピカーン
女神は光の中に消えた
家に帰ったのだろう
暫く歩いていると
立て札がある
この先、畜産都市クローバータウン
クローバータウンに着いた
町の周囲は魔物避けの柵で囲まれている
あの柵では魔物の侵入を完全に防ぐことは出来ないだろう
町には何のチェックも無く入れた この町は特に入場規制もなく出入りが自由みたいだ
気にしていた町への入場がノーチェックでオーケーだったことにカルチャーショックを受けた
冒険者ギルドを探そう、保存の効く食料品も購入しておきたい携帯食糧の味が不味いから
町の入り口から通りを真っ直ぐに歩いて行くと市場が見えた、適当に果物などを買い食いしながら聞き込みをして冒険者ギルドと旅人用の食料品店の位置を理解した
果物を食べて腹も溜まったし先にギルドに行こう
冒険者ギルド
丸テーブルが幾つもあり其処に座っている様々な年代の人々が昼間から酒をあおり、タバコを吹かしている
皆一様に目つきが悪く殺伐とした空気が漂っている、何とも言えない息苦しさだ俺は此処にきたことを少し後悔した
考えても仕方ないし、他に当ても無いので必然的受付に行く
「冒険者の新規登録をお願いします」
「こちらの用紙に必要事項をご記入下さい」
用紙に必要事項を全て書き込むとギルドカードの発行手続きが完了した、これで最下級のFランク冒険者になれた
ステータスの確認などは要求され無かった、入り口は万人に開いているらしい、出口は死亡か再起不能だろう
Fランク用の掲示板で依頼を探すと高級薬草の群生地に行きその際に採取と護衛をするという依頼があった、高級薬草の群生地域はモンスターの群生地域でもあるので集団で行くらしい、定員は10名だ
「この高級薬草採取の依頼をお願いします」
「はい、2時間後迄に指定された集合地点に行ってください、周辺地域の地図は銀貨三枚です購入しますか?」
「はい買います」
銀貨三枚を支払い地図を購入した、依頼達成の報酬は薬草の数、品質や護衛の成否によって変わるが大体銀貨7枚程度と書いてあるのでかなりきつい出費だ、現地で害獣指定されているモンスターをハンティングして懸賞金を稼ぐしかないだろう狙い目は一匹銀貨1枚のゴブリンだ。
現地に着いた
「いいか!此が薬草だ!赤い花が付いていて茎にトゲトゲがたくさん付いているやつだこれを根っこを傷付けないで鎌で刈り取るんだ緑の草の部分が薬草になるからそこを必ず持ってこい!薬草採取開しぃぃーいいいいっーつつ!!!」
現場監督の怒声が飛ぶ
俺は銀貨1枚を支払い鎌を借りた
「なんか後から後から金を取られるな」
「そこっー悪態を付くなー!!」
ちっ、うるせーなミンチにするぞゴミが
俺は高級薬草の採取を開始しつつ、現場監督を気配探知で観察して死角に入り、潜伏スキルを使用して身を隠しながら次々に自生している高級薬草を刈り取り自分のアイテムボックスに入れていく
「この薬草普通の店で売れるのかな、ギルド以外では買い取り不可だったりしてな、駄目元で調べてみるか」
超高速薬草摘みのスキルを獲得しました
俺は現場監督の目を盗みながらこっそり集めた薬草1021本をアイテムボックスに収納した、その内10本程は根っこごと採取しておいた、自分で栽培出来るかも知れないから
「よーし昼休みだ班長は人数確認した後休めー」
火を起こして肉を焼く
「その肉何の肉ですか?」
「森ゴブリンだ、不味いが食べても問題ない肉だぞ」
まずいのか・・・やめとこ
「ゴブリンの肉は売れるんですか?」
「ゴブリンは不味いから普通の店では買い取り不可だ、俺に言えば一匹銅貨3枚で買い取ってやる、ゴブリン焼きはここで働いてる奴等の弁当のおかずだからな」
畜産が盛んな都市クローバータウンの中ですら味より安さと栄養重視か・・・
「ゴブリンが出たぞー!!」
「どうよ、此がゴブリン焼きの効果よ、肉の焼ける匂いに釣られてバカなゴブリンどもがやって来やがった、切り刻んで弁当のおかずにしてやらあ!!」
ゴブリンイータの皆さんが一斉にゴブリンに襲い掛かって行くと20秒程で5匹のゴブリン集団が全滅していた、既に解体も始まっている、討伐証明部位の耳は銀貨一枚だそうだ
