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23 《千》


 車を止めるように言われ一分と経っていないだろうに、時間はとても長く感じられた。

 ジープから少し離れた先で、ワルツは愛飲するタバコに火をつけ、なにごとか杏ちゃんと話している。


『なかほど』と呼ばれる市の中央通りへと通ずる、小高い煙突山のトンネル。兎にも角にもアクセル全開で住宅街を抜けて、それを目前にした緩やかな上り坂で、俺はワルツに言われるがままようやくブレーキを踏んだ。

 山をくり抜いたトンネルの手前、跨道橋の中ほどでジープは停車している。通称、煙突山。このトンネルを抜けると、ちょうど市の中央、かつての精錬所跡へと辿り着く。傾き始めた陽光を突いて、そびえ立つ町のランドマークが山の後ろから顔を出していた。

 そこから『なかほど』と呼ばれる市街の中央へと抜け、大通りを進んだ先にあるのが北の小山。その小高い丘に立つ北中まではおよそ十キロといったところか。

 北中生とその家族はもれなく北中に避難しているはずだ。李子ちゃんや棗ちゃんのことを思えば、早急に送り届けたいところではあるが、正直だいぶ遠回りしてしまった。本来なら、ホールへと向かい南下してきた沿線を戻った方が近道だったが、今となっては仕方ない。


 ――だってしょうがないよね。間近で見た〝かせモン〟ったら、おっかなかったんだもん。


 途方もなく白くてでかいふわふわに、バランス悪く配置されてひとつしか見えなかった血よりも濃い真っ赤な目玉。そいつに追い立てられるようにアクセルをベタ踏みした結果が、つまりはこれである。


 諸々の事情に疲労困憊の俺ではあったが、運転席のシートに深くもたれつつも、紫煙を燻らすワルツから目が離せなかった。

 頭の中では、数分前にもう一人の俺、つまり生を共有し、かつ今までの俺に決別を強要させた、俺の〝死〟との会話が断片的に渦巻いていた、はずだった。

 その時は、ワルツに掛けられた声のおかげで我を取り戻せたこともあって感謝はしている。右左折の激しい住宅街を抜け、なだらかな道に差し掛かっていたとはいえ、告げられた衝撃に車の運転が疎かになったのは確かだったから。

 しかし今の俺は気もそぞろで、世界に終焉をもたらしかねない真実をひとまず消化するなんて到底出来そうにもなかった。

 俺ごときがどうにか出来る問題の範疇かなんてことは別として、真実が想像の範疇を超えていたのは確かだ。だから頭の整理が追いついていないというのももちろんある。だが、それよりなにより今や俺の懸念はひとつだけ。


 ――ひょっとして俺いまハブられてる?


 その一点だけだ。

 とはいえ、ねえねえワルツなに話してんの、なんて聞きに行くのは大人としてどうかと思うし、あれこれ頭の中で詮索するのもどうかと思う。こんなんじゃ小さい人間だと杏ちゃんに思われかねない。


 無理やりに大人の余裕に満ちた不敵な笑みを口元に繕っていたら、


「これから私たちどうしましょう?」

 

 ふいに繭ちゃん先生に声を掛けられた。


 後部座席に視線を移す。繭ちゃん先生も李子ちゃんもだいぶ落ち着きを取り戻していた。膝枕してもらっていた棗ちゃんも体を起こし、俺の返事を待っている。

 棗ちゃんの広めのおでこに負った怪我。血は止まったらしいが傷跡は残るかもしれないな――、そんなことがちらと頭をよぎったあとで、俺はわざとらしい程の咳払いをしてみせる。

 とはいえ、別にいいアイディアが浮かぶわけでもなく。

「ちょっとワルツと相談してくる」言って、運転席のドアを押し開いた。

 

 結果、杏ちゃんとワルツの話に割って入ることになるかもしれないが、これは仕方のないことだ。そう。仕方のないことだから仕方がないんだ。

 だから、ちょっと会話の断片が耳に入ってきたって、それは物のついでみたいなものだ。

 ああ、そうだ。物のついでというなら、物のついでに三年ぶりにタバコを吸ってみるのもいいかもしれない。こんな時に禁煙もあったものじゃないだろう。ワルツのナントカのライトとかいうタバコは、名前のくせに軽くないのがネックではあるが……。

