アイリス教導官
フェリオの彼女のアイリスの登場です。
イリア邸〜アルフレッド&フェリオの部屋〜
アルフレッドSide
ジリジリと目覚まし時計鳴り響く、ああっ! 五月蝿いーっ、僕は低血圧何だよっ、朝に物凄く弱いんだよっ、だから静かにねたいんだよっ!!
布団を頭に深く被る、今日は訓練や勉強や早朝マラソンは無い……仮に有っても絶対に起きないっ。
「アルフレッド君、朝だぞ、布団で芋虫をしてるとは……起きろーっ!」
フェリオさんが僕を起こしに来る、だが僕は眠いから絶対に起きないっ。
勢いよく布団を剥ぎ取るフェリオさん……同い年なら今頃『君表出な!!』だね。
でも相手は自由騎士団屈指の魔獣騎士だ、フッ……今の僕が本気でも勝てないな……起きるか、眠いけど。
「さあ、マラソンだっ、アルフレッド君〜♪」
「やたらに、嬉しいそうですね? フェリオさん。」
何時も早朝マラソンの後食事をして、訓練所に向かう、今日はフェリオさんの恋人のアイリス教導官が僕の対戦者だ。
入口にそれらしい人が立っていた、銀色の長い髪と狐の尻尾に耳がトレードマークだ、彼女と目が合う。
「フェリオ、そしてアルフレッド君二人とも遅いよ。」
腰に手を当てお叱りモード全開のアイリス教導官ちらっとフェリオさんを見ると、緊張している。
「アイリス……ごめん業とじゃあ−−」
「シャラップ!」(黙りなさい)
思わずビクッとなる、声の勢いなら、フェリオさんよりも迫力がある。
「フェリオ君は、カルシウム不足ね? 小魚や骨付き鶏肉を沢山食べなさい!」
「いや……毎日牛乳や魚はちゃんと食べてるぞ。」
「ぷっ。」
笑いかけて、アイリスさんの鋭い視線に気づき、慌てて姿勢を正す。
「アルフッレド君も人の事は笑えませんよ。」
「は、はいっ!」
まるでどっかの暗殺者みたいな目付きに、思わず身が硬くなる、全く隙が無い。
「じゃあ、トレーニングを始めましょ♪」
修練場に案内された、前回とは違い、今回は広い場所だ、アイリスさんはフェリオさんが銀色の魔獣になった感じだ、フェリオさんも既に魔獣になっている。
二人の気配が消える、僕も自分の気配を押し殺す……耳を澄まし全神経を集中させる。
不意に殺気を感じその場を飛びのく、フェリオさんが遮蔽物の真上から飛び降りて来た。
「ツ……危なかった。」
「やるな、アルフレッド」
激しい攻撃を互いに打ち出す、突然凄まじい魔力を感じ取りその場を転がるように逃げる。
<へ〜え、やるわねアルフレッド君>
魔弾で500メートル離れた所から、文字通り【狙撃】して来たアイリスさん。
「二人して、大人気ないですよ。」
「姉さんの変わりさ……。」
「フェリオ!」
「?」
アイリスさんがフェリオさんを咎める、しかしフェリオさんは構わず話を続ける。
「姉さんは、君のお父さんとの戦いで、力を失ったんだ……もう昔みたいに戦えない。」
「!?」
それでイリアさんにあんなに叱っていたのか。
なら何故イリアさんは無理をするのだろうか?
「その後しばらくしてから、リデェアが産まれた、その時に姉さんの【力】をリデェアが吸収したんだ。」
「……。」
「フェリオ……。」
重々しい空気がその場を支配する……僕は何も言えないまま、修練場を後にした。
※※※
フェリオSide
「リデェアちゃんの事で?」
「八つ当たりかい? 違うよ、アルフレッド君が、がっかりすから、話しただけさ。」
そう、アルフレッドの瞳は、かって僕が姉さんに抱いた憧れの眼差しだ、アルゼリスさんが彼に聞かせたんだろ、ライバルがどれ程、強かったかのかそして、その勝負がどれほど愉しかったかを両親のいない僕には羨ましい限りだ。
※※※
アルフレッドSide
リデェア……全くどうかしてる! 余りの苛立ちで壁を叩き殴る。
「……だからって。」
「五月蝿い!」
「ひっ」
何か騒がしいな、取り敢えず行ってみるか、場合よっては悪いけど喧嘩が出来そうだな。
「たっく、リデェアとリーザか? アテが外れたな。」
「アルフレッド君!」
「アテがハズレてどう言う意味?」
控えめに尋ねるリデェアと僕まで警戒するリーザ、彼女達を囲んで居るのは、雑魚だな?
「何だよ、お前!!」
リーダー格がキャンキャン吠える……さて、どう片付けようか?
「余り人気の無い場所で、少し話そうか?」
「アルフレッド君!」
「親の七光りは黙ってろ!」
「ひっ……っ」
リデェアから何時もの元気な勢いが無い、もしかしたら……コイツ等か原因は?
「場所変えよ♪ 君達♪」
満面の笑顔でグループのリーダー格に話し掛ける。
「喧嘩は止めなさい、二人とも!!」
その時、第三者の声が通路に響き渡る。
「リーザちゃんの言う通りやで、さっさと散らんかい!」
現れたのは赤毛の女の子と男の子多分兄弟だな、弟がリデェアとリーザを下がらせる。
「そこの君、名前は? あっ、うちはエクリアや。」
「アルフレッドだ、好きな様に呼べ。」
無論下がるつもりは全くこれぽっちも無い、こんな連中にリデェアをやる訳に行かない。
(リデェアがイリアさんの力を制御出来るとは思えない。)
なら、僕が制御の仕方を教えるまでさ、その後で彼女と戦うのも悪く無いな。
「行くぞ、ついて来い。」
リーダー格と僕は踵を返してある場所に向かう、ついて来るのはエクリアとリーザに弟にリデェアまで、君達、後の言い訳考えてる?