これじゃゴブリン狩れないよ
まだ昼休みだしちょっと抜けてソロで狩ろう
森の奥へ疾走していく
解体現場に散らばっている内臓さんをちょっと拝借していたので、森の奥深くの木の上に乗せて即席トラップを作った
潜伏スキルを使い気配を消す
気配探知で当たりを着けていた気配が近づいて来た
鑑定
森のグリヅリー
クラス巨大熊
攻撃力補正+5
レベル11
HP26
MP0
筋力 12
魔力 0
速度 5
攻撃力19
外見 0
スキル悪魔の一撃
「レベル10越えか王宮兵士より強いな、たまには普通に戦うか」
俺は森のグリヅリーに高速突きを放った
森のグリヅリーの顔面が爆散した
森のグリヅリーを倒した
レベルアップしました
俺は森のグリヅリーの死体をアイテムボックスに入れると薬草採取の現場に戻った
ゴブリンを焼いているギルドから来た人達に紛れ何食わね顔をしてグリヅリーの肉をこっそり焼いて食べると臭みが強くて固くて不味かった
熊肉にはそれに対応した調理法があるのだろうが時間が掛かるので今は無理だ
夕暮れ時まで薬草採取の作業を続けた、途中狼の群れが襲ってきて1人が軽い怪我をしたが今その狼達は解体されている最中だ
「時間だそこまで!!採取ノルマ分の薬草を袋詰めした後速やかに解散!!残りたい奴は好きにしろ!!日が落ちると熊が出てくるぞ!!」
夕暮れ時で綺麗だった夕焼けが少し薄暗くなりかけてきて、かなり遠くの方で狼のような動物の鳴き声がした
俺達はお互いを護衛しながら薬草を採取していたが、ここからは護衛がいなくなるということか、その代わり監視役が帰宅するから薬草は取り放題だ
俺以外のほとんどのメンバーは帰って行ったが1人だけが残っていた
「帰らないんですか?」
「ギリギリまで高級薬草を採取したい今日が初めての冒険者登録で金が無いんだ、ヤバいことだって分かってる」
鑑定
名前マッド
冒険者
HP 1
MP 0
筋力 0.6
魔力 1
速度 0.2
外見 0.7
これが普通の人のステータスか、王宮兵士って人外なぐらい強かったんだな
流石に見てられないな少し付き合ってやろう、
俺は森のグリヅリーのステータスを知ってしまっているからな
「俺も採取していって良いですか、人の気配が多い方が幾分か熊避けになるでしょうし」
「ああ是非頼む、実を言うと一人で不安だった、俺は後二時間だけ粘る」
まあ二時間か、少し長い残業だがやってみるか
俺はスキルを使わずにマッドとの会話を楽しみながらクローバータウンの情報を聞き出していった
聞き出せた情報は高級薬草はギルド以外の店でも売れるし、ギルドの窓口でも売却出来るが
店によってはギルドの依頼以上の価格で買い取りをしているらしい、その店がどこにあるかまでは教えて貰え無かった
薬草が必要なのはポーションを製造出来る錬金術士か薬屋か?そこいらを当たってみるか・・・
ガサガサ
「うぉっ熊か!?」
マッドはパニックになった
ガサガサ
キングゴキブリンが現れた
「ぎゃー」
俺はパニックになった
「うぉぉぁっ究極剣技ゴキブリンブレイカーっ!!!」
キングゴキブリンは爆散した
究極剣技ゴキブリンブレイカーを習得しました
究極剣技ゴキブリンブレイカー
炎属性・炎上・防具破壊・麻痺・猛毒
ミスリル製の鎧すら破壊する音速を越えた剣技、敵に対して一撃ごとに状態異常効果を付与する
恐怖のあまり防衛本能で変な技を覚えてしまった
「ゴキブリン戦に特化した剣技なんて初めてみたよ」
「技の名前がな・・・」
その後森のグリヅリーが三体同時に出たが覚えたての究極剣技ゴキブリンブレイカーで
試し切りがてら軽く倒しアイテムボックスに回収していくとマッドが青い顔をしていた
「そろそろ帰るぞ、森のグリヅリーが出て来たからな」
「ああ、お前がいなかったら確実に死んでいたよ、もう居残りはしないことにした」
マッドが居残りの危険性を理解したので冒険者ギルドに帰ることにした
帰り道でマッドに教えてもらったギルドの解体場に行き、森のグリヅリーの解体を解体作業員に依頼した、670キロある巨大モンスター熊の解体など素人に出来る筈が無いからだ
