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信長Take3【コミカライズ連載中!】  作者: 松岡良佑
3章 天文16年(1547年)勝ち取る力
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13話 松平竹千代(松平元信(松平元康(徳川家康)))

【尾張国/末森城 織田家】


 新年を迎えて3日たった織田弾正忠家では、主だった家臣や息子達が集まり信秀に挨拶を行っていた。

 一通りの挨拶も終わった頃、全員集められ信秀が今年の方針を語り始めた。


「今年も我が織田家は尾張の為、民の為、積極的に動く事になる。今年は正念場となろう。皆、準備に抜かりなく励むように!」


「はっ!」


 一斉に頭を下げる家臣と息子達。

 だがこの時、勘の良い者は頭を下げつつ違和感を感じていた。


 今の抱負は何か変だ、と―――


 その疑問は信長も当然ながら気付き、挨拶の後の宴会で隣に控える平手政秀に周囲に声が漏れない様にしつつ確認する。


(爺、先程親父殿は『尾張の為、民の為』そう言ったな?)


(確かに言いましたな)


(言葉が足りぬな?)


(若も感じましたか?)


(これは……今年は荒れるやも知れぬな)


 周りを見れば、兄の信広が難しい顔をしている。

 弟信行には家臣の柴田勝家が何やら耳打ちをしている。

 他にも高い評価を受けている家臣は何かを感じ取った様である。


 しかし―――


 予想に反して、それからの8ヵ月間は特に大きな動きは無かった。

 信秀だけは積極的に動いて何かを成そうと水面下で動いているが、次第に己の側近にも伝えない程、秘密理に動く事が多くなった。

 信長も前々世準拠なら対今川の事であろうと当たりを付け、いつでも出られる様に普段通り『うつけ』つつ治安に訓練に励んでいた。


 そんな中、事件が起きた。


 信秀が謀略によって、今川家に人質に送られるハズだった竹千代(後の徳川家康)を強奪してきたのである。


 三河の占領を巡っては、一進一退の攻防を繰り広げていた織田信秀と今川義元であったが、三河の松平広忠(家康の父)は信秀の圧力に抗しきれず今川義元に援軍を申し込んだ。

 義元は義元で三河侵攻の機を伺っていたので、これを大義名分とし三河に援軍を出す事を了承した。

 救援条件は竹千代を人質として駿府に送る事である。


 松平家と今川家の関係は、今までも一応同盟の形であったが、今川家の力なくては松平家を保てず、実質的には従属の形である。

 しかし『従属』と『実質的従属』は似ている様で違う。

 99%は決して100%ではない。

 今川家としては今後の計画もあるので、今回の織田侵攻に対する救援で竹千代を人質に取り、これを機に完全に松平家と三河を取り込む事にしたのだ。

 松平家も今川の力を頼りに何とか命脈を保っている状態なので選択の余地は無く、嫡男竹千代を人質にする事を了承した。


 この瞬間、今川義元と太原雪斎の必勝の謀略が決まり、今川家は三河を併合し戦国時代有数の大大名になる……ハズだった。


 その目論見は、信秀の奇策中の奇策で覆される事となった。

 それが竹千代強奪なのである。


 しかしこの奇策中の奇策である竹千代強奪も、鮮やかに決めた策かと言えば全く違う。

 苦しんで足掻いてようやく捻り出した苦肉の策であった。

 信秀は宿敵今川を相手に手練手管を駆使して、三河侵攻の機を作ろうと画策したが、全ての面で義元、雪斎コンビに上手を行かれて手詰まりに陥っていた。


「クソッ! 元クソ坊主と現クソ坊主め! 奴らは何手先まで見えておるのじゃ! 寺に行ったなら、そのまま寺で修行しておれ! 出て来るんじゃないわ!」


 今川義元は元僧侶、太原雪斎に至っては現役の僧侶であるが、その高い実力と才能の成せる業に信秀は翻弄され続けていたのだ。


