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(第8話 自分を信じろ!)

(野山の仕組んだ慎吾からのメールですっかり機嫌がいい軽井沢。)


(機嫌のいい軽井沢が恐ろしいネコナデ声でマッチに話かける。)



軽井沢「マッチ~、ちゃんと勉強してきたぁ?簿記3級っていってもナメテたら足元すくわれるでぇ~。」



マッチ「(お前が勉強の邪魔したんだろうがぁこのクソイノシシがぁ!)」


(マッチ心の中で鉛筆の束を叩き折りながら叫ぶ。)



マッチ「だよね・・(汗)・・ハハ。」


(現実のマッチ必至に愛想笑いしながら言う。)



野山「マッチ朝五時まで勉強してたんだって今日。」



畠山「おっ、やる気満々じゃん!」


(簿記が得意の畠山少しマッチに感心する)



マッチ「そかな。(ただ寝れなかっただけだけどね。あのイボイノシシのせいで・・・(汗)。)」



マッチ「でも朝までやってたらなんか少し風邪引いたのかなあ。なんか鼻水がさ・・止まんなくて。」



畠山「テストの日に鼻水止まんないって最悪だよ。」



マッチ「そうなんだよね。」



野山「なんかの伝染病かもしれないよ。昨日汚い沼とか入らなかった?」



畠山「軍隊とか野戦の類の話は今日はやめろ!テストに集中したい。」



野山「イエッサー!!」


(野山畠山に敬礼する。)


畠山「あんた言った意味わかってる?・・・・」


(畠山が野山をにらむ。)




マッチ「まあまあ。穏便に行こうよ。ね。今日はテストなんだし。」



軽井沢「そうやで畠山~。みんな仲良く仲良く。ねっ。」


(軽井沢がウインクする。)



畠山「(・・あなたが調和を語らないでほしいよ・・。)」



マッチ「(きっもっ・・・。)」


(マッチ身震いする。)




野山「あれ、マッチ寒いの?」



マッチ「え?そういうわけじゃ・・あーでもやっぱ風邪ひいたのかな~(汗)鼻水もやっぱ止まんないし(汗)」



軽井沢「マッチ、じゃあこれ飲んでみ。」


(軽井沢自分のバックから何かのカプセルの入った小瓶を取り出す。)


畠山「薬?」


軽井沢「そや。『鼻水トメール』やで。市販薬やけどメッチャよく効くで。」


(軽井沢カプセルをみんなに見せる。)


マッチ「(なんだその明らかに怪しいネーミングは・・)」


野山「へー初めて見た~。」




軽井沢「ほらマッチ、これお飲み。」


(軽井沢笑顔でマッチに勧める。)



( ここからマッチの思考の中。)


マッチ「(え!?薬?軽井沢さんが笑顔で薬を勧めるなんて気持ち悪いよ・・。まだ野山のラブ爆弾の効力が続いているのだろうけど信用できないオレがいるんだ。だってテスト当日にあの魔界の猛獣軽井沢が笑顔で勧めてくる薬っていったら・・。漫画だったら絶対下剤だよ・・。下剤を飲んでテスト中のたうち回って苦しむオレを見て楽しむつもりなのでは・・(汗)。実はこの日のためにメチャクチャ強力なやつをネットで仕入れたってことも考えられる。いや今日のために特別に仕入れたのではなくあのイボイノシシが便秘を解消するためにいつも使ってる下剤だったとしてもあの巨体にたまりにたまったものを出すための下剤だ。超強力なものに決まっている。ああなんて恐ろしい。よくドラマで『さあ友好の証に』とか言われて注がれた酒を飲むとそれが毒酒で死んでしまうってパターンを思い出したよ。オレもそのパターンの人になってしまうぞこのままでは!。)」


マッチ「(しかし問題はどうやって断るかだよな。一応せっかくの軽井沢さんの好意なのにそれをムゲに断ったらどんな逆恨みをされるか・・考えただけでも恐ろしい・・。どうやって断ろう・・どうやって断ろう・・一体どうやって断ろう・・あ、そうだ。野山に味見してもらうとか・・いやいやさすがにそれは人の道から・・うわ~思いつかん~!!)」



(マッチの妄想終わり)






