七話:話→君
「じゃあ、端っこの方の空いてる席あるでしょ?そこ座って。」
担任の一言に小さく頷き、そいつは俺の方に歩いてきた。
空いてる席は、見事なことに俺の隣だけだ。
『まさか本当に昨日のあいつか?』
いつもならそんなこと考えたりするような事など無いのだが、俺が思うには間違いない。
北条は昨日のあいつだ。
ホームルームの後は休憩時間だ。 北条にどうやって話しかけようか考えてると、北条が腕を少しだけ伸ばし、俺の制服をくいくいと引っ張ってきた。
「・・・・・昨日はありがとう。」
突然言われたもんだったからびっくりした。 まさか北条から話しかけてくるとは思ってなかったし。
「えーーっと・・、なんて呼んだらいい?」
とりあえず話を変えようと思って言ってみた。
「・・・・ユタカ。」
いきなり下の名で呼べと。 でも俺はそれを受け入れた。
「じゃあさ、豊。昨日の約束、覚えてるよな?」
「うん」
「だったらこれで約束、守れそうだな。」
「・・なんで?」
「そりゃぁ同じクラスだったら、ほぼ毎日会えるんだから。一日ずつ、表情作っていこう。
無理なら一ヶ月でもいい。ぜってーに約束は守るからな。」
言った後に、こんな綺麗事信じてくれねぇよなって思った。
でも豊は、少しだけ頬を赤らめながら、
「・・・・ありがとう、心次郎クン。」
と言ってきた。 いきなり下の名で呼ばれたもんだったから、ちょっと照れくさくって、目線をそらすように俺は窓の外に眼をやった。
またすぐに豊の方を見ると、まだ頬を少し赤らめながら、教科書やらを机の中から出している。
まったく変わらない表情だったけど、俺には笑顔に見えた気がした。
久しぶりに投稿でっす!!
この小説イイ! と思ってくださった読者様は、地球儀の端っこにパンチをしましょう。 ぐるぐる回ります(当たり前田のクラッカー