「ワシでは奴らに勝てぬのか? では……ワシで勝てぬなら誰なら勝てる?」


 信秀の知る限りの顔が脳裏を過る。

 しかし、誰も彼も自分と同じ様に頭を抱える姿が目に浮かぶ。


 ただ一人を除いて。


「三郎ならどうする……? 奴なら? ……ッ!!」


 その時、雷に撃たれたかの如く閃く事があった。

 謀略で勝てぬなら実力行使で人質を奪ってしまえ―――と。

 そう思った信秀の行動は早い。


(どの道、現時点で打てる手はすべて打った。ならば! やるだけやるのみよ!)


 田原城を経由して駿府に送られるのを察知した信秀は、田原城主の戸田康光を口説き落とし、竹千代を尾張に移送させたのだった。

 この世を独自の目線で見る信長を、信秀流で真似て成し遂げた渾身の奇策であった。



【駿河国/駿府城 今川家】


 この奇策中の奇策には今川家も愕然とした。

 もちろん、移送に際し万全を期していた。

 不手際や野盗の襲撃があって竹千代に死なれたら三河侵攻計画が崩れ去るので、移送には経由地の軍を動員して護衛する手はずであった。


「それなのにだ! まさか我らと松平に挟まれていた田原の戸田が裏切るのとはな!」


 ひじ掛けに拳を叩きつけ、大きく息を吐く義元。


「……雪斎和尚。戸田康光は乱世に疲れ果てて自ら滅び去る道を選んだ、そう判断して良いのかね?」


 戸田康光の理解できない行動に、何とか理由を付けたい義元は自殺願望がある、と結論付けた。


「……ふむ……まぁ……そうなのでしょうなぁ。拙僧にもそれ位しか理由が思いつきませぬ。御仏もこれには驚いたでしょうな」


 雪斎も戸田康光の裏切りに、最大級の賛辞を送って皮肉る。


「しかし御仏すら欺く織田信秀……! 奴は確かに手ごわい。手ごわいが、ここまで頭の回る奴であったかな?」


「拙僧もそれは思う所がありますが、彼の御仁は斯波家の家臣の家臣の身ながら、我らに対抗できる器用の仁。窮鼠猫を噛む……いや鼠にしては凶暴過ぎますな。はてさて?」


「チッ! 仕方ない。今回は負けだ。とりあえず戸田康光を討って、田原を手中に収め溜飲を下げるとするか」


「はっ! 準備いたします」


 まさか駿河にも轟く、信長の価値観が参考にされたとは思い至るはずもなく、義元はその怒りを戸田康光に向け、この後、田原戸田家は今川軍によって粉砕される事となるのであった。



【尾張国/那古野城 織田家】


「三河松平の嫡男竹千代が来たじゃと!?」


 平手政秀からの報告を聞いた信長は、もうそんな時期かと思い出し驚く。


《竹千代……と言うと、あの徳川様ですか? 前世では見舞いの品などで楽しませて貰いましたので、一度ご挨拶したいと思ってました!》


 帰蝶が嬉しそうに名前を確認した。

 その名前は知ってはいても、前世は病気で伏せており実際には会った事が無いので興味津々である。


《そうじゃ。あの徳川家康じゃ。この辺りは歴史通りじゃな。……ワシは歴史通りに事が進んでも驚いておるな》


 信長は驚いた事に驚いてしまった事に気づいた。


《今川家、松平家との関係は前世と大差無いので、予定通りなのでしょうか?》


《確かに今川と松平との関係は前世通りじゃが、しかし織田側が前世通りではない。また一波乱あるやも知れぬな。ファラ! 徳川家康について教えよ!》


《はい(とうとうこの時が来た!)》


 呼ばれたファラージャは思った。

 ファラージャの思う『この時』とは、信長没後も生き残った人物に対する説明である。

 徳川家康は信長没後に本領発揮した人物なので、その時のイメージが強い。

 家康の形容詞とも言える『狸オヤジ』『鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス』等は、まさに晩年のイメージだ。