 ひとり納得しつつ、俺は車外へと出る。と、同時の事だった――俺の眼前で星が光った。


 ――そういえば世界がこんなになったという今日の日に、俺はなんのかんので痛い思いもしていなかったな……。


 後方からの衝撃に、前のめりに吹っ飛んで、舗装もいまいちなコンクリートで擦過傷をこしらえながら、スローモーションで他人事のように感慨に耽った。

 それでも、この日ついに俺に降りかかった身の危険ではあったが、大した外傷はないらしい。ぶは、と息を大きく吸い込みながら膝をついた。

 ここで大いに痛がるのもなんなので、無言で膝の砂を払いながら立ち上がる。車内に、問題ないよと手を振ってみせた。

 そして俺は衝撃の正体へと振り返った。


 その瞬間だった――。


 大人の余裕に満ちた紳士的対応を心掛けていた俺の中で、何かが弾けた。胸に内に澱のように溜まっていた黒くてどろどろしたものが着火して、爆発した。

 俺は、道路に派手に転がったままのソイツの元まで詰め寄ると、胸倉を掴んだ。


 ソイツは――蜜唾憂思は、俺が口を開くより先に声を上げた。


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」


 百貨店の紙袋を抱えた蜜唾が念仏のように繰り返す。


 蜜唾はあの状況下、わが身可愛さに逃げ出した最低のヤツだった。棗ちゃんがもし助かっていなかったら――、それが俺の着火点となった。

 怒りに任せて拳を握りしめる。


 だが、殴れなかった。


 わが身可愛さに逃げ出すことがそんなに悪いことだろうか。

 いや、自分も逃げ出したじゃないか、あの町から――現実から。


 やり場のない怒りに、拳は握りしめたままで微動だに出来なかった。やがて蜜唾の胸倉を掴んだ左手から力が抜けた。


「あんたが……モンキー( 、 、 、 、)ポッド( 、 、 、)、あんたが悪いんだ。あんたが俺を巻き込んだりするから」


 呻くように蜜唾が言った。それは戦意を喪失した相手に畳みかける常套句にも似ていた。


 モンキーポッド――懐かしきその名を聞いた瞬間、曖昧模糊あいまいもこな記憶の中に俺は浸されていく。そして同時に吐き気を覚えた。

 確かに俺は巻き込んだ、お前たちを俺の手前勝手な理想に。でも、お前は、お前たちは、何にもならなかったじゃないか――それが俺の新たな着火点となり得るはずだった。

 しかしそうはならなかった。今はもう怒りはなかった。あるのはただの虚しさだけだった。

 

 そんな俺に向けて、蜜唾はなおも続けた。


「あんたのせいで、あんたに連れてこられて、ただの二回しか、それもボランティアらしいことなんてなんにも出来なかったのに。なのに、俺に、ありがとう、とか、また来てねなんておばちゃんが言ってくれたから……」


 俺は言葉がなかった。正直、蜜唾が何を言っているのかですら、解らなかった。


「……戯言ばっかで、馬鹿馬鹿しくって、あんたと別れたはずなのに……結局またこの町に……おばちゃんに会いに通ってる自分がいたよ……」

 




 俺が革命組織・『解放戦線』を立ち上げたのは、被災地のボランティア活動もとっくに落ち着いていた頃だった――。


 立ち上げたといえば聞こえは良いが、そのほとんどがサイトを通じての『革命』に対する意見交換、いわゆるチャットでのやり取りに費やされた。

 それも『革命』なんて時候の挨拶みたいなもんで、いつの間にやら連中お得意の武器やら兵器やらの話題にすげかわるのが関の山。全く持って興味もない武器兵器のレクチャーに、一人あたま自給千円の活動資金を払ってる身としちゃたまったものじゃない。

 それでも俺は根気強く付き合った方だと思う。犯罪者っぽい証明写真用に背景のボーダーラインを自作したり、「今度サバゲー行こうぜ」なんて言ってみれば、必死でルールを覚えてみたり……。

 機嫌取りを幾度となく積み重ね、ようやくにしてオフ会の名目で、明香里市へとやってくるまでにこぎつけたのだ。


 とはいえ、その頃には町中の瓦礫も概ね片付けられ、表面上昔と変わらない日常を取り戻していた明香里市である。いざやっては来たものの、特別な活動に関わる機会なんてそもそもないというのが現状だった。

 正直言えば、それは俺も理解していた。一段落付いたとはいえ、継続しての支援の必要性は明確。だからこそに、〝災禍〟後さらに進むであろう過疎化対策として、町の内外の人間が交流できる活動を確立し、そこから互いの立場を軸とした、真の意味での復興を目的とする様々なアイディアを出し合えるシステムを構築する。やがてその活動は、若者が町に留まる歯止めにもなるはずだ。

 それが解放戦線立ち上げに当たり、俺が密かに掲げたスローガンというヤツだった。だからその状況は、俺が想像していた通りでもあったのだ。


 田舎は田舎として、しかし開かれた町を創る戦士たらんことを――ゆえに『解放戦線』。


 だが、やはり素人考えがそう簡単にいくわけもない。取っ掛かりとなるはずのボランティアですら活動自体がないと言われ、ままならなかったのだ。

 一見して素人と分かる面を並べた俺たちならなおさらだったろう。煙突山を下った先にある、社会福祉協議会。対応に出た社協の担当職員は、終始苦い顔を浮かべるだけだった。


 そんなわけで、俺が抱いていたはずの大志はあえなく頓挫した……。


 だがしかし! 

