二話
《異世界生活一ヶ月目》
この自由な世界に生まれて大体一ヶ月がたった。
そして一ヶ月である程度のことがわかった。
まず、この世界の言葉だ。
文法として近かったのは英語だ。
ほかの言語を日本語以外に知らないから、日本語に近いのか英語に近いのか、またはその両方に当てはまらないかしかなったんだけどね!
母さんはよく言う。
「いってくるわ 買い物に」
次に、オレ自身のことだ。
この世界での名前は『フィル』だ。
どうやら、オレの爺さんがつけた名前らしい。
二つ目は髪の毛が薄い。
まだ、赤ん坊だからってのも関係していると思うが今からかなり気になる。
まあ、はげたらはげたで『フィルさんだぞ』ってやってればいいか。
三つ目は幼馴染がいるかもしれないということだ。
これは両親の会話を聞いて知った情報だからたぶんいる。
そして、なんでも女の子だそうだ。
異世界にきてこの、どっかの主人公のような待遇。最高だね。
両親は美男美女だし、女の子の幼馴染がいるらしいし。たったこれだけでも最高にうれしい。
うれしいのはまだある。
この家にはメイドがいるのだ。
彼女はオリヴァ。
胸が大きくスタイルのよいメイドだ。
少々、無愛想だがなんだかんだやってくれている。
特に、授乳し終わった後のゲップ抱っこがそうだ。
美人母さんの母乳を飲み終わるとオリヴァが抱っこしてくれる。
そして、母さんは食卓につき、ご飯を食べる。
これが何を表すのか、もうわかるよな?
食事中の二人、巨乳に抱かれる一人の男の子。
この時間だけは誰にも邪魔されない、おっぱい堪能タイムなのさ!
まだ、赤ん坊だという特権をふんだんに使い、顔を埋めたりふざけて揉んでみたり。
ふざけすぎると睨みつけられるが気にしない。
まあ、そんなこんなで異世界生活は楽しいですね。
ーーーーーーーーーー
数ヶ月の月日が流れ、やっとオレは首がすわりハイハイもできるようになった。
そんなわけで、今日はいつもの部屋から自力で出てみようと思う。
どうも、YouTubeをご覧の皆さんこんにちは!フィルです!
今回は家紹介をしていきたいと思います!
まず、今いるところはベビーベッドの上ですね、はい。
左にはベランダがあり、海が見えますね!きれいです。
この部屋にはベッドとクローゼットしかありませんね!
では、次の部屋に行きましょう!
部屋を出るとそこには踊り場、廊下とでもいうのでしょうかそんなのがあって、下に行く階段もありますね。
階段は下りないで隣の部屋に入ってみましょう!
重たいドアを開けると、そこには脱衣所がありますね、もちろんその奥はお風呂があります!
この家はお風呂がついているんですね!よく聞くファンタジー世界はお風呂に入る週間がないって聞きますがね!よかったです!
え?誰と一緒に入ってるかって?
そりゃ、美人なお母さんとですよ。興奮はしませんがね!
次の部屋は両親のベットルームですね!最近、夜にぎしぎし音といやらしい声が聞こえてくるので兄弟ができるのは時間の問題でしょう!
その奥の部屋は、お父さんの書斎ですね!
L字に本棚がありまして、いろんな本がぎっしりです!どうやら、本は魔法道具でコピーできるらしくかなり流通してるみたいですね!
それでは、一回に降りてみましょう!
子供の体では階段を下りるのも一苦労です……。
無事降りると、目の前には美人さんが立ってますね、お母さんです。
「あら、また降りてきちゃったの?」
そのまま抱っこされ外にいる父さんの所に行った。
抱っこされながら、家紹介の続きをしよう。
一階には暖炉があり、それを囲むようにコの字ソファーがありますね!
冬は温かいでしょう!
てか、冬ってあんのかな……?ま、いっか。
部屋の真ん中にはダイニングテーブルがありますね!そこでいつもご飯を食べます!
こんなもんですかね!
それでは……ご視……え?
まじか!
ご視聴ありがとうございましたって言おうと思ったら、目を疑うものを見てしまった。
オレの父ちゃんすげええ!
海の上に立って水を操り空中に大きな海水の玉を作っていた。
よく見ると、その中には立派な魚が何匹も泳いでいた。
あれなに?と指を指すと、母さんが答えてくれた。
「あれはね、フィルのお父さんよ、うふふ」
いや、あの、うん。知ってます。
むす。って顔をすると。
「なにかわいい顔してるのよ」
ぷくーと膨れるほっぺをぷにぷに触りながらうふふと笑った。
「お父さんは漁をしているのよ、水を操ってお魚を一箇所に集めてね、それであーやってまとめちゃうの」
おー、なるほど。わからん。
イケメン父ちゃんも意外とすごかったりするのかも。
砂浜に座って漁を見ていたオレらに気づいたのか、海水で大きな手を作りこっちに振ってきた。
そんなこともできるのか!
母さんは手を振り返し、オレの耳をふさいだ。
「あなたー!お昼よー!」
マジでびびった、ほんとに。
こんな美女からあんなでかい声が出るなんて……。
例えるなら、電車のガタンゴトンの大きさ。
んー。分かりにくいか……。
オレにもあんな魔法が使えるようになるのかな?
ちょっと、やってみるか。
母さんの膝の上から降りて、砂浜の上をハイハイする。
「ん?フィルもお父さんのやってることがしたいの……?」
こう……両手を……ハッ!
べちゃ。
波が引き寄せする砂浜に顔面から突っ込んだ。
しょっぺ。
「あら!だいじょうぶ?ぺってしなさい、ぺって」
昼飯のときに笑い話にされたのはいうまでもない。