シリウス対アルフレッド
一部描写の真似は大変危険なので真似をしないで下さい。
アルフレッドSide
今日は少し機嫌が悪い、理由は、シリウスさんだ、早朝いきなり僕の部屋にあろうことか爆竹と放り投げて起こして来た、目茶苦茶な女性だな、勿論全力で抗議したよ!
『いきなり人の部屋に爆竹なんて、危ないじゃ無いですか!!』
彼女の返答は一言。
『ゴメン、ゴメン、あまり良い寝顔だったから、ムカついて、したんだよ後、良い子は真似しないでね、大変危険だからね〜♪』
だ……そうだ……まあ、昨日会った時こんな事も言っていたな。
『アルゼリアスの奴〜こんな、鍛えがいの有る子にアタシの事を、全然教えて無い何て許さないよっ! まあ、アタシが鍛え直せば良いしね〜♪』
何なんだろ……この人? 父さん……やっぱり貴方は色んな意味で最悪です。
と初めて父親を純粋に恨んだね……昨日は、さて、気を取り直しシリウスさんが待つ訓練所に向かう。
※※※
フェリオSide
訓練所に僕を始め、ほとんどのメンバーが集まった、リデェアがかなり不安そうだ……アルフレッド君は何気に女運は無いんだね。
「はぁ……報われないな…。…」
思わず一言がでるとアイリスと目が合った、彼女も同じ事を考えていたらしい。
「フェリオより、アルフレッド君の方が災難だわ。」
「……。」
……どうせ、僕なんか女の子に持て無いよーーだっ! 後で泣いてやるーーっ。
「すみません、遅刻しました。」
「遅いぞっ、朝寝坊まで、親子だねっ、君はっ。」
初めて知った、父さんも朝に弱かったんだ。
「あ、あの……僕、貴女に恨みでも有りました?」
ふふふっ、と不敵に笑うシリウスさん、皆がいなければ迷わず逃げている。
「いや、むしろ君のお父さんのアルゼリアスに恨みや怒りはあるね〜。」
「シリウスさん、いくらでも……。」
「フェリオ、アンタの気持ちも十分解るしかし、坊やの甘さは此処でアタシが潰す!」
しーーんと周りが静寂に包まれ、誰も口をつぐむ、静まり返ってからシリウスさんが口を開く。
「さて、まずはアルフレッド、君の本気の実力をアタシに見せて貰うとするか」
と言って、訓練所の山に向かって僕達は移動した。
※※※
アルフレッドSide
何なんだょっ、このトラップの数は、はっきり言ってほとんど目茶苦茶だ。
山のてっぺんを見上げて、シリウスさんは僕にルールを説明する。
「まず、正面の浮遊砲台や感電トラップを突破したら、次に空からの攻撃が君を襲う町跡を過ぎたら今度はアタシの狙撃が始まる、勿論弾はペイント弾だからまず死ぬ事は無いね〜♪」
死ぬ事は無いね……ってまるっきし、体力挑戦バラエティーじゃんっ、しかもルールは僕一人であの山まで行けっ、だよ。
《坊や、準備は良いかい?》
「……行きます、絶対山頂まで上りますからねっ。」
さあ、楽しいサバイバルの始まりだよ。
※※※
シリウスSide
ふふふっ、ヤル気になった少年は、良いね〜♪アタシもシゴキがいが有りそうな気になって来た。
《シリウスさん、アルフレッド君を挑発し過ぎですよ!》
イリアが無線機越しに文句を言っている、あまりイリアを心配させるのも可哀相だし、なによりリデェアに大泣きされたら、フェリオが怒るから本題に入る事にした。
「アルフレッドの坊やは、親父さんを無理に超える事と隊長としての責任の板挟みになってる、だから思い切って、ぜ・っ・た・い・に勝てない相手がいる事を教える事にしたんだよ、アンタの旦那がさ……。」
《あ、アルトが!?》
だから半分嫌だったんだ、後で必ずイリア夫婦の喧嘩が起きる、しかもフェリオ・リデェアの事だ、リデェアが大激怒でフェリオがオロオロする、いくら兄貴風を吹かせても本気のリデェアには敵わない。