 ここまで来て手ぶらで帰るわけにもいくまい。

 俺は、このまま帰るのもあれなんで、と戦線メンバーを説得して、被災の跡地を巡るバスツアーってヤツに参加することにした。

 観光半分の内容ではあったが、被災地にお金を落とすのも立派なボランティアだと無理やりに納得させた。そんな俺にメンバーが、そして蜜唾が返してよこした失笑は見て見ぬ振りをした。


〝災禍〟の爪跡を今も色濃く残す明香里市の南地区。

 破壊の限りを尽くされた工場跡や中学校舎。我のも我のもと聞いて保護しまくっているうちに、出来上がってしまったゴーストタウン。それが〝災禍〟の記憶を風化させまいとする配慮からの特定保護の指定を受けたものであったとしても、やはり俺の胸はしめつけられそうになった。


 記憶はやがて過去のものへとなりつつあったとして、あの時の感情を置いてくることなんて出来やしない……。


 そんな俺と、完全に空気の異なるメンバーたちは遺跡を巡る。

 地震や津波、自然の尋常ならざる脅威の名残を眼前に、感慨深げに「炭疽菌を充填させたクラスター弾だったら効率的」だの、「マスタードガスを使用すれば建物自体はもっときれいに残せる」だのとメンバー同士で問答を重ねる不謹慎なバスツアー。


 そのツアーの途中で出会ったのが、文化ホールのほど近くで『浜福はまふく』という中華そば屋を営むおばちゃんだった。

 浜福のおばちゃんは〝災禍〟で夫を亡くしたが、残った先代秘伝のスープを守り、今では一人で店を切り盛りしていた。そして休店日には〝災禍〟の爪跡が特に色濃く残る海沿いの南地区で、ミサンガ制作のお手伝いをしているとのことだった。。


 色とりどりの輪っか。それは出会いと別れ、だけどここに生きる自分たちと誰かとの繋がりを形にしたような……。優しくて、ささやかにすぎる思い出という名のお土産品。


 俺が話すと、おばちゃんはミサンガ作りへの参加を快諾してくれた。

 収穫と言わずしてなんと言おうか、失笑を買ったバスツアーはボランティア活動の糸口になったのだ。


 そんなわけで一週間後、俺は不平不満ばかりの戦線メンバーを無理やりに連れて、二度目の帰郷を果たすことになった。

 親切に教えてくれるおばちゃん以下、有志の面々の手ほどきで、夢中になって作ったミサンガだったがそれはなんとも不出来な仕上がりだった。それでも、初めてにしては、なんていうお世辞に気を良くしつつ、俺なりの第一歩にちょっとした達成感なんかを味わったりもしていた。

 おばちゃんの厚意でいただいた、縮れ麺にあっさりスープの絡む中華そばもうまかった。

 俺はおばちゃんに、次はもっと上手にミサンガを作るから、と約束して故郷を後にした。


 しかし三度目はなかった。

 馬鹿らしい、そう言ってメンバーが示し合わせたように離れていったからだ。

 時期尚早と、思い留まらせるためのメッセージ。連中好みの文言も無駄だった。


 レイン( 、 、 、)ツリー( 、 、 、)より入電( 、 、 、 、)革命の日は( 、 、 、 、 、)近い( 、 、)――。


 そして、解放戦線は消滅した。





 まだ先代が存命中の学生自分から浜福は俺のご贔屓で、帰郷の折には必ず食べに行っていたものだ。だが、そのことがあってからというもの、俺は長い間店に顔を出せずにいた。それは解放戦線での失敗を教訓に、ワルツを引っ張り込んでのわるはら開店から現在に至るまでも、だ。


 なのに、――蜜唾はその後も通っていた? 


 ふと見ると、色のレパートリーも豊富なミサンガが蜜唾の右腕を飾っていた。


「お前、浜福に……」呟くように口にすると、


「おばちゃんのご厚意で働かせてもらってる。住み込みで」


 斜め上の回答が返ってきた。


 そういえばあの日、メンバーの中で蜜唾だけが不細工ながらもミサンガを完成させていたような……。


 蜜唾がか細い声で続ける。


「俺は続けたかったんだ、ほんとは。だけど、あいつら……他の三人が下らないっていうから、俺も従わざるを得なかった。あいつら、本物のテロリストになるとか言い出しやがって、そっちのが付き合えるかって話だよ。だけどそんなこと言い出す連中に下手に逆らえないだろ」