軽井沢「アタシもちょっと鼻水出るから飲んどくわ。ちょっと鼻弱いんよ。」



畠山「そういえばそう言ってたね。軽井沢さん。」



軽井沢「そう。だからいつもこの薬持ち歩いてんの。」


(軽井沢持っていたジュースでカプセルを飲む)



マッチ「(そうだったのか~。てっきり下剤かと思ったよ(汗)。軽井沢さんが自分でカプセルを飲んだことからも毒物ではないのは確かだ。ホントに鼻水を止める薬みたいだね。いつもの癖とはいえちょっと軽井沢さんを疑った自分が恥ずかしいよ。ごめんなさい・・。危うくオレまで心が怪物になるとこだったよ。それに市販薬って言ってたし大丈夫だよね。気にしすぎだなオレ。)」




マッチ「ありがとう軽井沢さん。」


(マッチがカプセルを受け取りお茶でそれを飲む。)



野山「いいな~。オレもほしいなあ。」


畠山「あんたねえ、なんでもない時に薬飲むもんじゃないよ。」


野山「だね!。」


畠山「あんた・・考えて発言してる?」




野山「あ、それよりタッキーがいるよ!タッキーもこの会場だったんだね。」



マッチ「ホントだ。」


(5メール先の人ゴミにまぎれるタッキーを発見する。)



畠山「相変わらずキューピーとオタクがコラボした様な存在だね・・しかし彼はまた一段と太ったんじゃないか?。23歳にしておっさんの腹だねありゃ・・。」



野山「おーいタッキ~!!」


(野山が大きな声で呼ぶ)


(タッキーが野山に気付く)


(・・が無視。)※本人は聞こえないフリをしてるつもり。



野山「あのオタクデブが~!自衛隊の配給飯にしてやろうか~!!」


(野山がデーモン小暮風にキレる)




軽井沢「おーいタッキーィ。おいでぇ~。」


(軽井沢が優しく呼ぶ。)


(タッキーしぶしぶこちらへ歩いてくる。)



畠山「(彼も危機管理の優先順位だけは分かってるみたいね・・生き物として・・。)」



マッチ「(やっぱあんたって恐ろしいよ・・軽井沢さん・・。)」



軽井沢「タッキーちゃんと勉強した?」


(軽井沢がタッキーに優しく語りかける。しかし下等生物を観察してます感は隠せない。)



タッキー「いやぁ~簿記3級くらいでそんなに勉強しませんよ。」


(タッキーいつものきもい口調で言う。)


マッチ「!!(なんでそんなこと言うの~あんた自分の立ち位置わかってないだろやっぱ~!!)」


畠山「!!(もめごとは今日はやめて~)」





マッチ「(そうだ思い出したよ。前もそうだったよたしか。そんな感じだった!!。)」



(ここからマッチの回想記憶。ショックン入学直後の4月。ある日の昼休みの教室。教室の後ろの方で野山・畠山・マッチ・軽井沢の4人が話している。)



野山「じゃあ今日は天気いいから校庭でドッチボールしようか!」



マッチ「野山ホント好きだね。そういうの。」


畠山「まあいいけど。」


軽井沢「じゃあタッキーも誘ってみよ。だってタッキーってキューピーさんみたいでかわいいし。お友達になりたいわぁ。」


(ちなみにこの時も軽井沢は機嫌が良かった。)



マッチ「(かわいいって・・まあ表現の自由はあるけどたいていの人はデブで色白の23歳と表すと思うけど・・。)」



野山「おっ、いいね~。誘おう誘おう!」



(教室の自分の机に座っているタッキーの元へ軽井沢一人で歩いていく。)



軽井沢「ねえタッキー。今日はお天気もいいし外で運動しない?いつも机に座ってばかりだとブクブクになっちゃうよぉ。ダイエットのためにもさあ!。」


タッキー「・・・・。」


タッキー「ふんっ、あなたに言われたくないですよ。」



マッチ「!!」


畠山「!!」


野山「!!」



軽井沢「!!!!!!!!」



(マッチの回想記憶終わり)



