(第7話 炸裂!ラブ爆弾)
(簿記3級試験当日、午前8時。某所の試験会場内の廊下にて。)
野山「おはよ!マッチ!勉強した?」
マッチ「ああ野山おはよ。一応ね。なんとかいけるかもって思うレベル。かな。」
野山「おおやるじゃん!。オレ帰って晩飯食った後すぐ寝たよ。」
マッチ「え!?いや・・。てか寝れた野山がすごいよ。おれも早めに寝ようと11時にベットに入ったけど昨日の軽井沢邸での出来事が頭から離れなくて寝れなくてさ。寝れないから結局朝5時くらいまで問題解いててさ。結局1時間くらいしか寝てないから寝不足なんだよ。」
野山「そっか。大変だったねテストだっていうのに。変われるものなら変わってあげたいよ。」
マッチ「他人事だねアンタ(汗)。野山もテストだよ。わかってる?」
野山「わかってるって。言ってみたかっただけだよ、昨日医療ドラマでやってたから。よーし!充電MAXで頑張るぞ!。」
マッチ「(野山・・全く勉強せずにその落着きは一体何処から来るんだ・・。)」
マッチ「そいえばみんなは?」
野山「あー、モーリーと慎吾は別の試験会場なんだって。あと畠山と軽井沢さんとオレたちが一緒のこの試験会場なんだって。」
マッチ「え?そうなの!?」
野山「うん。番号の関係らしいよ。」
マッチ「(別会場!?うらやましいなあ。そんな法の抜け道があったとは。くっそーあのイボイノシシに試験前も邪魔されて試験当日も邪魔されたらシャレにならんぞこれ。せめて今日だけは事件は勘弁だ。)」
(マッチ眉間にしわをよせる。)
野山「どしたの?マッチ。ほらあそこ畠山と軽井沢さん居るよ。」
(野山が自販機の近くにタムロする軽井沢と畠山を指差す。)
マッチ「(やっぱりいたか・・。はぁ~今日は何も起きませんように。それかいっその事誰かが叫んでくれないかな。『試験会場に巨大なイボイノシシがいるぞー!にげろー!』って。そして会場に大混乱と暴動が起きて今日のテストが延期になればいのに・・。)」
(野山を先頭にマッチも軽井沢、畠山の元へ歩いていく。)
野山「おはよ!。軽井沢さん。」
マッチ「今日の試験頑張ろうね・・ファイト~。なんて・・ハハ(汗)。」
軽井沢「・・・・。」
(軽井沢かなり不機嫌な様子。野山マッチの言葉に軽く首を動かしただけ。野山、マッチの顔なんて見ない。)
(畠山が今日は軽井沢の機嫌が悪い事を合図する。)
マッチ「(やっぱ昨日の事根に持ってるんだ。やば。)」
(マッチ今日の一日を案じて気がめいる。そして少し距離をとるため少し後ずさりしてその場を4、5歩下がる。)
野山「まあまあ。」
(野山が慰めるようにマッチの肩をポンと叩く。)
マッチ「(アンタだよ・・。原因作ったの・・。)」
(マッチ野山を白い目で見る。)
野山「しっ!マッチ。息を潜めるんだ。今はまだその時じゃない。大地の息吹と一体化するんだ。」
(野山が小声でマッチに言う。)
マッチ「え?どゆこと?」
野山「爆弾をしかけてあるから。」
(野山が気持ち悪くウインクする。)
マッチ「(きもっ!!でも爆弾って。あいつ試験勉強してないからいっそ会場ごと爆破しようなんて悪い考えしてるんじゃ!?戦争マニアの野山なら爆弾くらいネットで調べて作れるかもしれないし・・。まあオレもさっき暴動が起きればいいなんて思ってしまったから他人のことは言えないけど・・。)」
マッチ「どういうことだよ野山。」
(マッチ野山に小声で言う。)
野山「いいから。いいから。」
(野山しきりに自分の腕時計を見て時間を確認する。)
ピピッピピッピピッピピッ・・。
(野山の時計のアラームが鳴る)
野山「時は来た!」
(野山がプロレスの橋本信也風に言う。)
マッチ「え!?どゆことよ?。」
(直後、6メートル先の軽井沢が自分の携帯電話を開く。)
(軽井沢とたんに笑顔になる。)
野山「イーエス!!」
(野山ガッツポーズする。)
マッチ「何?何が起こったの?」
野山「イケメン慎吾に8時15きっかりにメールしてもらったんだよ。軽井沢さん宛てに。」