 俺は、自身の中で整理をつけるように瞳を閉じる。瞼を揉みながら尋ねた。


「それで、おばちゃんは?」


「社協の方に避難したはずだよ。二人で逃げたんだけど、途中でおばちゃんがスープを取りに戻るって言い出して……」


 開いた瞳にそれが映る。


「お前が取りに戻ったのか?」


 蜜唾が大事そうに抱える紙袋の中、一升瓶に入った液体が揺れていた。


「だから、俺……」


「行けよ」俺は遮るように言った。もうそれ以上聞く必要もなかった。

 

 死んだように生きていた人間が、使命を持ち、それを果たしたいが為に死にたくないと願った。コイツが本当のところ変わったのかどうかなんて分からない。だが確実に心境の変化はあったのだ。

 蜜唾の両親は健在、と以前ふてくされた調子で聞かされたことがあった。急にその辺の話を問いただしたい衝動に駆られるのをすんでで留まる。そんなこと、どうでもいいことだった。少なくとも、蜜唾を取り巻く環境は変わったのだから。今はそれだけでいいと思った。


 だから俺は代わりの言葉を吐いた。


「行けよ。おばちゃんのとこに、早く行けよ」


 風化させちゃいけないことがある。人間ってのは、悲しいくらいに忘れる生き物だから。

 だけど忘れるから生きていけることだってある。それはきっと人間が、悲しいくらいに人間だからなのだろう。


 だからこそ、なんでもかんでも遺しゃいいってもんじゃなくて――想いは、想いとして。


 一人でも多くの人に現状を知ってもらいたくて始めたおばちゃんたちのミサンガ作り。

 だけど九年経ってその需要も減った。それでもおばちゃんたちはミサンガを作り続ける。

 おばちゃんは言った。やめたら負けのような気がするから、と。作り続けるのは誰のためでもない。結局は自分のためなのだ――、と。

 多分それがすべてだ。ただ人が人として生き続けていくということ。たとえ何かを忘れてしまっていっても、今を生きてさえいれば。きっと想いは繋げていけるはずだ。誰かと誰かが繋がってさえいられるのなら……。


 紙袋を抱えた蜜唾が、トンネルへと一目散に駆け出す。振り返りもしないその背を眺めながら、俺は苦笑を浮かべた。


 と。


「バーカ」


 ――何が? ふいに掛けられた声に反応する。


 いつの間にか、隣にワルツが立っていた。

 ワルツは普段と変わらぬポーカーフェイスで、インカムを握った手を俺へと伸ばす。


 俺はそれを受け取りながら言った。


「こんど浜福行こうぜ」


 ずっと避けてたくせに――、怪訝な顔のワルツに向けて、俺はにひと笑ってみせた。


 煙突山の麓から、俺は望んだ。

 空を。雲ひとつない紺碧の空を。


 二枚のプレパラートが形成される。空と海の青が混じる蒼色の中で、彼女を見つけた。目印には過ぎる『かせモン』の巨体、そのすぐ間近に。まあ、ヤツは生まれも育ちも、その存在すらも間違いなく『かせモン』だったわけだが。


 決定打も欠いたまま時間稼ぎに費やす銀の守護天使、彼女たちに守られるように佇む杏ちゃん。その彼女に急な変化が生じる。

 全身が漆黒に包まれたと思うや、小悪魔コスプレ風(夜専用)を身にまとい、ズタズタの長マントをはためかせていた。

 しかしてレオタードといった衣装その股ぐりの角度たるや、いろんな意味でのハイリスクっぷり。まるでレースクイーンなんかが着ている水着のような。〝ミスリル〟が着用しているのが大会でメダル量産の現代的な水着だとしたら、あくまで前時代的とでもいうような。


 さすがにそこまでは考えてなかったな――、と俺は花無仁知果のアグレッシブさと英断に平伏するばかりだ。

 インカムを装着すると、この国家的非常事態に置いて、いやだからこその敢えてなチャレンジャーの弾んだ声が聞こえてくる。


「……見えちゃってると思ってる地肌の部分も、実はその素材に覆われてるってわけー。フィギュアスケートの選手が着用してる肌色のストッキングみたいなものよー。でもこの素材のすごいところは着用者の地肌の色や肌の感触まで完全に再現する究極のカメレオン効果といっても過言じゃないわねー。すごいでしょー」