俺はアイテムボックスから森のグリヅリーの死体を4つ出した
「こりゃ大物ですね、毛皮も肉も結構な金になりますぜ、ギルドカードのランクは幾つです、もしかしてAランク以上ですか?」
「・・・・・・いやFだけど・・・」
「どうやって倒したんで?」
「・・・・・・究極剣技ゴキブリンブレイカーで倒しました・・・」
恥ずかしくなった
とても恥ずかしくなった
もう嫌だ
森のグリヅリーは解体費用の金貨4枚を差し引いて金貨287枚で売却出来た
解体作業場でモンスターの死体を直接売却出来たのが良かった、金も直ぐに渡された
冒険者ギルドに行く前に高級薬草がいくらで売却出来るか店をまわり相場を調べてみたかったが、この時間には閉まっている店が多かったので試しに冒険者ギルドに50本だけ売却してみることにした
「依頼品の高級薬草ですね、特に痛みもないので50本で銀貨5枚で買い取り出来ます、現地に行ったことで採取地での護衛条件も満たしているので更に銀貨5枚をさしあげます」
高級薬草は日本円に換算すると1本で100円か、相場を知らないので高いのか安いのか分からない
高級薬草はアイテムボックスの中に後1078本もあるので深く考えないようにしよう
「はい、それでお願いします」
銀貨10枚を手に入れた
冒険者ギルドを出て高めの宿に部屋をとると洗浄魔法で完璧な清潔感を維持した
「落ち着くーこの魔法最高だ」
薬草からポーションが作れる筈だが錬金術スキルも調合スキルも無いし、必要な素材も道具も無いし、レシピも無いからポーション作成は諦めよう
高級薬草を鑑定してみた
鑑定
高級薬草 品質C
加工される前の物でも咀嚼するとHPを少し回復させる、またヒールポーションの原料でもあり、その他の薬品の調合素材でもある
鑑定がレベル2になりました
「ヒールポーションを買って鑑定をかけたら原料が分かるかもな・・・そういえばリュックサックにポーションが数本入ってたな」
この白い液体が入ったコルクの蓋がついた試験管がヒールポーションかな
鑑定
練乳ポーション
原料、砂糖、乳、マジックパウダー
イチゴに掛けて食べるもの、甘い
「違ったか、試験管に練乳入れるなよ」
黄色いポーションがヒールポーションなのかな
鑑定
アーティファクト級アイテム
バナナシェイクポーション
原料、アイスクリーム、バナナ、マジックパウダー
使用すると瞬く間にバナナシェイクになる作成困難な高度なポーションひんやりとして美味しい
アーティファクト級アイテムの収集家など価値が分かる者には高額で売却出来る
食べ物系ポーションしか無いのかな
携帯食糧が不味かったからな、たまにこういう物を飲んで気をまぎらわすのかな
最後の泥水みたいな色をしたポーションを鑑定してみよう
鑑定
マイルドヒールポーション・ココア味
原料、高級薬草、高級ココアパウダー、高級マジックパウダー
本来のポーションの持つ苦味や薬っぽさを押さえ味がマイルドに改善された高級ポーション、
貴族や豪商などが好む
普段使いにはコスパが悪いだけの高級品なので味に拘らない者は買わない
「マイルドヒールポーション・ココア味か、高級ココアパウダーと高級マジックパウダーが有れば素材が揃うな」
翌日
調合素材店
「探しものですか?」
「高級ココアパウダーと高級マジックパウダーをそれぞれ5個ずつ買いたいのですが、それに調合に必要な道具一式とポーション用のガラス瓶も」
「全部で金貨11枚になるよ、調合したことはあるのかい」
「いえ、無いです」
「金貨3枚で初級調合マニュアルを販売してるよ」
「ではそれも買います」
「はい毎度、金貨14枚になります」
金貨14枚を支払った
日本円に換算すると14万円の出費だがポーション作成に対する好奇心には勝てなかった
「店の奥にある調合室は銀貨一枚で貸してるよ、使わなくても調合は出来るけど、魔力術式調合台の効果で調合成功率が20%程度上がるよ」
「では銀貨一枚を払います」
「毎度」
調合室内
調合一回目
調合失敗
調合二回目
調合失敗
調合三回目
調合に成功しました
マイルドヒールポーション 品質C
調合スキルがレベル3になりました