マッチ「(そうだった~。あのタッキーのセリフ俺たちは聞こえないフリしたけどもしあの場にいたら何て言っていいかわかんなかったよ。ホント。タッキーは自分の事は棚に上げて人を見下した発言をするんだよなあ。まあ軽井沢さんと似てるって言えば似てるけど。それにタッキーの発言もある意味大正解なんだけどね(汗)。でもそんなことあの軽井沢さんに言ってタダで済むはずがないのをタッキーは分かっていなかったんだ。あの時は・・。)」



マッチ「(うわ~!テスト前に問題おこさないでくれよ~ホント~)」


(マッチ心の中で心底それを願う。)


畠山「まあまあまあまあ!。じゃあタッキー結構自信ありってことねっ!。お互い頑張ろう!頑張ろう!ね!みんな頑張ろう(汗)!。」


(雰囲気を読んだ畠山が話を丸く収めようとする。)




軽井沢「自信あるなら賭けようよ。じゃあタッキーが3級落ちたら1つアタシの言う事きいてもらうね。」


(軽井沢笑顔で言う。)



マッチ「(え!?なんで笑顔!?その笑顔めっちゃ怖いんですけど~。)」



タッキー「3級落ちる人なんてバカですよ。じゃあ僕教室入るんで。」


(タッキーはそう言ってその場を去る。)





マッチ「(うわータッキーなんで君もそんな売り言葉に買い言葉みたいな事いうかな~。傍目から見たら養豚場育ちの白豚と野生のイノシシがブヒブヒ言ってるようにしか見えんが何でも1つ言う事きくって結構なリスクだよ。軽井沢さんにどんな要求されるかわからんし。とんでもない常識を逸脱した屈辱的なことさせられたりする可能性だって・・というかそちらの可能性の方が断然強い。しかもタッキー自分の要求条件言ってないし・・。タッキーあんたこれ『ハイリスクノーリターン』だよ。わかってんのか~。あんた今イノシシ用の落とし穴に誘いこまれてるんだよ~。)」



軽井沢「あ~面白くなってきたわぁ。」


(イボイノシシの牙が怪しく光る。)



(マッチ野山畠山、軽井沢から目をそらす。)



畠山「あ、もう8時45分じゃん。アタシたちも教室入ろ!」


(畠山話題を変え教室に入るのを提案。)




野山「あ、マッチは軽井沢さんと同じ教室だね。」


畠山「野山とアタシは別の教室だね。良かった。」


野山「え?なんで?」


畠山「だってあんた何するかわかんないし。変な理由であたしも失格とかになったらシャレになんないし。」


野山「ひどいなあ。何もしないよ。サバイバルナイフも今日は家に置いてきてるし。」



畠山「・・・・。」



畠山「・・とりあえずあんたと別の部屋でよかったよ・・。」



(みんな自分の番号の教室に入る。)


(マッチは軽井沢と同じ試験教室。席に着く。)



マッチ「(軽井沢さんと同じ教室か~。なんかやだな~。でも軽井沢さんの席はオレの席の右隣列でしかも6つ前だ。この席からばっちり行動を監視できる。少なくとも後ろの見えない死角から脳みそをバックリ食われる心配はない。それがせめてもの救いだ。)」



(試験問題が配られる。みんな席で試験開始を待つ。)




試験監督員「はじめ!」


(午前9時。試験開始時間。)



マッチ「(よし。試験に集中するんだ!勉強したことを全て出し切るんだ。オレはやれる!オレはやれる!。)」



(マッチ試験問題を快調に解き始める。)


マッチ「(おっ、この問題のパターンなんか覚えあるぞ。よし集中!集中!テストは誰かに勝ためなんかじゃない。自分に勝つためのテストなんだ。敵は軽井沢に非ず!己の中にあり!自分の精神力で己に打ち勝つんだ!!)」


マッチ「(・・ってアレ?なんか・・)」



マッチ「(・・変だぞ・・)」



マッチ「(・・眠い・・)」



マッチ「(試験中なのに何を眠くなってんだオレ。昨日の寝不足だからかな・・なんだこの眠さは・・いや集中力が足りないんだ。集中!集中!)」



マッチ「(ダメだ。眠い~・・。)」


(マッチ頭がこっくりこっくりする。)



試験監督員「君!どうかしましたか?」



マッチ「いえ・・。大丈夫です。すみません。」


(マッチは頭がえらく動いていたのでカンニングと間違えられ試験監督員に目をつけられる。)