 すぐあとで、「最新科学技術の浪費だあ」真玄の絶叫がこだます。


 それにはきっと俺には想像もできない額が投入されているのだろう。前にワルツが言っていた――化学には金が掛かる、って。

 そしてそこに我らが血税が投入されていると思えば、なんだか釈然とはしない。


 だが――。


 ここに一本の現実という道があるとして、でもその見方は人それぞれ。きっと真玄という人間は、杏ちゃんには『まとも』な大人に見えるのだろう。

 ならば真実を知った俺も、真玄が杏ちゃんにとって『まとも』な大人であるという演出をしていかなければならないだろう。それが彼女の世界を守るということだ。


 胸糞の悪さに俺は辟易する。しかし自然と頬は緩んでいた。

 真玄への胸糞の悪さを覚えればこそ、俺の半身たる仁知果( 、 、 、)に振り回されて、右往左往するさまはほんの少しの慰め。それくらいは許されてもいいはずだ。


「……安心してっ、マジ天使ちゃん兵装(ラブテン・フォーム)装着に際してメイデンちゃんに収納された時に、全身の脱毛及び艶肌ケアも、エステ機能で完璧に仕上がってるわっ。足の先からそばかすほっぺまで、いろんな意味でつるっつるよー」


 おのれ仁知果め、俺は杏ちゃんの擁護をすべく内心で吠えた――それじゃまるで杏ちゃんが毛深い子みたいじゃないか。

 が、あくまで内心の話なので、仁知果は変わらず陽気にしゃべり続ける。


「夜を連想させるマントの名は月夜見つきよみ、と書いて通称、『ミッドナイト』。それはまさしく夜そのものといっても差し支えはないでしょー。完全な星のきらめきを再現するためナノサイズのLEDをあしらい、国立規模のプラネタリウムくらい完璧に夜空を再現していまーす。ちなみに月の出現設定はランダムにしてあるので超レアだよー。一見の価値ありだからー、お見逃しなくっ‼」


 再び、「最新科学技術の浪費だあ」真玄の絶叫がこだました。


「何はさてさてさておき、滅殺天使ちゃん兵装、ジェノテン・フォーム完了よっ!」


 相変わらずの弾けっぷりで仁知果が宣言した。彼女が拳を高々と掲げるさまが目に浮かぶようだ。


「ところで杏ちゃんポージングは」「今回はいいです」そんなやりとりをしり目に、再びタバコに火を点けたワルツへと俺は顔を向けた。


「李子ちゃんたちの避難頼むわ」


 立ち昇る紫煙をワルツは目で追ったままで訊いた。


「残るのか?」


 悩む必要もなかった――俺にはそれしかできないのだから。


「俺は最後まで見届けるよ」


 数口擦っただけのタバコを携帯灰皿に押し付けるワルツ。へこみ跡も生々しい、ヤスの自慢だったジープへと歩いていく。


「さてさてさてさてー、これが最後の説明になるからよく聞いてねーアプリちゃん」


 俺はただ空を眺めて、離れた空の杏ちゃんと共に、仁知果の言葉に耳を傾ける。


「これから最終決戦兵器、〝アメノムラクモノツルギ〟。通称A・M・Tを起動させるわー。それはメイデンちゃんに搭載された対消滅エネルギー炉を光速でテンパリングして発生したなんかもう名称不詳な超暗黒物質を瞬間的に放出させるということー。難しい話はナシにすると、超強力な攻撃力を使用できる代わりにー、メイデンちゃんに搭載されてる対消滅エネルギー炉がシャットダウンするまでの時間はジャスト一分、A・M・Tの発動も五発までが限界。時間と残弾数のあるうちに決着をつけてちょーだい」


 その声は変わらず弾むようだったが、やはりどこか神妙さが付きまとう。


 空気が張りつめていく。


 それでも杏ちゃんははっきりと言った。


「はい」


 それは遠くの空の出来事。しかし、俺には確かに見えた。つぶらで大きな杏ちゃんの瞳、そこに力強い意志が灯るのを。


「いいわね、一分よ。忘れないで」


 下がりつつP91の弾倉を空にする〝ミスリル〟たち。その後方で杏ちゃんの守護者たる、金色に輝くメイデンちゃんがその形状を変えていく。


 胴体部が四枚羽のように開くと、リールを巻く動きにも似た回転を始める。

 やがて顔と胴の比率が何ともバランス悪いメイデンちゃんが出来上がった。三分の一程にほっそりとした胴部、筒状のそれは内部の空洞を圧縮したゆえだろう。マスク部が西洋兜に収納されると、後部からは巨大な弾丸でも込められそうなシリンダーがせり上がる。シリンダーは胴だった部分にしっかりとはめ込まれた。

 四枚ばねは安全装置だとか細部だとかの造形を形成。胴体の下部から撃鉄が跳ね上がる。完成した形状は、先端に伸びる銃口が途中で切断されたような、シングルアクションと思しき回転弾倉式拳銃リボルバー

 西洋兜の名残はアタッチメントのように銃口の下部へ取りつくと、そこからは五本の爪が生えた。

 