《えーとですね……(本能寺の変の後、巡り巡って戦国時代の最終勝者とは口が裂けても言えないわ。慎重に言葉を選ばないとね……!)》


 そう考えたファラージャは頭の中を整理しながら語り始めた。


《徳川次郎三郎家康。幼名の竹千代から、元服後に松平元信、松平元康、徳川家康と名前が何度も変わってますね》


《知っておる》


《一時期、織田家に人質として過ごし、後に今川家に人質となります》


《知っておる》


《祖父、父共に暗殺されて居る為、非常に注意深いと言われています》


《知っておる》


《非常に義理堅く粘り強く戦います》


《知っておる》


《姉川、金ケ崎、対武田戦など、信長さんの無茶な命令にも全力で応える律義者です》


《知っておる》


《息子信康が武田と内通の疑いが出た時、織田家との関係を重んじ息子と妻を処断するなど、公私混同を嫌う人でした》


《……知っておる》


《信長さんとの友情を大事にした戦国時代屈指の人格者です》


 心の中で『信長さん没前までは』と付け足した。


《知っておる》


《以上です》


《知ってお……は!? 以上ってもう終わりか!? あの狸がこの程度の履歴で終わるハズがあるまい!?》


《そ、そう言われましても……》


 最後まで登りつめて征夷大将軍になった、とは絶対に言えない。

 本能寺後の歴史を口にしたが最後、言えば必ず行動に影響が出てしまう。


《(言える訳ないじゃない! でも本当に本能寺前は大人しい人ね……口にしてみると最後の勝者とは思えないわ)》


 ファラージャが喋る事が出来ずにアタフタしていると、信長が何かに気付き話し始めた。


《……待てよ? あ奴は本能寺の時、堺に見物に来ておったな。そうか。その時に明智勢に討たれてしまったのか……?》


 史実の徳川家康は本能寺の変の時には堺見物に来ており、信長が討ち取られた時は命辛々三河に逃げ帰った。

 その史実を『神君伊賀越え』と称し、同じく家康と共に堺に来ていた穴山信君は逃げる途中で落ち武者狩りで絶命しており、家康の強運を窺い知れるエピソードとして有名である。


《本能寺の後ですので私の口からは何とも言えません……。ですが、基本的に裏の無い愚直な人物でした》


 心の中で『晩年は全く違いますが』と付け足した。


《やっぱり! 徳川様は、お優しい方だと思っておりました!》


《そうだな。奴には無茶な要請も聞いて貰ったしな》


《平手殿と同じく、その心根に疑いはありません! 今生も味方として付き合うべきかと思います!》


 帰蝶が張り切って意見を述べる。


《うむ。特に敵対する理由もない。やはり今生も頼りになる狸として我らと共に歩んでもらおう!》


 信長、帰蝶、ファラージャはそんなテレパシーを交えつつ竹千代のもとへ向かった。


 竹千代―――


 後の徳川家康は前世の織田家にとって、様々な場面で戦力となる重要人物である。

 特に対武田においては徳川が頑張らなければ、織田も共倒れになり兼ねない程、必要不可欠な人材だ。

 前々世通りに今このタイミングで面識を持たないと、今後の織徳同盟に繋がる糸が断ち切れかねないので、信長は絶対に接触する必要があった。


 その竹千代は与えられた一室で寝ころんで、天井を見ながら僅か4歳の人生を振り返っていた。

 幼くして母は父と離縁し、自分の元を去っている。

 甘えたい盛りで辛かったが、お付きの者も居たし何とか乗り越えた。

 だが今度は親元を完全に離れ、今川に人質に出される事になった。


 その事に関しては幼いながらも理解している。

 そう言うモノなのだと。

 しかし、何故か今、織田家の一室にいる。

 幼い竹千代にはここらが限界であった。


(お付きの者は誰も居なくなってしまったが、この織田家は居心地がいい。危害を加える者はいないし、珍しい物もいっぱいあるし、松平家の様に悲壮感漂う気配もない。しかし父上にご迷惑を……)