マッチ「(いかんいかん。カンニング容疑で失格とかなったら一生の恥だ。さらにこの教室には軽井沢っていう恐ろしい情報伝達マシーンがいるっていうのに・・。)」



マッチ「(軽井沢!?そう言えば軽井沢さんにもらったあの鼻水を止める薬。あれってもしかして睡眠薬なんじゃ!?この眠さは異常だ。軽井沢さんもしかしてオレに睡眠薬を!?あの軽井沢のくそイノシシめ~!!)」



マッチ「(いや待てよ。もしあの薬が睡眠薬なら軽井沢さんも飲んだから同じように眠くなるはず。)」



(マッチ斜め前の席の軽井沢を見る。)



マッチ「(あれ!?普通だ。普通に問題解いてる。あの電卓の叩き様からして冬眠間近の眠いイボイノシシには見えないぞ。ということは睡眠薬ではないということなのか?あの薬は。)」





マッチ「(同じ薬を飲んだ軽井沢さんが平気ってことはこの眠さはただの睡眠不足ってことか?前日の軽井沢邸の戦闘で精神と肉体が想像以上に疲労していたのかな・・とはいえまた軽井沢さんの善意をまた疑ってしまった。ごめんなさい。もう少しでオレも心が軽井沢さんみたいな化け物になるとこだったよ。ジーザス)」





マッチ「(眠さは精神力で乗り切るしかない!)」


(マッチ問題を解きだす。)


(マッチコックリする。)


(マッチ再度問題を解きだす。)


(マッチ再度コックリする。)



マッチ「(ダメ・・だ・・眠い~)」





(ここからマッチの夢の中)



マッチ「あー羊が柵を飛び越えてる。羊が1匹羊が2匹・・・あ~気持ちがいい。このまま全てを忘れて・・・はい羊が36匹~羊が37匹~」



マッチ「あれ?」


(数えていたのは羊ではなくイボイノシシであった。)




マッチ「羊じゃなくてイボイノシシだったかあ~。じゃあ、はいイボイノシシが38匹、39匹~・・・・はい101匹と。」



マッチ「あれ?」


(数えていたのはイボイノシシではなく裸に下着姿の軽井沢であった。)


101匹の軽井沢「もうはやくブラのホック外してよ~。」




マッチ「どわっ!!!!」


(マッチ叫ぶと同時に悪夢から現世に戻る。)



試験監督員「君!どうしたのかね!いきなり叫んで。迷惑行為だよ。失格になりたいのかね!」



(マッチ怒られる。)



マッチ「すみません(汗)。風邪ひいてて咳が変な風になっちゃって。申し訳ありません・・。」



(マッチ必死にごまかす。)



マッチ「(昨晩と同じ夢が・・昨日の軽井沢邸での話がフラッシュバックして・・吐きそう・・そして寝たら死ぬより恐ろしいことが起こる。)」



マッチ「(眠いがここは精神力!自分をしっかり持つんだ。頼れるのは自分だけだ!)」


(マッチ予備の鉛筆で右腕を刺す。)


マッチ「(痛い!でも我慢だ!ここであきらめたら今までの頑張りが無駄になってしまうぞ!頑張れオレ!)」



(マッチは自分の精神力に加え、鉛筆を刺すという自らの拷問で眠気をなんとか抑え全問回答した。)




試験監督員「止め!」



マッチ「(なんとか間に合った。よかった~。)」


(マッチ解放感を感じる。)





(解答用紙の回収が終わりみんな教室を出る。)





軽井沢「マッチテストできた?」


マッチ「なんとかね(汗)。」


軽井沢「ほんまぁ。じゃあ良かったわぁ。」


マッチ「ああ、ありがとう軽井沢さん。」


軽井沢「テスト中思い出してんけどな、昔洋ちゃんにあの薬飲ませたら原付でガードレール激突してな。でもマッチ眠くならんかったなら良かったわ。」



マッチ「ああ・・(汗)ありがとう(汗)・・軽井沢さん(汗)教えてくれて・・(汗)」



軽井沢「ああ。じゃあアタシ洋ちゃんとデートやし帰るわ。お疲れ。」



マッチ「ハハ(汗)。お疲れ~・・(汗)。」


(軽井沢さっさと帰りだす。そして姿が見えなくなる。)