 それが杏ちゃんの右腕に装着される。

 自分のからだより少し小さい程度のサイズで、バランス度外視のざっくり仕上げな黄金の義手。ざっくりしすぎて、遠目には昔の公園なんかにあった土管にしか見えない。

 そんなわけで杏ちゃんはといえば、土管の隙間に手を突っ込んだら抜けなくなっちゃった子みたいだ。それはどこかで見た姿――ああ、そうだ。杏ちゃんにあげた右手がロードローラー使用のガレキちゃんによく似ている。

 

 超科学技術の粋を結晶した、超アナログな最終決戦兵器を見据えた俺のすぐ近くで、


「杏ちゃんかわいそう」


 李子ちゃんが声を上げた。


 確かにこんなさまを親友に見守られる中で披露するのは、可哀想以外にはないはずだ……って、


「李子ちゃん!? どうして……」


 目を瞠る俺のすぐ隣には、不安げな下がり眉に、しかし力強い瞳で空を見上げる李子ちゃんがいた。


「柏木さん、可哀想なんかじゃないわ。あれこそは中学生の中学生たる由緒正しき姿。あなたたちの前には希望という名の未来が広がっているわ。そう、あなたたちは特別なのよ。……あなたたちは、魔法少女にだって人型汎用兵器のパイロットにだって成り得るのよ」


 李子ちゃんの隣で、繭ちゃん先生が独自の教育論を熱く語って聞かせた。


 教育熱心にすぎる彼女の代わりに、棗ちゃんが総意を要約してくれる。


「七草さんが負けちゃったら、どうせどこに逃げたって駄目なんでしょ。それに……」


 額の傷も生々しい棗ちゃんは、こんな時でも実に優等生らしかったが、なんだか最後らへんは歯切れ悪くごにょごにょと聞き取りづらい。

 でもなんとなくは解った。それが総意であり、また彼女も残ると決めた一人なのだから。その後に続く言葉なんて、彼女の杏ちゃんに対する気持ちなんて、想像に易い。器用に生きようとするその不器用さに俺はなんだか苦笑ってしまう。


 副流煙を気にしてか、少し離れて立つワルツが肩を竦めた。

 最後の時になるとしても。なるとするならなおさらに。ワルツは『軽めの希望(ホープ・ライト)』に火をつける。

 

 俺は誇らしかった。

 きっとそれは杏ちゃんの誇らしさのおこぼれみたいなもの。それでも俺は、みんなと共にここにいられることが誇らしかった。

 残り一分を切った世界が、世界のすべてになるとしても、俺はそのすべてを見届けようと、彼女のすべてを焼き付けようと誓った。


 そして、空を見上げる。


 この日初めて『かせモン』がその身を反転させた。巨体を宙で旋回するさまは、紺碧の空を切り裂くようだった。発生した風圧が、数キロ離れた煙突山の木々、その枝葉を揺らす。

 やがて旋回を終えると、巨体は身動き一つないまま宙で静止した。

 だが、ルビー色の丸っこい瞳は確実に捉えているはずだ。群青色の海、その上空に立つ杏ちゃんを。それはまさに、不格好な、それでいて人類の最終決戦兵器を自身の脅威と認めたような。杏ちゃんを自身の倒すべき敵と認めたような。

 まるで蟻と象との対峙。それでも杏ちゃんと、『かせモン』こと現人類の敵にして新しき人類の姿、〝マーズ〟はこの日初めて対峙する。俺には、それがお互いの存在性を証明しているようにも映った。


「こっからの戦略は至って単純(シンプル)、ツェリザカもそれ以外も全部捨てて、A・M・T一択(いったく)で敵をー殲滅する。エネルギー開放の動作(アクション)さえすれば、あとはヤタガラスが誘導回路みちをつくるわー。発動の条件はグーパンチ、その感覚を忘れないで」


 仁知果の声。

 応じるように杏ちゃんが跳んだ。小規模のシールドを踏板にして最大跳躍。


 イザナミの統制されたカウント。「〝マーズ〟との距離、約二十……十五」


 だが、詰める間も与えずに機先を制したのは〝マーズ〟。小動物めいた遠吠えをあげる。同時に竜巻が発生する。

 近づく暴威を眼前に捉えて、杏ちゃんの義手が固く握りしめられた。

 