 竹千代は、迷惑を掛けてしまっている父を思いながら、いつの間にか眠りについた。


 しかし、ドスドスと響く廊下の音に竹千代は眼を覚ました。


(―――廊下がうるさいな)


 しばらくして振動が響き渡ってきた


「若、お待ちくだされ!」


(―――遠くで声が聞こえる)


 寝ぼけ眼でうるさい方向を見た。

 その時―――


 すぱぁん!!

 すぱぁん!!


 と気持ちのいい音を立てて2枚の襖が開いた。


「!?」


 竹千代は心臓が飛び出るほど驚いて、完全に目を覚ました。

 右の襖を信長が開き、左の襖を帰蝶が開き仁王立ちで立っている。


 幼い竹千代は動揺していた。

 自分の周囲には織田家の者が常にいた。

 しかし、こんな奇天烈な格好をした織田家の者など記憶にない。

 幼いながらに身の危険が迫っている事を察し後ずさる。


「貴様が竹千代だな?」


(奇怪な姿をした男が問うてきた!? 何か父上や織田の殿様よりも偉そうだ!?)


 などと、子供ながらに感じていると女が口を開く。


「三郎様、怖がらせては駄目ですよ? ……貴方が竹千代ちゃんね? やっと会う事ができたわ! それにしても……可愛い~!」


(ヒッ! 綺麗じゃが男装の女が笑いながら寄ってくる!)


 帰蝶は竹千代の元まで来ると、抱き上げて頬ずりをする。


「や、止めよ! 武士の男に何をするのじゃ!」


 幼くとも松平家次期当主、武士の矜持は持ち合わせている。

 だが、いかんせん体格に違いがありすぎる。

 男らしい事を言っても帰蝶には通じず、逆に可愛がられてしまう始末で、困り果てた竹千代は織田家の見張りに助けを求める。


「賊が入り込んできたぞ!」


 必死に叫ぶ。

 しかし見張りも自分と同じくらい、困り果てて廊下に控えていた。

 帰蝶は竹千代を抱えてクルクルと回っている。


「や、止めよ~!」


 ようやく竹千代は、この異常事態に誰も対処しない異常事態に気が付いた。


「於濃、その辺にしておけ」


「あら残念! また後でね、竹千代ちゃん!」


 ようやく竹千代は解放された。

 信長は竹千代の前に座り込んで、先程の問いをもう一度繰り返した。


「貴様が竹千代だな?」


「ひ、人に名を尋ねる時は、まず自分からであろう!?」


 目の前の男の迫力に、漏らしそうになりながらも竹千代は毅然と答えた。

 人質の身であろうとも、さすがは史実での征夷大将軍である。


《ほう!》


 前世では一対一での対面だった為、男同士打ち解けるのは早かった。

 しかし今回は、帰蝶の洗礼を受けてどうなるか見てみたかったので、帰蝶の行動を強くは引き止めなかった。


《幼くても狸は狸じゃな。必死に化けて取り繕うておるわ。お主の洗礼に面食らっただろうが、よう泣かずに堪えておるわ》


《洗礼ってなんですか!? 私は素直に……》


「おっとこれは失礼をした。ワシは織田三郎信長、織田弾正忠(信秀)の息子じゃ」


 帰蝶の抗議を無視して信長は名乗る。


「私は三郎様の妻、帰蝶です。皆からは濃姫と呼ばれてます」


 若干拗ねて帰蝶も続く。


(尾張の殿様の息子に妻!?)