マッチ「かぁ~るぅい~ざぁ~わ~!!」


(マッチ顔をゆがめて言う。)



マッチ「(くっそー!!。やっぱあいつのせいかぁ~!!。あの眠気は絶対何かおかしいと思ったんだよね。しかしなんで軽井沢さんは何ともないんだ?しかも彼氏の洋平君は殺されかけてたとは・・。殺人未遂じゃないよな・・(汗)それを完全に否定できない自分が怖い。まったくよくそんな恐ろしい実績がある薬を人に気軽に渡せたな・・(汗)。)」




(解説)


軽井沢からもらった薬はたしかに鼻水を止める市販薬である。


鼻水を止める薬には抗ヒスタミン剤という鼻水は止めるが副作用で眠くなる成分が入っており、もちろんこの野山も初めて見たというどこで売っているのか不明な鼻水を止める薬にも含まれているのであった。


近年では眠くなりにくい抗ヒスタミン剤が入っている市販薬も多いが巨体生物軽井沢の鼻水を止めるのに効くこの薬には眠くなるタイプの抗ヒスタミン剤が入っているのであった。


軽井沢は慢性的にいつも服用しているので特に眠くならずマッチはこの抗ヒスタミン剤と寝不足のせいでかなりの眠気を引き起こしたのであった。


※抗ヒスタミン剤の種類によっては服用後車の運転等禁止と書かれているものもあるので使用上の注意をよく読んで使用する必要がある。



(解説終わり)





マッチ「まあしかし何はともあれ試験は一応できたと思うからよしとするか。手ごたえはあったし。それに軽井沢さんもオレを邪魔するために薬くれたわけじゃあないし。」



(マッチは眠気に打ち勝ち試験を遂行したという『己に勝った』満足感で満たされていた。)




(マッチは野山と畠山と合流。)





野山「マッチ、試験どうだった?できた?」



マッチ「何とかギリギリね。(多分合格はしてると思うけど野山に悪いしそう言っておこう。)」



野山「そっかあマッチ受かってるといいね。オレは全然だめ。ほとんど意味わかんなかった。」



マッチ「(そりゃ勉強してなかったらそうだよ。まったく野山は・・(汗)。)」




畠山「あたしはまあいつもの感じってとこ。」




マッチ「おー。(畠山は受かってるだろうな。絶対。)」



野山「あれ?マッッチ、軽井沢さんは?」



マッチ「終わってすぐ帰ったよ。なんか洋平君とデートだってさ。」



畠山「相変わらず・・。でも日曜だもんね。今日。」



野山「畠山は日曜なのに旦那さんほっといていいの?」



畠山「言ったでしょうが!うちはサービス業だから日曜基本仕事!。何回聞くのよ!あんた。」


野山「そうだっけ。マッチは?」



マッチ「オレの彼女はテストって言ったら今日は友達と遊ぶってさあ。」



畠山「それ友達かなあ?」



野山「そだよ。マッチの彼女は節々怪しいとこがあるからね。」



マッチ「うるさいよ!。でも今日はホント疲れたから早く帰って寝たいから丁度良かったんだよ!。それで。」




野山「えー?せっかくみんなで飯食って遊んで帰ろうって思ってたのに~。」



マッチ「ごめん。今日は帰らせて。」



畠山「まあ・・そだね。マッチ昨日あんま寝てないって言ってたし。解散しよっか。今日は。この日のために一応みんな2か月頑張ってきたんだしね。また改めてお疲れ会でもしようよ。野山も今日は帰ってエロDVDでも観ておとなしく寝な。」


野山「イエッサー!」



(3人駅から解散する。)





(時間は流れて4週間後の簿記テスト結果発表日。)


(ショックンの教室内、前方の掲示版に試験結果が貼り出されていた。)


(マッチが教室に入ると野山が話しかけてくる。)



野山「マッチ、君の勝ちだ・・。」


(野山が暗い感じでマッチの肩をポンと叩く。)