調合4回目
調合に成功しました
マイルドヒールポーション 品質A
調合スキルがレベル5になりました
調合5回目
調合に成功しました
マイルドヒールポーション 品質S
調合スキルがレベル6になりました
「Sはスペシャルって意味かな、売却価格が上がるかも」
調合室から店内に戻った
「黙々と作業してたねポーションは出来たのかい」
「ええ品質Cと品質Aと品質Sのマイルドヒールポーションが作成出来たみたいです」
「見せてごらん、こちらで買い取り出来るかも知れないから」
店主はポーションを鑑定しているようだ
「間違いなく鑑定させてもらったよ、品質Cは金貨3枚、品質Aは金貨7枚、品質Sは金貨15枚で買い取りできるよ売却するかい?」
金貨25枚でマイルドヒールポーションを売却した、かなりの黒字になった
高級薬草は調合素材にした方が儲かりそうなので売却はしないことにした、店で素材を購入し調合と売却を繰り返すと、金貨75枚を稼いだ時点で店側の購入資金がそこをついたので店を出ることにした
調合スキルがレベル10を越えた
調合限界突破を習得した
調合限界突破
調合にマジックパウダーが必要なくなる
調合に調合器具が必要なくなる
調合成功率が100%になる
SSSランクを越えたアルティメット調合が可能になる
疲れたから、買い食い、買い飲み、しながらしながら高級宿に帰ろう
高級宿がある道へ続く市場の方向へ歩いて行く
「止まれ」
二人組の兵士が手を前に出すジェスチャーで制止を促してきた
「職務質問だ身分証明書を提示しろ」
「はい」
職務質問をしてきた巡回の兵士にギルドの身分証明書を提示し質問に答えた後
「市場の近くに美味い食べ物を売る店は有りますか?」
「殺人が発生している、犯人に遭遇するかも知れないから家に帰れ」
「はい」
帰る気は無かったがそう答えた
俺のステータスなら犯人に遭遇しても問題ないだろう、飲み食い優先で行こう
「うわーっ」
「きゃーロンクソードを振り回してるわ」
さっき話してた犯人か?
「・・・フラグの回収がはえーな」
「そっちに行ったぞー!逃げろー!」
異様な緊張感を含んだ殺伐とした怒号が飛び交う
来るんじゃねーよ、買い食いの邪魔だ
あっ、来ちゃった
「・・・」
通り道は薄暗くこの距離からは顔が良く見えない、身長175センチ程度、白髪の60歳台ぐらいの男だ、手には抜き身のロンクソードを持っていて、土色をした布製の粗末な衣服には返り血が付着しているような気がする
「何もしません、そのまま行ってください」
俺は落ち着いた口調で殺人犯だと推定される男に話しかけた、俺をスルーしてそのまま行ってくれ
「・・・」
話掛けても応答がない
何かで濡れたロンクソードを持った殺人犯の手元が怒りに震えている気がした
突然白髪の男が動いた
「・・・うぉぉぁつ!!死ねやゃやあぁあ!!」
「・・・うぉぉぁつ!!死にませんんん!っっつ!!」
俺は剣を抜きながらも、釣られて相手と同じ口調になってしまった
カン
カン
パキン
「あっ、折れちゃいましたね」
三回打ち合うと殺人犯のロンクソードは根元からパキンと折れて柄だけになった、明らかに一度折れた中古品を手直ししたような粗悪品の剣だ。
「くぉおぉおのやろううぉぉぁ!!」
白髪の男は激昂して俺の顔面に鞘を投げつけると腰に差していたナイフを抜いた
「なぁあぁんでぇえすくぅうあぁ!!」
顔面に投げつけられた鞘をかわしながら俺はまた釣られて殺人犯と同じ口調になってしまった
「何を遊んてやがる相手は殺人犯だぞ」
先ほど職務質問してきた二人組の巡回兵士が騒ぎを聞き付けてやって来た
「おお、良いところに、助けてください」俺は厄介者を兵士に押し付けた
「さっさと逃げな、始末しておいてやる」巡回兵士が剣を抜くと殺人犯は逃げだした
「まてー」
巡回兵士は殺人犯を追って去って行った
ザシュ
「ぎっ」
ドサッ
遠くの方で嫌な音が聞こえた後静かになったが、俺はそのまま食べ物探しへと歩く
「関わると事情徴収とかで100%買い食いの時間がなくなるからな、放置で良いだろ」
ところでどっちが勝ったんだろうな?
