4話「乙女と惨状」
「ファ!?」
佳樹はこんな声しかでなかった。あの3位が、僕なんかと、とも思った。
しかしこのままだと押し負ける気がしたので、佳樹は賭けにでた。
「じゃあ、入部は僕に勝ったら、ということで。僕に勝てば僕のことは煮るなり焼くなり好きにしてください。ただし・・・」
「ただし、佳樹が勝ったら私を彼女にしてください」
と、佳樹の話の続きを、あっさり見破られてしまった。これには佳樹も狼狽する。
そして、望月は今日一の爆弾をかました。
「じゃあ、会場は私の家ね」
その言葉を聞いた後の授業は、まともに受けられなかった。まさか女の子の家に行けるとは。生涯独身まっしぐらの佳樹には想像もつかないことだ。
ただし、佳樹には危うさも感じていた。
ズバリ、女の子の部屋に入り、女の子の親にばれ強制退場。これは望月にも迷惑をかけてしまう可能性があった。それだけはなんとしても避けたい、と佳樹は思った。
そこまで考えて一つ聞き忘れたことを思い出した。
「あれ、日時聞いてなかった・・・」
放課後になったことだし勇気を振り絞って3年生の教室に向かおうとすると、
「やっほー」
爆弾仕掛け張本人が あらわれた!
「先輩、すでに一年教室でも噂になってますよ、あれ・・・」
「何のこと?」
自覚がなかったようだ。佳樹メンタルに20ダメージ!
それでも周りの目を心配しながら聞いてみた。
「先輩、そういや日時聞いてませんでしたよ、あれ」
「22時からにしよう」
なにいってんだ この クソアマ!
「先輩、真面目にお願いします」
「今日の22時。急行で名古屋まできて?」
「え?まじめにおねg」
「おねがいっ☆」
どうやら本気のようだった。
「わかりましたよ」
これには男の本能で折れるしかなかった。