マッチ「あ、そうか今日簿記の合格発表だよね。」



マッチ「(あの感じからするとやっぱの野山不合格だったんだろうな・・。野山でも落ち込む時ってあるんだなあ・・。なんか声かけれなかったよ。なんて言っていいか・・。でも勉強してないんだから仕方ないよ。野山・・。もっと本気になんないと・・。人生ってそんなに甘くはないよ・・。)」



(マッチは野山の今後の人生を少し心配になる。)




(気をとりなおしてマッチは人は群がっている点数発表の掲示板の前になんとか割り込む。)



マッチ「99点?」


(畠山の点数だった。クラス最高得点と赤で囲ってある。100点満点中99点。)



マッチ「(すごいな畠山。70点取れば合格ってとこを29点オーバーの99点はすごい!。あと1点で満点だし。確かに試験問題はわりと素直だった気もするけど。てことはオレは何点で合格してるんだろう。80点前後かな。)」



(マッチ掲示板の表中を探す。)



マッチ「(85点!?)」


(軽井沢の点数だった。)



マッチ「(あんなに態度悪くて余裕ぶっこいてて85点も取れんのか?なんか世の中おかしくない?)」



(マッチ軽く怒りを感じる。)




マッチ「(あっ、野山52点。)」


マッチ「(まあ野山勉強してないからなあ。しかし合格の70点までほど遠いなあ。でもあんだけ勉強してなくて52点ならすごいのかも(汗)。)」



(マッチさらに掲示板の表中を探す。)



マッチ「(あった!近藤雅紀!オレの点数は・・)」



マッチ「(お!?)」



マッチ「・・ご・・53点・・・え?・・・・。」



(マッチの点数は野山の1点上の53点であった。マッチその場に立ち尽くす。)



マッチ「(落ちてる・・・・。)」


マッチ「(・・落ちてる・・。)」


マッチ「(・・・・落ちてる。)」



マッチ「うそー!!!!?」



(マッチ自分の思考の中で巨大な氷山につぶされて100回くらい死ぬ。)




マッチ「(マジ!?落ちてるなんて・・。野山の言い方からしてもオレはてっきり合格してると思ってたのに・・。てかあんだけ勉強したのに・・・。簿記得意の畠山は仕方ないとしても人を散々邪魔した悪の権化軽井沢が余裕で合格・・しかも勉強なんてまったくしてない野山とかなり勉強したオレの点差は1点・・・・。野山の『負けたよ。』はこの1点の差のことかよ・・最悪だ~!・・あ、でも・・もしかして採点間違いじゃないのか?・・いや・・たしか先生が採点はかなり慎重にされてるっていってたし。じゃあこの53点がやっぱオレの点数なのか!?あ~神様~あなたはホントにいるのですかぁ~!!。)」



マッチ「・・悪夢だ・・。」


(マッチ落ち込む)



マッチ「(軽井沢の妨害に耐えてあれだけ頑張ったのに・・しかも自分はテストが上手くいったと思って野山に軽く慰めの気持ちで接していた・・なんて愚かなんだ・・オレ・・。)」



マッチ「ホント最悪だ・・。」


(マッチ涙目になる。)



(野山がマッチの肩をポンと叩く。)



マッチ「野山・・。」


(マッチ少し申し訳なさそうに野山を見る。)



野山「まあマッチ、マッチは見た目は勉強できそうなんだからいいじゃん。オレなんかできなさそうに見えてできないんだからさ。」


(野山がマッチに優しく微笑みかける。)



マッチ「・・オレ達には解けないよ・・その問題は。・・難し過ぎて・・。」


(マッチ再度うつむく。)



野山「まあまあ。ほらまだ下にもいるし。」



(野山が表中の最低点数を指差す。)


(マッチ掲示板を見る。)


マッチ「え!?」


マッチ「37点!?」



マッチ「タッキー37点!?」



マッチ「マジ?これ?」


野山「マジ。採点は慎重に行われるって先生いってたし。」



マッチ「・・てかタッキーあんだけ豪語しといて37点って・・・。こんな点とるレベルでよく『3級落ちるやつはバカ』なんて言ったねあの人・・(汗)。しかも軽井沢さんとあんな賭けまで・・どうすんだよタッキー(汗)。」