 竹千代の短い人生の中においても二人の存在は異質過ぎて信じられない思いであった。

 自分の見張りを見るが、何の訂正もない。

 その顔からは不本意ながら真実である、そう告げているようだった。

 困惑する竹千代に追撃が入る。


「竹千代ちゃん、会いたかったわ! 姉上と呼んでも……」


「お主! 今暇じゃな?」


 帰蝶が暴走し始めたので遮って尋ねた。


「え、ひま?……え?」


 織田家の人質となっているが、基本的には暇である。

 現代の犯罪における人質待遇とは違い客のような扱いなので、自由は制限されるが日々健康的に存在する事こそが人質の役目である。

 教育も受けられるし、才能を認められ主君の娘と婚姻し、抜擢される者も少ないながら居るのが戦国時代の人質なのである。

 史実では織田家の人質になり、信長の娘を与えられた蒲生氏郷などは良い例である。


 話が逸れたが、信長の言う通り竹千代は凄く暇であった。


 織田家に来て僅か数日である。

 遊びたい盛りの幼子にとっては苦痛極まりない。

 ただ、そこは未来の徳川家康。

 堪える事に関しては人一倍才能があった。

 しかし信長に圧倒されつい本音が出てしまう。


「ひま……です……?」


 そう言いながら、自分の見張り役に助けを求める為に視線を向けた。

 顔を背けられた。


「そうか! 暇か! ならば城下に出るぞ! 支度せい!」


 前世では、いずれ今川に取り返される竹千代であるが、今生はどうなるかわからない。

 明日にでもいなくなるか、このまま織田家に残り続けるか神のみぞ知るところだ。

 なので信長は前世以上に竹千代を連れ出して、あらゆる武芸と世の中の仕組み、自分が知る限りの指揮官としての教育、すなわち転生分を加味した信長流の英才教育を施すつもりでいる。

 自分の同盟者として、兄弟分として信頼のおける力を付けて貰う為に。

 対武田戦において前世とは違う結果を出す為に。

 本能寺の変に関連して討ち取られてしまった(と思い込んでいる)徳川家康を救うために。


 こうして連日、城下町に繰り出し見分を広め、親衛隊の訓練を見て指揮や兵法、政治を信長から学び、武芸も帰蝶に鍛えられていった。

 もちろん最初はおっかなびっくりで生傷が絶えない日々が続いたが、才能があるのは信長も帰蝶も知っているから遠慮がない。

 竹千代はたまらず信秀にそれとなく助けを求めたが、信秀も信長の思惑を尊重し止める気配がないどころか『頑張れ』という始末であった。


 竹千代は覚悟を決めた。

 決めざるを得なかった。


 こうして日ノ本一恵まれた(ある意味不幸な)人質が誕生する事となったのだった。


 もちろん溢れる才能が確定している竹千代は1月もしない内に、信長の質の高い教育にのめり込み傾倒していった。

 帰蝶の訓練も武士故に興味が無くは無く、むしろ、歴戦の兵に勝るとも劣らない帰蝶の武芸百般ぶりに感動すら覚えたが、いかんせん隙あらば自分を抱きかかえようとする帰蝶には辟易してしまう。


 今日も棒切れ一本で完全に手玉に取られた竹千代は、精一杯背伸びをし言葉を選び抗議する。


「濃姫様! 某は男です! その様な女子の如き扱いは止めて頂きたい! 竹千代ちゃん呼ばわりもです! しかも三郎様の目の前ですぞ!」


「あら~? 嫌なの? じゃあ私の攻撃を避けて一本取ってみなさい? そうしたら止めてあげるわよ?」


「うぬぬ!」


 帰蝶は幼子相手に本気を出す訳にもいかず、遊び心を持たせた指南を行っていた。

 信長としてはそれが良いのか悪いのか判断が付かず、成り行きに任せる事にした。

 大幅な歴史改変に繋がる事を願って。


 今日も竹千代と帰蝶の微笑ましく見えなくもない訓練が親衛隊の中で繰り広げられるのだった。

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