2話「勝利と邂逅」
佳樹はそのなめられた感覚がとても気に入らなかった。「やあ夜死期君」、だと?何様のつもりだ。
しかし佳樹もそれを言い立てるほど子供ではなかったので普通に返した。
「よろしくお願いします、mustさん。僕は貴方、もといあなたのアバターを殺したくて仕方がなかったんです。さあ全力勝負でいきましょう。あなたのアバターの首を早くもぎたい」
佳樹はその文章を5秒で打つとすぐに返した。
そしてPCの画面にポップ体で「GAME START」という文字列が出現した。
彼のアバターは銃器を持っていた。おそらく遠距離型アバター「Gun Battler」だろう。
対する佳樹は近接型の「Killer」だ。そして基本近接型は間合いが取れたスタート地点に弱い。佳樹は近づくためダッシュ攻撃をした。
しかし相手の銃から小さな玉が轟音とともに飛び出した。
その瞬間佳樹のアバターの動きが止まり、ダメージを負う。しかし佳樹はひるまなかった。佳樹はもう一度ダッシュ攻撃をした。
今度はクリティカルヒット。うまくいった。そこからの連撃が近接型の見せ所だ。どんどん相手のHPゲージが削れていく。
もう相手には一割しか体力が残っていなかった。チャンスだ。佳樹はかまわず連撃した。
しかしその後佳樹のアバターに巨大な閃光が襲った。
これはGun Battlerの必殺技「Bright Gun」。閃光を纏う銃弾で敵を貫き大ダメージの上に行動不能にする強力な技だ。
しかし佳樹はこの時点で勝ったと思った。なぜならさっきの攻撃でもう必殺技ゲージである「GROWUPゲージ」がマックスになっていたのだ。
佳樹は狙って必殺技を使った。
その技「murder」はしっかりmustのアバターにあたりmustを倒した。
「murder」はあたると確実に倒すkillerの必殺技だ。ちなみにmurderとは殺人と言う意味。殺し屋佳樹にはぴったりだった。
佳樹は、試合に勝ったのだ。これで一人首がもげた。
その後mustからチャットが届いた。
「いい対戦ありがとうね。君とても気に入ったよ。で、君の戦力テストの結果だったんだけど、まあ大体95点ぐらいかなぁ。これをエクセレントと言わないやつはいないだろうからがんばりたまえよ。ま、僕には5点及ばなかったけどね」
佳樹はやっぱりなめられていた。こんなのイライラする。でも、それの発散先がいない。佳樹には友達がいないのだ。
そんなさびしいまま学校に向かった。
すると佳樹に声をかけてくる少女が一人。
「あの、私千代崎優子といいます。GROWUPランク四位の佐田佳樹さんで合ってますか…?」