あの白髪のじいさん結構強かったからな
時計は持っていないが体感的な暗さからザックリ判断して今は夜の8時ぐらいだ、市場にある屋台はこの時間でもまだ営業している、食べ物の良い匂いがする方へ歩いて行った
焼きたてのパンの焼ける香ばしい薫りがした
「塩パンを1個ください」
「はいよ、銅貨2枚だよ」
日本円換算で200円の少し大きめなメロンパンぐらいの大きさの丸いパンにかじりつく、味付けは薄味の塩だけだが焼きたてなので美味い
「とても美味しいです、後2つください」
「ありがとよ銅貨4枚だよ」
良い買い物をした、時間停止効果のある俺のアイテムボックスに入れれば何時でも焼きたてのパンが食べられる
前から薄いパンに肉と野菜が挟まったようなのをかじりながら女戦士が歩いて来る、女戦士は食べ物に夢中で前を見ていない、ぶつかりそうなので道を譲る、女戦士は食いながら別の屋台を見つけて走って来る、こっちの方に店があるのか・・・
あっ、急に方向転換した
ベチャ
俺の顔面にソースがついた
「この野郎切り殺すぞ!」
女戦士は何も考えず反射的にでかい声でキレた、清々しい程の逆ギレだ
「ぶっかったのそっちじゃないですか?」
「あっ・・・」
女戦士の顔が赤面した、そういえば俺の外見ステータス3000万だっけ
「気を付けてね」
「あっ・・・はい」
勝った、戦わずして女戦士に勝った、外見チート強い、初めて役に立ったな。
「洗浄魔法!」
ピカン
俺は魔法で完全に清潔になった
顔面に派手にぶっかけられたソースも綺麗に消えた
勝って気分が良くなったし、この女には特に興味が無いので鑑定は使用しなかった
それにしても顔についたソースをちょっと不可抗力で舐めてしまった
あんな食べ物があるんだな、羊肉のケバブサンドみたいな見た目だ
肉も食べたくなってきた、あと冷たいアイスティーでも無いかな、冷やしてるのは無理か
屋台を物色する
焼いた肉の塊を削りながら売っている店が有った
「これ下さい」
「はいよ銅貨7枚だよ」
木の器にレタスのような野菜と一緒に盛りつけられた羊の薄切り肉をテーブルに置き、椅子に腰掛け、木製のスプーンでかき混ぜて味を馴染ませてから食べる、
この世界では香辛料は高価なのか塩の味しかしないが、肉には熟成させた風味があり適度に塩辛くて美味い、おそらく塩も高価なのだろう、塩っ気の強い食べ物ほど値段が高い気がする
飲み物は屋台には置いていなかった、
屋台から少し離れた場所に水の販売場を見つけた
「さあいらっしゃいっ!今日の夕方井戸から汲んできたばかりの水が銅2貨枚だよー!」
水の鮮度をアピールした呼び込みの声が聞こえる
「一杯下さい」
銅貨2枚を支払い水を買った
店員が陶器製のでかい水瓶から木製のジョッキに柄杓で水を汲み入れる
冷やされていないぬるい水だ、消毒薬臭くも無いが特に味も無い
井戸から水を汲み上げここまで運んで来るのは相当な労力だったろう、でかい水瓶は荷台でも無い限り人力で運ぶのは無理そうだ
ぬるい水は日本円換算で200円もしたがコストが理解できたので不満は感じなかった
味のついた果実水やぬるい茶なども置いて有った、そちらは日本円換算で800円もしたが興味本位で果実水とぬるい茶も購入してみる
鑑定
ウォーレン果実水
原材料 ウォーレンの実 井戸水
ウォーレンの実を潰して井戸水で割った飲み物 ウォーレンの果汁5%に対して井戸水は95% ほぼ井戸水の味しかしないがほんのり甘い
これは味の薄いオレンジジュースだな、砂糖やブドウ糖、香料などが入っていないからほぼ水みたいな味だ
鑑定
苦味草のお茶
原材料
苦味草 井戸水
苦味が強いお茶、カテキン、ビタミンCが含まれ体に良い、食あたり回復に微弱の効果がある
こっちのお茶は普通に飲める味だ、こういう味のお茶は在るからな
暫く歩きながら考える
素材が有れば調合で作れそうなものが多い、果汁と砂糖さえ有れば甘い飲み物が飲めるかもな