小学生2
駅前の大きな塾は市内でも有名であり、地元でお山の大将だった私は鼻を伸ばして通った。実際、入塾してすぐのクラス分けテストで高得点を出し即応用クラスへの編入が決まった。応用クラスは成績上位者15人ほどで構成されていた。
そこでようやく私は地元の低レベルのようではなく同等と認める友人ができた。授業のレベルも高く、それがまた学習意欲を駆り立てた。
時は2年経ち小学6年、そうして迎えた志望中学校の模擬試験当日は塾生だけでなく一般の小学生も受けることができた。多くの小学生が集まる中、2年の学習の末対策も完璧だった私は、応用クラスの切磋琢磨した仲間は志望校が違うため、敵はいないと踏んでいた。
そして結果通知が届いた。全体で2位だった。負けず嫌いだった私は悔しかったが、大人数の中2位は大健闘と皆に褒められ納得していた。
ただ問題は1位との差である。後日ロビーに成績上位者の名前と点数が張り出された。実に200点満点の中で50点近い差があった。僅差ではない、あまりにも上、天と地殻の差、紙の上で見下されているようにみえた。今まで常に頂点に立っていた自分が見下された。それは大きな傷を与えた。
私は放心した。今まで頂点に君臨していた王は、都落ちした時に動けない。
ようやく放心が解けた私はまず、1位の名前を見た。その名前はドラのように脳に響き、人生初の頂点を諦めようと挫折をさせるには十分だった。
井の中の蛙大海を知らず、大海をしれば干からびる。そうして挫折のショックを噛み締めつつも中学受験に合格したが、もう驕ることはなかった。
そして中学時代に突入するのである。