 瞬間。


 撃鉄が叩き鳴らされる音と同時に、巨大な空薬莢が弾けた。そして、甲の部分から巨大な光が発生する。

 十字を模した金色の柱となって伸びたそれは、まさしく巨人の剣。


「引き裂いてっ‼」


 仁知果の声に導かれるように、杏ちゃんは義手ごと横なぎにする。一斉に離脱する〝ミスリル〟たち。


 圧倒的だった。竜巻は横一文字に切り裂かれる。


 その時にはすでに光の柱は消滅していた。宙で、バカみたいな砲弾サイズの空薬莢がくるくると回転しながら落下していく。

 空。金色の眩さの余韻。真白に染まったあとで、紺碧色が滲んでいく夏色の空にも似たような。


 永遠にも感じられたコンマ一秒の静寂、その中で。

 愛くるしいルビーの両目が瞬く。


 しかし、〝マーズ〟の巨体は真っ二つに切り裂かれていた。


 遠目には小さ目でも、実際には家の三、四軒も丸呑み出来そうな口に見る影は今やない。それごと巨体を両断された〝マーズ〟。文字通りの沈黙。

 紛れもなく現人類の最終決戦兵器が、地球を滅ぼそうとするゆるキャラを撃破したのだ――そう思ったのも束の間、


「まだ〝マーズ〟は活動を停止していないわっ」


 仁知果の声が飛ぶ。


〝マーズ〟は苦痛の表情すら見せずに、切り裂かれた上顎と下顎、そう呼ぶべきかどうかも分からない部分の修復を始める。

 創部がソーダ水の泡のようになって弾けた。弾けた泡はマシュマロみたいなふわっふわっの個体へと変化しては、マシュマロ同士で結合するように肉体を再形成していく。

 そのさまは、わたしお菓子でできていますから――、ってな三歳児のファンタジーを貫く愚直さで、ゆるキャラ道を地で行く感じ。そしてそれは全身に及んでいく。

 

 その光景を呆然と見つめる俺。

 追い討ちを掛けるように、イザナミが無慈悲なカウントを告げた。「A・M・T発動限界まで残り十五秒」


 けれども、仁知果は歌うように言った。


「でもでもでもー、見ぃーっけたっ♪ アプリちゃん、〝マーズ〟の正面、四時の部分に黒い塊が見えた?」


「はいっ」杏ちゃんの即答。


「あれこそが〝マーズ〟の〝聳え立つひとつの魂(モノリス)〟。あれさえ砕けば〝マーズ〟は完全に活動を停止する。残り十秒、行ける?」


「はいっ」返事を置き去りに杏ちゃんは跳んだ。次々とシールドを展開させては、踏み抜いていく。


月夜見ミッドナイトの自立防衛機能はーアプリちゃん以外のすべての物質を対消滅させるわ、突っ込んで!」


 すでに元通りの姿を取り戻した〝マーズ〟。その前面に赤い槍が次々と創り出されるや、放たれていく。


 だが、仁知果の助言通り、杏ちゃんは迷うことなく展開させたシールドの踏板の上を駆けていった。

 その中で翻る黒塗りのマント。迫りくる夥しい量の赤い脅威を、自らの敵と認識したかのように星空が膨れるや、四方八方へとほとばしる。まるで千手観音の舞踏、数多に伸びる黒の触椀が空をはしる。

 ズタズタの夜が舞い、赤錆た槍は漆黒に呑まれていく。


〝マーズ〟の全身を覆ったシールドの再生を食い止める、〝ミスリル〟たちの後方支援。その銃弾の雨の中を駆け抜けた杏ちゃんは、シールドの内側に飛び込んだ。

 それは杏ちゃんが巨大なもふもふを抱きしめるようにも、〝マーズ〟が小さな杏ちゃんのからだを受け止めるようにも見えた。


 重なる影。


 ゼロ距離。


 残り五秒――、機械的に告げられるカウントを掻き消すように、


「「いけー‼‼」」


 俺と仁知果の声が重なる。


 そして――。


 空には、十字に走る金色と静寂だけがあった。


〝マーズ〟の白い巨体は影すら残さず消え失せていた。

 パンパンに空気の詰まった風船が割れてしまったかのように。

 立体画像の電源を落としたかのように。

 まるで最初からそんなもの存在していなかったかのように。


 光の帯が失せた空に、黒曜石の色をした延べ板が佇んでいた。鈍く輝くそれは、棺のようにも見えた。

 それはやがて、対峙する杏ちゃんの眼前で亀裂を走らせると粉々に砕け散った。

 陽光を受けて、キラキラと星屑になって紺碧に溶けていく。空へと帰っていく。

 ひとつの魂が、ひとつの意志が、砕けた瞬間だった。


 陽光を背に、杏ちゃんは見届けるようにして立つ。


 その姿を見留ながら、俺は尻餅をついた。


「プラネテス測定値、オールグリーン。〝マーズ〟は完全に消滅。目前の脅威、その排除を確認」


 仁知果が言った。朗らかに、そして誇らしげに。

 