※※※
施設の裏〜
アルフレッドSide
さて人数は……10人か、途中で何人かついて来たんだ、中には初日にガンくれた奴も居る。
「さて、始めよか?」
「リーダー格は僕が倒してしまっても構わないよね?」
あまり敵を増やしたく無かったので、エクリアと共闘する事にした。
「行くぞお前等っ」
「「オーーッ!!」」
元気なのは良いんだけどまずは実力を底上げて来なよ。
二人で軽くあしらう、エクリアは体術が得意みたいだ、特に蹴り技のキレが凄い、こちらも負けてられないサマーソルトキックを繰り出し、着地した後相手をかわして足払いに肘打ち等だ。
しかし愉しい(?)喧嘩祭も永くは続か無かった。
「誰が、こんな所で喧嘩祭しろって、言ったんや!!」
突然の怒鳴り声に振り返ると、エクリアにそっくりの女性が立っていた。
「あちゃー、おかん来てしもたっ。」
おかん? お母さんの事か、うんそっくりだ。
「エクリア……誰が、喧嘩せぇと言ったんや?」
「まっ、待って下さい、エレノアさん。」
エレノアと呼ばれた女性の言葉を遮り、リデェアが必死に説明する。
「此処やったら、埒外がアカン……全員来てもらおか?」
「はい、分かりました。」
「異存はありません。」
「……。」
(マコト、何でおかんに……知らせたん?)
(血の雨の回避。)
なるほど、エレノアさんが早く来たのは、マコトの機転か、油断出来ないな。
※※※
リデェアSide
皆揃って、エレノアとお母さんとフェリオ兄さんの三人に叱られました。
アルフレッド君はボクの事を庇ってくれたけど。
「そいつ等が、リデェア達に絡んで来たんだ。」
「だからって−−」
「もう、いいよ!!」
ボクは耐え切れずにその場を飛び出した。
※※※
アルフレッドSide
「彼女は悪くないんだ、そいつ等が、ちょっかいを出したんだ。」
「……。」
全く……リデェアを馬鹿にする前に、自分達の実力を理解しろ【井の中の蛙大海を知らず】だ。
「こいつ等の処分はともかく僕の処分は?」
騎士団からの追放なら、正直リデェアを旅に誘ってみるか? 彼女なら……て、どうかしてるぞ 僕は。
「アルフレッド君、君の処分は、一週間反省房入りと、そして。」
「掃除やね♪」
フェリオさんとエレノアさんが静かに告げる。
「分かりました、リデェアは?」
「リデェアの処罰は、不問ね」
そうか……良かった。
(何故、リデェアの事を心配してるんだ、僕は?)
もやもやした気持ちのまま執務室を後にした。
※※※
リデェアSide
アルフレッド君やリーザちゃん達の居る所で泣けない、私はお母さんの【力】を生まれる時に私が奪たんだ。
「私なんか……。」
「その先は言わない事。」
振り返るとアイリスさんが後ろに立っていた。
「アイリス……お…姉さん。」
不意にアイリスさんが私を抱きしめる。
「そうね、リデェア……イリア(お母さん)の代わりだけど、今は思いっきり泣いて良いよ。」
「うっ、うぁ〜〜ん!!」
私は堪え切れずに大泣きした……アイリスさん、暖かくて、お母さんみたいだった……ひとしきり泣きじゃくった後、アイリスさんが私に話しかける。
「さぁ、皆心配してるよ。」
「は……い……。」
やっぱり私は泣き虫だ……ごしごしと目を拭う、さあ、皆に謝りに行こう。
この後、皆にちゃんと謝った、アルフレッド君は一週間後、反省房から出て来た。
「あ、アルフレッド君///」
「///リデェア、ちょっと来い。」
アルフレッド君が私に手招きする、一体何だろ……?
彼が私の耳元で囁く。
「……全部一人で背負うな///」
「えっ?」
「じゃあな、後、僕とエクリアとマコトにリーザ、最後に君まで執務室に来いだって」
※※※
アルフレッドSide
執務室に入ると、何故かニコニコ顔のイリアさんと、笑いを堪えるフェリオさんにポーカーフェース決め込むエレノアさんが居た。
??? 何だ、この空気……誰か説明してくれ。
「アルフレッド君一週間反省房入りお疲れ様でした。」
「はい……。」
「所で今度、新たに新部隊を結成する事が決まった。」
なるほど……そう言う事か。
「お断り致します。」
「まだ何も言って無いが? アルフレッド君?」
どうせ、リデェア達を頼むとか、隊長にはリデェアを当てるとかだろう?
「断る前に話しを聞きなさい。」
「コホン、さて説明するでまず、リデェアが隊長や無いアルフレッド、君がリーダーや副隊長はマコトや……リデェアはそそっかしいから、まず副隊長は向いとらん、エクリアは血の気が多過ぎや、だから君が隊長や。」
「なるほど、で何で僕何ですか?」
「以前、空中海賊とやりおうたやろ?」
また、数ヶ月前の出来事を、皆さん侮れませんね?
「あん時、アンタ、アイツ等とやり合った……違うか?」
「はい、その通りです。」
「海賊ソフィアに、君も狙われとる、おもいっきしな。」
ソフィア、あの裏切り者か? 迷惑だな。
「それで、君を保護すると言えば反発する、だからといって。」
放り出す訳には行かない、つくづく厄介だな結局、向こうとやり合う事に為るなら、味方が多い方が僕の為だと押し切られた。
次回頑張ります。