マッチ「え?」
野山「昨日の夜、慎吾に言っておいたんだ。軽井沢さん朝弱いみたいだからちゃんと試験会場来てるかメールしてあげなよって。なんか勉強会の時もなんか気分悪いみたいだったし。って言ってね。」
(野山得意げに言う。)
マッチ「(・・って軽井沢さんを昨日MAX気分悪くさせたのは野山お前だけどね(汗)。)」
マッチ「(しかし・・慎吾、純粋な君の好意を利用してごめん。また君を怪物の生贄として捧げてしまった僕らを許したまえ・・。)」
(マッチ胸で十字をきる。)
野山「マッチ!名付けて『ラブ爆弾』!!どう?昨日寝る前必至にネーミング考えたんだよ。」
マッチ「(マジで勉強する気なかったね・・アンタ(汗)。)」
野山「隊長!今怪物は骨抜きのクラゲ状態です!突撃開始!援護願いします!。」
マッチ「ラ、ラジャー(汗)。」
(野山とマッチ軽井沢のテリトリー(無法地帯)へ潜入する。)
マッチ「(しかしホントに効いてるのかなこの『ラブ爆弾』は(汗)。確かに軽井沢さんうれしそうな顔してたけどソレとコレとは別問題ってことも考えられるしなあ(汗)。)」
マッチ「(たしかに昨日慎吾からの『行けなくてごめんなさいメール』であんだけ不機嫌だった軽井沢さんがめっちゃ喜んで俺たちを恩赦で無罪放免としたのをヒントにこのラブ爆弾は開発されたのだろうけど同じ手が2度も通用するのかな・・・(汗)動物も麻酔とか何度も使うと効き目が薄くなるとか聞いたことあるし・・相手は単細胞だけどバクテリアがうじゃうじゃ付いた凶暴なイボイノシシだ。何か胸騒ぎがする・・。)」
野山「軽井沢さん今日テスト頑張ろうね!」
(野山何事もなかったかのように言う。)
軽井沢「うん。野山もテスト前にわかんないとこあったらアタシに聞きなよ。ウフフ。」
(軽井沢も何事もなかったかのように言う。)
マッチ「(効いてるみたいね・・・・充分すぎるくらい・・(汗)。)」
野山「あれ?軽井沢さん何かいいことあった?」
(野山わざとらしく聞く。)
軽井沢「ウフフ。ひ・み・つっ。」
(軽井沢機嫌が良い時のブリっこ口調で言う。)
野山「え~。教えてよ~軽井沢さーん。」
(野山さらに聞きたいふり。)
軽井沢「だって野山だれかに言うしぃ~。洋ちゃんが聞いたらかわいそうだしぃ~。」
軽井沢「野山、じゃあヒント、いい事教えてあげるぅ。女はね、一つじゃ満足しない生き物なの。そしていつでも恋していたい生き物なのよ。はぁ~悩むわ~。お子ちゃまのマッチや野山にわかるかな~この悩み。」
野山「むずかしーなあ~。」
マッチ「たしかに難しい・・ね・・何て言っていいか・・(汗)。」
軽井沢「はぁ~切ない・・年下の熱い気持ちに応えるべきか応えないべきか・・でも、一つ言えることは『常に恋をしてるのが美しさを保つ秘訣』なんやで~。畠山。」
畠山「だよね~軽井沢さん。ハハハ。(え!?なんでアタシに言うの!?てか軽井沢さんはいつから美人の仲間入りしたの・・(汗))」
畠山「(あんたらまさか・・。)」
(異様な雰囲気に畠山なんとなく気付く。)
軽井沢「野山もマッチも切ない恋愛の一つでもせなダメやで。大人の男になりたいなら。」
(軽井沢あきらかに上から目線で言う。)
野山「イエッサー!!」
マッチ「だよね~。(・・歴史も『事実』と『真実』は違うものだとはいうけれど・・聞いてるこっちが切ないよ。軽井沢さん・・てかこの真実がバレたら死ぬな・・俺たち(汗)。)」
マッチ「(・・でも・・さっきまでの不機嫌だった軽井沢さんがウソのようだ。と言うよりまるでさっきの不機嫌な時間が無かった事の様にこのラブ爆弾で何処かに消し飛ばされたというのは確かだ・・。・・・ラブ爆弾恐るべし・・。)」
(野山の計画通りとはいえ、またもや慎吾のメールに救われた野山とマッチ。しかし逆に慎吾のたった1通のメールの前には自分達の価値なんて足元にも及ばない事を2日連続で再確認したマッチであった。)
(つづく)