 気の抜けた俺の代わりに、棗ちゃんが歓声を上げた。

 教え子を見守る繭ちゃん先生は大きく頷き、李子ちゃんは喜びの涙に顔を滲ませる。照れくさくってワルツの顔は見られなかった。

 俺に言葉なんてなかった。彼女を、誇らしい彼女を見届けられたならそれだけで十分だった。


 彼女が果たしたこと――彼女には絶対に伝えられないこと。


 図らずも彼女が負った罪――俺たちが墓場までもっていくもの。


 俺の誇りが涙でぼやける。それでも視界は逸らさずに、下唇をそっと噛みしめた。


 と。


「A・M・Tが発動限界を迎えました。メイデンちゃんの全機能をシャットダウンします」


 イザナミが告げた。とはいえ、目の前の脅威は取り除かれたのだ。今さらの話だろう。さして気にもしないでいたら、


「残念。時間切れでーす、アプリちゃん。口約どおり罰ゲームが発動しちゃいまーす」


 仁知果が無念そうに言った。でもその裏で舌をペロリと出しているのは、言葉の端々から見てとれた。


「なので、滅殺天使ちゃん兵装(ジェノテン・フォーム)に施された特殊機能によりスーツは空気中の酸素と反応して液状化、のち蒸発してなくなりまーす。これはつまり最新鋭の技術を他国などに横取りさないよう、泣く泣くの処置なのでありますっ。堪忍ねー、アプリちゃん。堪忍ねー」


 言ったそばから杏ちゃんの全身に張り付いていた滅殺天使ちゃん兵装(ジェノテン・フォーム)のスーツが白い光と蒸気を上げながら消えていく。

 ごつい右腕は空中分解を起こしたみたいにバラバラになって、金色に輝くメイデンちゃんを再形成していった。

 まるで逆バージョンで変身ヒロイン物の変身シーンを見せられている心境。


「なぁ、仁知果。ほんとに必要なことなのか、これ」慌てふためく杏ちゃんを遠目に、俺は訊いた。


「機密漏洩防止なんて当ったり前じゃなーい。あんたスパイものの映画とかマンガ見たことないのー? だから一着数百万はかかるスーツとはいえ、致し方ないことなのよー、『おしおきだべぇモード』の発動は」


 ――今、映画とかマンガって言ったな。てか、そのコード名自体完全にお前の趣味だよな。


 インカムの奥で、「最新科学技術の浪費だあ」おなじみのように真玄の悲鳴がこだまする。

 真玄は喘鳴まじりに続けた。


「仁知果っ、ヒルコ内に充填されている対消滅エネルギーが三分の一を切ってるぞ! これは一体どういうことだ!?」


「ありり、おっかしいなー? 三発は撃てると思ったんだけどなー」


「……いや、お前確か装弾数は五発って言ってたろ」俺は辛うじてそう言った。


「だって三発装填のシリンダーじゃかっこ悪いじゃーん。リボルバーとしてダッメダメじゃーん。ってもー、思いのほか予想を下回って最大二発しか発動出来ないなんてあっぶねっ。相当にギリギリだったねー」


 仁知果は声を上げて笑った。


 杏ちゃんがすっぽんぽんになる手前で、元の形状へと戻りオート飛行していたメイデンちゃんが何か射出した。杏ちゃんのからだにくるまったそれは、紛れもないバスタオル地の物で、プールとかの着替えで使用するヤツだった。

 もはやメイデンちゃんの恩恵も失い、シールドの消えた空で重力に抗えず落下していく杏ちゃん。それでも裾の部分は必死に死守する。

 俺たちが声を上げるより早く、そんな彼女を宙でメイデンちゃんが受け止めた。

 

 俺は、ふと気がついて仁知果に尋ねる。


「なぁ仁知果、そもそもあのA・M・Tって滅殺天使ちゃん兵装(ジェノテン・フォーム)にならなきゃ使えない代物だったのか?」


「必殺技に演出はつきものでしょーが」まるでわかってないね、と仁知果は嘆息して、


「それにさー、タイムリミットに達してもマジ天使ちゃん兵装(ラブテン・フォーム)状態の衣装じゃ溶けないんだよっ。だってあっちはアタシの手作りだもーん。それじゃおしおきだべぇモードの発動が出来ないじゃーん」


 ――そっか、あくまでそれありきか。訊いた俺がバカだった。

 

 目も覚めるような青にオレンジ色が混じり始めた空のまにまに、バスタオル一丁でメイデンちゃんにまたがった杏ちゃん。それはまるで晒し者。


「杏ちゃんかわいそう」


 李子ちゃんがさめざめと言った。

 もう繭ちゃん先生もそのさまをして、中学生の由緒正しき姿とは言わなかった。


 仁知果が言った。


「大丈夫。自動帰還モードでチカエシまで帰れるくらいのエネルギー残量はあるから」


 朗らかに、誇らしげに。


 そして。


「うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………………………             」


 俺の誇りが西の空へと飛んでいった。

 


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