「イリア、喧嘩なら……。」
《ええ……控え目にするわ、必ずね〜♪》
チッ……もう、お怒りモードかよ、さて、視点を戻すと流石はアルゼリアスの息子だね? もうトラップ地帯を突破して町跡を突破し始めに掛かる、さて……。
「ぽっちとな……なんてね。」
隠しトラップのスイッチを全て作動させた、すると町跡は直ぐにトラップ地獄に変わる。
しかし、アルフレッドはそのトラップ地獄を飛んで、此処までやって来る、ルールでは山頂まで上り上がれだけど、空を飛ぶなとは一言も言っていない、さあ、アタシの狙撃の腕……味わって貰おうか? アルフレッド。
※※※
アルフレッドSide
山頂から光が見えた、マズイ素早く回避に移る町跡のトラップ地獄は正直実戦だったら、迷わずあの世行きだった。
「それにしても、シリウスさんの狙撃はかなり凄い、僕もかなりのスピードで飛ばしてるのに正確に狙って来る。」
また、ペイント弾が掠めそうになった、かなりきわどい勝負だ。
彼女の姿が見えて来たと思っていたら、何と彼女も空を飛んだしかも槍みたいな大剣をもっている。
「さあ、アンタの本気見せて貰うとするか!」
「望む所です! シリウスさん。」
そう言って、空中戦を開始した、かなりのつわものだな……彼女は。
「アルフレッド、君はアタシには今は勝てない、絶対にだっ!」
激しい戦いになって、かなり体力を互い消耗しているのに、向こうは息一つ切らせていない、そして鍔ぜり合いの中シリウスさんが一言呟く。
「君は少し急ぎ足だね? 頭と心を冷やしてやるよ……。」
「……!!」
僕が、急ぎ足だって? 彼女の片腕に魔力が収束していく、回避は不可能だ。
「零距離ブラストーーっ!」
「うぁーーっ!!」
覚えていたのは、僕が吹き飛ばされた事と、リデェアの悲鳴や地面に墜ちる事だけだった。
※※※
リデェアSide
「アルフレッド君ーーっ。」
「あっ、リデェア!?」
リーザちゃんがボクを止めようとするが、構わずアルフレッド君の元に駆け寄る、倒れて動かない彼の胸に耳を当てる……心臓はちゃんと動いている……良かった……本当に良かった。
「うっ、うぁ〜〜ん。」
彼の胸に顔を埋めて、辺り構わず泣きじゃくった。
「あちゃー、アタシはしばらく嫌われ者か……。」
「シリウスさんっ、後でアルフレッド君に謝って下さいっ!」
皆がびっくりとなる、本気でボクは怒っているからだ。
「……ああ、ちゃんと彼に謝るよ、だけど、彼の欠点も教えてからね。」
シリウスさんは逸れだけ言うと、じゃあ後はよろしくと言って訓練所を後にした。
※※※
アルフレッドSide
此処は何処だろう? 全身の感覚が淀んでいる……まるで二日酔いだ。
『アルフレッド、もう少しで私から一本取れたな?』
と、父さん……だ、逸れに子供の頃の僕も居る。
『ちぇっ、今度は僕が父さんを倒して見せるよ!』
そうだ、これは父さんと僕の最初で最後の剣の稽古となった日だ、この日をさかいに父さんは二度と剣を持てなくなった持病が悪化していったんだった。
子供の僕が部屋を飛び出して行く、部屋に残されたのは、父さんと僕だけ、父さんと目が合った顔は笑っていた、久しぶりの笑顔だった父さんの名前を呼ぼうとして目が覚める。
「此処は? 医務室?」
「気がついたねさっきは、少しやり過ぎたから、ゴメン。」
シリウスさんの声が聞こえた。
「シリウスさん……?」
「なんだい?」
はっきりと、この人から聞かないと僕は前に踏み出せない。
「僕は、強く為れますか?」
シリウスさんは僕を見て一言だけ。
「当然さ、何しろアタシが唯一勝てなかった男の息子だからね。」
次回頑張ります。