野山「ほら廊下で丁度『白ブタVSイボイノシシ』やってるよ。飼い豚と野生猪の対決は見ものだね。」


(廊下でタッキーが軽井沢に尋問されている最中だった。)


(野山とマッチ教室からこっそり覗く。)



軽井沢「タッキーさあ、あんたあんだけデカい事言っといて37点って・・まあ賭けの約束通り1つ言う事聞いてもらうとしよか。何にしよっかなあ。僕は変態童貞ですってお腹に書いてチェーリー柄のパンツ一枚で昼休み過ごしてもらうのもいいしぃ。あんたの陰毛に火をつけて燃やすとこをネットで生中継でもいいしぃ。よし決めた!裸でオナニーしながらごめんなさいって言ってみろ!。」




マッチ「野山やばいよ。ほら。これ止めさせないとまずくない?」


野山「そだね。ちょっと見てみたい気もするけど。」





軽井沢「ほらぁタッキー早くやりなよぉ。」


(軽井沢がにやけながら言う。)





マッチ「野山やばいよ。先生呼ぼう!あんまアテにはならないけど!」


野山「だね!。」



軽井沢「ほらぁタッキーどうしたよぉ。」


(軽井沢が言う。)



マッチ「どうすんだろタッキー」


野山「だね」






タッキー「・・・」





タッキー「・・・・・・」





タッキー「・・・・・・・・・・・・」





タッキー「は?そんな約束知りませんけど。」


(タッキー何事もなかったかのようにスタスタと歩いて階段を下りて行く。)




マッチ「えー!?そんな返しアリ!?まさかの『知らないフリ』!?」


野山「タッキー・・なんてクールな返し!!」







マッチ「でも・・通じるわけがない・・(汗)。・・ナシでしょ・・(汗)。」





野山「・・だね・・。」








軽井沢「待てコラァ!!!!!タッキー!!!!!」



(軽井沢が大声で叫ぶ。)







マッチ「(うわ~!!今日は血の雨が降るぞこれ~)」


(マッチ思わず目をそむける。)








(しかし軽井沢が叫んだその瞬間、軽井沢は廊下に倒れこむ。)










(時間は流れ、3日後)




畠山「聞いた?軽井沢さんの手術無事終わったってよ。」



マッチ「そっか。じゃあ一応お見舞い行かないとね。後でなんて言われるかわかんないしさ(汗)でも10万くれるっていわれても迷うねなんか。」



野山「マッチ、『椎間板ヘルニア』とはいえ病気は病気。病気の軽井沢さんにそんな言い方するのは良くないと思うよ。お見舞い喜んで行こうじゃないか。畠山、どこの動物病院?」



畠山「あんたらなんかイキイキしてない?・・(汗)。」




(軽井沢は力を込めてタッキーに叫んだ瞬間、椎間板ヘルニアになってしまったのである。)




野山「そういえばもう3日。タッキーも早く学校くればいいのにね。軽井沢さん居ないんだし。」



マッチ「知らないんだよ。軽井沢さん居ないの。あの時、階段下りて行ったと思ったらそのまま家に逃げ帰ってたんだから。」



畠山「まあ今んとこタッキーの欠席理由風邪になってるけど。別の理由で震えてるよね多分。」



マッチ「でも逃げ帰ったとはいえ軽井沢さんに対して『知りませんけど』の返しは凄かったね。常人では考えつかないよ。」



野山「ホントホント。まさか軽井沢さんもそうくるとは予想してなかったと思うよ。絶対。」



マッチ「多分意表をつかれたかわし方に軽井沢さんある意味勇み足になったのかもね。で変な体勢になってグキッていったのかも。日頃から姿勢の悪い人はなりやすいって聞いたことあるし。くしゃみした瞬間なる人もいるらしいよ。」



畠山「へ~。」



マッチ「でもさあオレ思ったんだけど今回ある意味ちょっと勇気もらったよ。タッキーに。」


畠山「どして?」


マッチ「タッキーは確かに人を見下した様な発言するけどさ、簿記テストでクラスで最低点でも一応なんか自分に失わない自信みたいのを持ってる気がするんだ。悪い意味でイノナカノカワズだけど良い意味では自分で自分を信じてるって言えると思う。あんな体型であんな顔だけど・・。あと性格も良くないけど・・。なんといってもあの軽井沢さんに屈しなかったんだからさ一応。まあ逃げ帰ったけど(汗)。」



