四月一日
実話をもとにした作品です
サクッと胸糞悪くなりたい方へ
鼻にツンとくる異臭が漂う洗面所。ハエが飛び交う。火曜サスペンスのような、猟奇的事件が起きたわけではない。排水溝に髪の毛が絡まり、ヘドロと化しているだけだ。そう、汚いだけだ。
私の母は家事をほとんどしない。最近はご飯もあまり作らない。何度口をすっぱくしてご飯ぐらいは作るよう言っても、母は聞く耳を持たなかった。そんな母に愛想がつきたのか、姉は高校を卒業してすぐ出て行った。父は私が一歳のときに肝炎でなくなったらしい。私と母、二人暮らし。母の代わりに家事をするも、全く追い付かない。家は所謂ゴミ屋敷だ。
私は汚いものが大嫌いだ。姉のように出ていけたらいいのだが、まだ高校生。そういうわけにはいかない。何か抜本的な改革をしなければならない。今日は三月二十九日、もうすぐ新学期だ。新学期ぐらい、すがすがしい気持ちで迎えたい。何か抜本的な改革を...。
血なまぐさい異臭が漂う洗面所。ハエが飛び交う。火曜サスペンスのような、猟奇的事件が起きたわけではない。ただの抜本的な改革だ。今日は四月一日、今日から新学期だ。すがすがしい気持ちで迎えれて、本当に良かった。
さて、もう母の物は全ていらなくなった。燃えるごみの日はいつだっけ?