マッチ「それでさなんか勇気もらったっていうか、オレ思ったんだ。この冬開催される簿記3級試験もう1度受けてみようかなって。今回試験落ちてタッキーとかの方が点下だとか思ってなんか感情のはけ口みたいに思ったりもして。資格とか取ってもう一度社会人やり直そうと思ってせっかくこの職業訓練校に来てるっていうのに。なんかなりたい自分ってものを見失ってた気がするんだ。ちょっと人生もうどうでもいいやなんても思ってしまったりもしてさ。試験一つ落ちたくらいで情けないよな・・。腐ってないで逃げないで簿記3級っていう自分の目の前の壁を1つ1つ乗り越えることが、そして最後まで自分を信じることが自分を失わない方法かもなって思ったんだ。」



畠山「えらい!タッキーのくだりはよく分からんがまた受けた方がいいよ。せっかく勉強したんだしさ!。あたしもわかんないとこ教えるし。」



野山「でもさあタッキー自分の37点見たあと言ってたよ。『いやー3級は簡単すぎて間違ったので次は2級を受けます。』って。」



畠山「は?それどういう意味よ?意味不明だし。(野山のやつ!せっかくマッチがやる気になってたのにまた余計なことを・・)」



マッチ「おそらく3級は簡単すぎて37点も点取りすぎたってことじゃない?2級はむずかしいから15点くらいに抑えますってことじゃないかな?そして何かその取得する点数の数字にも何かメッセージや意味が含まれているのかもしれない。もしかしてこの学校で始まって以来のすごい『記録』を作ろうってのが目的かもしれない・・合格とか不合格なんてそんな小さな記録は眼中にないんだよおそらく。クラス最低得点記録の王者タッキー。クラス最高得点王者の畠山。ある意味タッキーのライバルは畠山かもしれない!もしかしたらその言葉は畠山に対する挑戦状じゃないのか!?」



畠山「はあ!?」



マッチ「よし!畠山も2級受けようぜ!」



野山「よしオレも3級受ける!3人で頑張ろう!」



畠山「え~?(なんであたしも・・2級まで・・。でもまあ事務するなら2級あった方が有利っていってたしなあ。)」



畠山「まあいいけど。でもあんたら・・ちゃんと勉強しなよ。・・バカなんだから・・。」



マッチ「・・・・。」


野山「・・・・。」



(そう。簿記の試験点数発表の日から2人は勉強のできないバカであるとクラス内で認知されていた。見た目とのギャップとあれだけ真面目に勉強してもバカという点では野山よりもマッチの方がバカなのかもしれないと噂されていた。もちろん一番のバカはタッキーである。)



マッチ「おいおい、それを言うなって~。」


野山「ひどいなあホント~。」




畠山「わかったよ。ごめんごめん。じゃあ話戻るけど軽井沢さんのお見舞いいつ行く?」



マッチ「その問題の議論は長くなるから明日にしよう。」



野山「そうだね。今日は希望に満ちたまま我が家に帰還しよう。」



マッチ「では解散。」



野山「ラジャー。」



畠山「あんたら絶対行かないつもりだね・・(汗)。」



野山「やだなー行くに決まってるじゃん(汗)。」



マッチ「そうそう(汗)。」



畠山「じゃあ明日の放課後に決定ね。軽井沢さんにもそう言っとくから。」





マッチ「やっぱ簿記やめよっか・・。」


野山「だね・・・・。」



畠山「おいっ!」






(軽井沢のお見舞いに行かないといけないという重圧で急にテンションの下がった二人であったがこの頃からこのタッキーという存在に注目し始めたマッチ達でもあった。

そして今回軽井沢に怯え登校拒否になったタッキーであったがある人物からのお願いでまたもやイケメン慎吾の『許してやれば?』という軽井沢への軽い一言により、再度タッキーは教室に召喚されることとなるのであるがそれは軽井沢が復活してからの話である。タッキーは軽井沢が学校にいないこともマッチにほんの少しだが勇気を与えたことも知らず今も自宅の布団の中で震えているのであった。)



(つづく)

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